| テキスト | 必ず成功させるわ! |
|---|---|
| ボイス | 何度でも、朝を迎えに行きましょう! |
| 深い知性ゆえの物静かな印象の少女だが、関心の深い事 柄に触れると、子供らしい熱量をみせる。友達であるリ ンのことを、なによりも大切にしている。 演目『天の階段』より。 |
| 『エル・プサイ・コングルゥ』私 なりに調べたけど、結局どういう 意味かは分からなかった……。 |
| 『【神さま】なんて、名前もなん だかあやふやよね』 |
| 『【神さま】は……いったい誰が 言い出した名前なのかしらね?』 |
| 『そういえば、私の【キョウ】と いう名はリンがつけて、【リン】 の名は私がつけたのよ』 |
| タイムトラベルに、核の冬……。 にわかには信じられない話ばかり だったわ。 |
| ななと一緒に貰ったこのラボメン バッジ、私の大切な宝物よ。 |
| 『フゥーッハッハッハッ!!』 ……確かこんな感じだったわよね ? |
| 鳳凰院さん、神出鬼没でどこから 現れるか本当にわからなかったわ ね。 |
| 未来ガジェットに大道具制作……、 鳳凰院さんって手先が器用よね。 |
| ラボメン……って他にどんな人が いるんだろう? 助手やスーパーハ カー?という単語は聞こえてきた けれど。 |
| 純那 | あの特徴的なポーズに高笑い、やってみると結構楽しかったり……。 |
| 純那 | ――はあ……。 |
| 華恋 | あれれ? じゅんじゅん、お悩みフェイスだ。 |
| 純那 | ああ……なんでもないの。 床の汗が目立つから、モップをかけようと思っただけよ。 |
| 華恋 | 掃除用具入れの前で固まってたから、 なにかあったのかと思ったよぉ。 |
| じゃあじゃあ私も、お掃除手伝っちゃいま〜す! | |
| ギイ――…… | |
| 純那 | ――ま、待って!! |
| 華恋 | ハィッ!? |
| な、なになに? 用具入れ、開けちゃダメだった?? | |
| 純那 | いえ、さっきも確認したから大丈夫だと思うんだけど……。 |
| 香子 | ――鳳凰院はんがおるかも〜て思たんやろ? |
| 華恋 | 香子ちゃん! |
| 純那 | ……花柳さんの言うとおりよ。 鳳凰院さんとの最初の出会い、覚えてるでしょ? |
| 華恋 | うんうん! この用具入れからバーーンって、飛び出して…… 神出鬼抜で、手品みたいだった! |
| 純那 | 神出鬼没、ね。 そんな手品みたいに楽しいものだといいんだけど……。 |
| あれ以来、用具入れを開けた瞬間にあの高笑いが聞こえそうで、 どうしても身構えちゃって。 | |
| 香子 | わかります。あのあと星見はんが 「非常識な行為は禁止」って代表して怒ってくれて、胸がすうっとしたわ。 |
| 華恋 | 鳳凰院さん、空にむかって笑ってたけどね! |
| 香子 | 「機関に見つからずに行動するにはこの方法しかないのだ」……やろ。 機関てなんやの? 警察機関?? |
| 確かに裏方では頼りになる人やけど、けったいなことには変わらへん。 いちどは痛い目見るべきやわ! | |
| 華恋 | あははっ、だけどあれから バーーンって飛び出してくるのはなくなったし……。 |
| 香子 | せやな、ほな次は窓からって……あかん、犯罪性がブレてへん。 |
| 星見はんが構えるのも無理あらへんわ。 | |
| 純那 | ……だけど、こうしていてもらちが明かないわよね。 もうすぐ休憩も終わるから、早く掃除しちゃわないと。 |
| ぞれじゃあ、開けるわよ――…… | |
| ギイ――…… | |
| (香子&華恋) | ゴクリ……。 |
| 鳳凰院凶真 | なにをしているんだ? |
| (純那&香子&華恋) | ひゃああっ!?!? |
| 香子 | なっ、なっ!? |
| 華恋 | う、後ろからとは卑怯なり〜〜! |
| 純那 | あなた、一体どこから……!? |
| 鳳凰院凶真 | どこからって、普通に戸口から入ったが……? |
| 香子 | 非常識が常識から顔をだすなんて、なにを考えとるんや! |
| 鳳凰院凶真 | クク……なにを言っている。 懇願するお前たちの要望を叶えてやったまでのこと!! |
| さあさあ、ちゃんと出入口を使ってやったぞ! 褒め称え崇め奉り喝采とともに称賛の言葉を…… | |
| 純那 | その前に扉をノックするとか、段階を踏むことはできるでしょ! |
| 香子 | そうやそうや! |
| 鳳凰院凶真 | ぐ、ぐう……!! |
| ま、待て! 俺は演出の相談に来たのだ……! 説教を聞きに来たわけでは…… | |
| っおい、アクタークラウン! なんとかしてくれ!! | |
| 華恋 | りょうかい! 雨宮さんたち呼んできまーす♪ |
| 鳳凰院凶真 | ち、違うそうじゃない! 俺を置いていくな!! |
| 純那 | それじゃあ待っている間、 きっちり言わせていただきます! |
| 香子 | せや! 今こそがつんと――…… |
| 華恋 | あわ、あわわ! |
| 香子 | なんや、もう戻って来たんかいな? つまらへん……。 |
| 華恋 | ち、ちがうちがう! 先生がこっち来てる!! |
| 純那 | ええっ!? |
| 鳳凰院凶真 | 助かった……ではなく、櫻木女史か! |
| ククク…… 今日はどんな舌戦で論破して……ぐあッ!?? | |
| おい、なんだ!? なぜ用具入れに押し込む!!? | |
| 香子 | 好敵手みたいな顔しとるからや!! |
| 純那 | おふたりの問答で練習時間が減ったらどうするんです…… 身から出た錆なんだから、観念してください!! |
| 鳳凰院凶真 | き、気になるのそこか!? |
| ぐうっ、入るなと言ったり押し込めたり……。 | |
| しかしいかなる封印を施されようとも すでに世界はこの俺の恐ろしさに気づいている! この屈辱はいずれ雪辱となりてお前たちの身に――…… | |
| バタン!! | |
| 華恋 | 鳳凰院さん、しーーーーーーっ!! |
| 鳳凰院凶真 | ぐぬううう……!!!! |
| 純那 | 私たちは舞台少女だもの、どんな時だって演じてみせる。 |
| それがどんなに寂しく辛い時であっても、 それが演じるべき時であれば―― | |
| ラボメンナンバー107、メガネ委員長! 『オペレーション・リプロダクション』を必ず遂行します! |
| ――トンカン、トン、カン…… | |
| 鳳凰院凶真 | (よし、補強はこれくらいか。 あとは『方舟』の仕掛けのチェックを……) |
| 純那 | ……鳳凰院さん、いま少しいいですか? |
| 鳳凰院凶真 | む……なんだ、ひとりで来るのはめずらしいな。 これから稽古の時間ではなかったか? |
| 純那 | その合間を縫って来てるんですから、真剣に聞いてください。 |
| ななに言ったおかしな作り話…… タイムトラベルのことです! | |
| 鳳凰院凶真 | !! |
| 純那 | あの子はなんでも真剣に聞くから、つい口が回ったんでしょうけど よりにもよって、あんなこと! |
| これからは、あまりおかしな話を吹聴するのは――…… | |
| 鳳凰院凶真 | ……そうだな、その反応が普通だ。 |
| 純那 | な、なんです、かしこまって…… 心配しなくても冗談だってわかってます。 |
| 過去で私たちに接触してる割には、失礼が多すぎるもの! | |
| 鳳凰院凶真 | くっ、そういう納得か……複雑な気分だ……。 |
| しかし、君にそれを言われるとはな。 俺が初めて接触した学園の人間は、君だったんだが……。 | |
| 純那 | 私……? |
| ……またそんな冗談ばっかり。 それじゃあ、どんな出会いだったっていうんです? | |
| 鳳凰院凶真 | ほほう、なんだ? 真意を疑う割には気になるのか?? |
| 純那 | ……そんな言い方をされれば、誰だって関心持つと思いますけど。 |
| 鳳凰院凶真 | フフン! 素直に興味津々ですお願いですから教えてくださいと 言えばいいではないか、メガネ委員長よ!! |
| 純那 | だからその呼び方はやめてくださいって……はあ、もう結構です! |
| 鳳凰院凶真 | まあまあ、聞くがいい! そうだな、違う時間軸での君は――…… |
| (回想) | |
|---|---|
| 鳳凰院凶真 | ――はあ、はあ、はあ……。 |
| やった、やったぞ! まさか、体よくチケットを落とすとは……! | |
| しかし、好都合だ! あとはこいつを捨ててしまえば――…… | |
| ……――ドンッ! | |
| ???? | っ、すみません! |
| 鳳凰院凶真 | いや、こちらこそ前を見ていなくて……!? |
| 君は――……! | |
| 純那 | はい……? |
| あの、どこかでお会いしましたか? | |
| 鳳凰院凶真 | い、いや……なんでもない、邪魔をしたな。 |
| 純那 | 私こそ、こんな場所でしゃがんでいてすみませんでした。 探し物に夢中になっちゃって……。 |
| 鳳凰院凶真 | 探し物? |
| 純那 | ええ。 公園の前で、旅行者の方に警察署の場所を聞かれたんです。 |
| 「大切なチケットを落として、困っている」って……。 | |
| 鳳凰院凶真 | ……そうか。 |
| 純那 | ええ……かなりショックを受けていらして。 |
| それでその方には警察に遺失届を出しに行っていただいて 私も少し探してみようかなって。 | |
| 頼まれたわけではないんですけど、 この後の予定まで時間があるから……。 | |
| 鳳凰院凶真 | ……君は、そのチケットがなにか知っているのか? |
| 純那 | いいえ? ですが、観劇のためのものだと。 |
| 鳳凰院凶真 | ……。 |
| 純那 | ? あの、それじゃあ失礼します。 |
| 鳳凰院凶真 | っ、待て! そのチケットは俺が……! |
| 純那 | え? |
| 鳳凰院凶真 | ではなく、その……少し気になったんだ。 |
| なぜそこまで肩入れする? 出会ったばかりの、なんの縁もない旅行者…… これからだって関わる事のない人間なのに……。 | |
| 純那 | ――だって、舞台の幕があがるから。 |
| 鳳凰院凶真 | それは……なんだ? どういうことだ?? |
| 純那 | 単純な話です……どこかで舞台があって、そこに立つ演者がいる。 そしてそれを楽しみにしている観客がいる。 |
| ……そうやって生まれる熱を、私は知ってるから。 | |
| 鳳凰院凶真 | 生まれる、熱……。 |
| 純那 | はい。舞台から心へ注がれる熱…… 喜びや悲しみ、言葉にできない感情のすべて。 |
| そんな情熱を分かつ機会を逃してしまうなんて、 演者が舞台に立てなくなるくらいの悲劇だわ。 | |
| だから……どうしても見つけてあげたくて。 | |
| 鳳凰院凶真 | ――なるほど。 そこにかける気持ちは、演者も観客も同じという事か。 |
| そう……そうだな……たったひとつの物語で人生を決め、 世界を一変させてしまう……。 | |
| そんな人間が、チケットを失くしたぐらいで あきらめるはずがないじゃないか……。 | |
| 純那 | ? あの、意味がよく……。 |
| 鳳凰院凶真 | いや、先の未来を……心の行き着く先を教えてもらった。 |
| ……君に、これを。 さっき拾った、その旅行者が探しているチケットだ。 | |
| 純那 | み、見つけてたんですか!? よかった――……あ! |
| 鳳凰院凶真 | ――そうだ。 演目は……『天の階段』。 |
| 純那 | そんな……すごい偶然……。 |
| ああ、おかしなことを言ってすみません。 私、この舞台に立つんです。 | |
| 鳳凰院凶真 | ……知っている。俺も観劇予定だ。 |
| 純那 | 知って……? なるほど、公演のポスターを見てくださったんですね。 |
| ありがとうございます! 偶然って、こんな風に重なるのね……。 | |
| ふふっ、楽しみにしていてください…… きっと特別な時間にしてみせます。 | |
| 最高の舞台にしてみせますから――……!! | |
| 鳳凰院凶真 | (……そういって、星見純那は笑顔で去っていった) |
| (俺がこれから、その最高の舞台に介入することも知らずに――……) | |
| (回想ここまで) | |
| 鳳凰院凶真 | ………………。 |
| 純那 | ちょっと、鳳凰院さん? |
| なんで黙るんですか……私はどんなだったんです? | |
| 鳳凰院凶真 | あ、ああ。 そうだな君は…… |
| ちぃっっっっっとも変わらん! 相変わらずのメガネっぷりだ!! | |
| 純那 | もう、なんですかそれ…… 思いつかないんだったら、そう言えばいいのに……。 |
| それじゃあ、私は稽古に行きます。 | |
| あまり変なことは言いまわらないように…… あと、そのメガネ委員長も早く改めてくださいね! | |
| 鳳凰院凶真 | ……――ああ、そうとも。 君は、どんな世界でも変わらなかった。 |
| まじめで、まっすぐで、ひたむきな…… | |
| 舞台にすべてをかける、舞台少女だったよ。 | |
