Steins;Gate × 少女☆歌劇 レヴュースタァライト -Re LIVE-台詞集


奇異共演のリプロダクション


※なな、純那、香子、華恋、真矢、そして名前表記が一同の箇所はボイスあり。
岡部は当初 ボイスが無かったが、後日 絆ストーリーも含めて実装された。
※複数の立ち絵があるのに名前の表記がない場合、(〇〇&××)のように表記。
※名前の枠の色に合わせて名前の欄の色を変えている。

第1話
キョウ『待ってよリン!
さよならって……まさか私の代わりに!?』

『そんなの駄目!
あなたがいない世界なんて意味ない!!』

リン『――だけど、誰かが【星】にならなくちゃ』


『だから……笑ってさよならだよ、キョウちゃん』


キョウ『リン!!!!!!』


キョウ『……――ああ、空に【星】がまたひとつ』


『だめ……まぶたが、重くなっていく……
リンを、【星】をみていたいのに……』

『リン、どうか見守っていて……』


『あなたがくれた次の【朝】を……
きっと、きっと永遠にしてみせるから――……』

アナウンス『聖翔音楽学園、特別講演 【天の階段】は
以上をもちまして終了いたしました。
本日はご来場いただきまして、誠にありがとうございました――』
ピピピッ――……


????――メッセージを開かなくてもわかる。
「未来より。変化なし」……だろう?

クソッ、この選択も間違いだった!
舞台を完遂させても、止めても……世界線は変わらない……。

あとどれだけ、何回繰り返せば――……!!


香子――ひゃああああっ!??


な、なんやのあんたの目、
イチゴみたいに腫れあがっとるやないの……!?

華恋うん……昨日ひかりちゃんとまひるちゃんに手伝ってもらって
今回の脚本を読んでたんだけどね……。

もうもう! みんなの想いが切なくて苦しくて
途中から涙がとまらなくなっちゃって!!

香子まあ、気持ちはわかりますわ。
SFを下地に置いた、悲劇の物語……。

双葉はんも脚本に目ぇ通して、
「あたしも演じてみたかった」〜〜て、涙目なってはったもん。

ふふん、クロはんもそうやったんちゃう?


真矢そのような素振りはなかったですが……。


純那興味はそそられたんじゃないかしら?
昨日、寮のリビングでSF映画を見ていたもの。

期待が大きいのは嬉しいわね。
あとは私たちで、全力で形にするだけ――……

なな……。


純那……なな、どうかしたの?


ななあ、ううん……。


なんだかこうやってみんなと盛り上がるのが
初めてっていう気がしなくて……。

純那……?
そうね、みんな脚本が来たときはいつもこんな感じだもの。

ななそう、だよね……
うん! たぶん気のせいだと思う。

純那ふふっ、おかしなこと言うんだから。


なな……。


眞井――はい、注目!


雨宮うん、みんないるね。
今日は本読みの前にお知らせがあります。

聖翔の大劇場の急な設備点検により、
公演場所が浮いていた今回の演目ですが……ようやく場所が決定しました!

華恋よかったぁ〜〜!!
このままだったら公園で公演するしかないって思ってたよ。

香子……うまいこと言うたつもり?


真矢演じない、という選択肢がないところには、賛成ですね。


ななねえ、その場所って……
あそこの市民ホールの劇場?

眞井当たり! すごいね、大場さん。


雨宮大場さんには、いろいろ相談に乗ってもらってたものね……。


加えてこれはサプライズ。
あのホールは、いつもの劇場より収容人数が多いでしょう?

向こうのご厚意で、
ホールからも観覧者を募ってもらえることになったの。

華恋えっ、それじゃあ……!!


純那もっとたくさんの人に、私たちの舞台を観てもらえるのね。
嬉しい……!

真矢時も場所も、観客も選ぶつもりはありませんが
一層身が引き締まりますね。

香子ふふん、うちというスタァが立つにはちょうどええ舞台どすわ。


眞井ふふ、B組もがんばった甲斐がありました!


華恋じゃあじゃあさっそく、やっちゃいます!?


雨宮ええ!
聖翔音楽学園特別公演、『天の階段』の本読みをはじめましょう。

一同よろしくおねがいします!!


雨宮――……第一幕、一場。
鼻先も見えない暗闇のなか、舞台中央にあかりが灯った。
テレビのようなブラウン管には、少女の顔をした『天の御使い』が映る。
スポットライトから光は広がり、あたりは朝のように眩しく輝く。


真っ白な舞台のなかには
重なるように四人の子供たちが眠っている。

香子(天の御使い)『――1001、1002、1003……
幾千の【星】の瞬きが、陽光に溶けていく……』

『悠久より繰り返された、
神様との【愛の約束】を再び果たす時がきました』

『さあ、100年ぶりの【朝】を目覚めなさい……
【星の子供】たちよ』

なな(リン)『う、ううん……よく寝たぁ……。
ふふっ……まぶしいお日さま、まっしろな朝! みんな、おはよう♪』

純那(キョウ)『ん……もう朝……?』


なな(リン)『おはよう、キョウちゃん!』


純那(キョウ)『ああ、リン……おはよう』


真矢(ホウ)『むにゃむにゃ、あと100年〜〜……』


純那(キョウ)『それは寝すぎよ、ホウ』


真矢(ホウ)『わかったよ……起きます、起きます……
っそうだ、タローは起きてる!?』

華恋(タロー)『…………寝てる』


真矢(ホウ)『ああ、やっぱりまだ拗ねてる〜〜……』


純那(キョウ)『拗ねてる?』


真矢(ホウ)『ほらほら……100年前、
いちばん仲の良かった【子供】が【星】になっちゃったから』

華恋(タロー)『拗ねてない!
しかたないって、わかってるよ!!』

『100年ごとに朝が来て、【天の階段】が宙から降りてくる……
そうしたら、ボクたちの誰かがイケニエになる……』

『それだけでしょ!!』


真矢(ホウ)『そ、そんな言い方しちゃダメだよ〜〜……
【星】になるのは、とっても大切なことなんだよ?』

なな(リン)『……そうだよね。
世界を守るために、わたしたちは【星】になる』

『それが神さまがくれた愛に応える、わたしたちの役目だから……』


純那(キョウ)『…………』


香子(天の御使い)『――みんな、起きたばかりで仕方のないことですが
あまり心を揺さぶらないように』

『そしてキョウ。
わかっていると思いますが、次に星になる順番は……』

純那(キョウ)『……私、でしょう?
繰り返さなくても覚えてるわ』

『だけど私もね……たくさんの【子供】を見送るたびに思ってた』


『なんで私たちが犠牲にならないといけないの?』


『考えれば考えるほど、心がモヤモヤする……!』


なな(リン)『キョウちゃん……』


純那(キョウ)『私は、【星】になんかなりたくない!
だって、だって私がなりたいのは――……』

『かわいいねこ耳メイドなんだから!!!!』


なな……。


一同……。


純那…………え? え?? えええっ!?!?!?!?


雨宮い、いったん止めます。


眞井星見さん……だいじょうぶ?


純那ち、違うの……脚本にそう書いてあって、つい!!


香子なにアホ言うてますの。
見してみなはれ、書いてるわけが…………はああ!?

なな「キョウはおもむろに懐から猫耳を取りだし、
ニャンニャンとポーズをとった」……?

真矢星見さんの脚本だけ、違うページが挟まっていますね……?


華恋な、なにこれ、じゅんじゅん〜〜!?


純那私が聞きたいわよ!
だれがこんな悪戯――……

ガシャーーーン!!!!!!


純那今度はなに!?


なな掃除用具入れが倒れたみた、い――……?


????――つっ、いてて……。


し、しまった! つい身を乗り出してしまった!!


香子そ、掃除用具入れから――……


華恋おじさんが産まれちゃった!?!?!?


※ボイスでの「宙」の読みは「ソラ」。


第2話
????し、しまった! つい身を乗り出してしまった!!


香子そ、掃除用具入れから――……


華恋おじさんが産まれちゃった!?!?!?


????だ、誰がおじさんだ!!!!!!!!!!


俺はお兄さん、いや――……
俺は世界の支配構造を破壊する、狂気のマッドサイエンティスト!

鳳凰院凶真鳳凰院……凶真だッッ!!!!!!!!


純那…………雨宮さん、先生を呼びましょ。


雨宮ええ。


鳳凰院凶真ままま待てまてまてぇーーい!!


ピッ


鳳凰院凶真俺だ……!
どういうことだ、すでに根回しは済んでいるはずッ!!

なんだと、状況が変わった!?
仕方ない、こちらは俺が対処しよう……。

ああ、すべては運命石の扉(シュタインズゲート)の選択のままに。
エル・プサイ・コングルゥ――……。

華恋える……???


純那だ、誰と喋って……?


鳳凰院凶真――フフン、我がラボメンが製作した萌え萌え脚本……


演じてみて、どうだ?
なにか感じるものがあったのではないか?

純那――!?
この脚本は、あなたの仕業なんですか!?

雨宮どうって……唐突で世界観も無視された、
眼もあてられない出来でした。

鳳凰院凶真グウッ……!!


ええい、ダルのやつ!
なにが「僕に任せろ」だ……全然だめではないか!!

ならば、そこのメガネっ子よ!!!!


純那えっ、私!?


鳳凰院凶真他に誰がいるのだメガネ委員長よ……
お前、ハッピーエンドはどう思う?

純那くっ……否定したいけど、メガネも委員長も事実だわ……。


鳳凰院凶真いいから答えろ!!!!
ハッピーエンドはどう思うかと聞いているッ!

純那……物語の体系としての話をしているのなら、
もちろん好きですが――

鳳凰院凶真そうだろう!
ならば何故、この『天の階段』は悲劇なのだ!!

純那はあ……?


鳳凰院凶真とぼけるな、この演目の話だ!!


世界のためという大層なお題目のために
主役である『リン』が天の階段を上り『星になる』自己犠牲の物語……。

『星になる』などという美辞麗句で誤魔化されてはいるものの、
ただの生贄ではないか!

その身を世界のために捧げたリンは、リンを見送った仲間たちは
真に幸せだと言えるのか! いや、言えまい!!

しかも……旧時代の物語ならまだしも、
遥か未来の時代の物語なのだろう、これは!!

ならばその優れた叡智をもって、
その理不尽に立ち向かうのが筋だろうが!!

何故立ち向かわない!!


香子な、なんや、えらい剣幕で。


真矢脚本はつい先日上がったばかりだというのに
ずいぶん演目内容にお詳しいですね……。

ななええと……ほうおういんさん?


鳳凰院さんは……
この物語をハッピーエンドにしたいんですか?

鳳凰院凶真無論だ!!!!


この物語は宗教画のように利他主義を美しく描いているが
ようするに小さな子供にすべてを押し付ける、
スケープゴートの物語ではないか。
そんな悲しい結末を、理不尽を大衆は望むだろうか、答えは否!!
そう、もっと――

雨宮この物語は、それだけじゃないわ!


眞井そうです、『天の階段』はそれだけじゃない……
犠牲の美しさだけじゃなく、託された未来を――

新たな明日を迎えることの尊さを伝える物語でもあるんです。


鳳凰院凶真……すべての人間が、そう捉えるとでも?


真矢いいえ……
ですが、その解釈もまた正しい形。

舞台とは、物語とはかくあるべきもの。
それぞれの感情や経験によってかみ砕かれ、
時に創り手でさえ予測できない感動を呼び起こす……。
香子そういうことどす。
登場人物の誰に心を置くかでも変わる。

悲劇でも、それが助けになる人がおる。
それが物語の妙いうもんや。

鳳凰院凶真……っなら、リンはこのまま命を捧げて
『星』になってもかまわないというのか!?

リンとキョウは全ての可能性に挑み、
理不尽な世界に、神に対して足掻ききったと言えるのか!?

(雨宮&眞井)それは……!


鳳凰院凶真そんなはずはない!!!!


一同!!


鳳凰院凶真そう、そうだ……そんなはずはないんだ!
だろう、バナーーーーーーンヌ!!

ななば、ばな……?


華恋ぬ???


真矢フランス語、ですね……。


鳳凰院凶真フッ、そうだな……たとえばこの俺のようなマッドサイエンティストを
劇中に登場させるのはどうだ!!

雨宮なに言って……


鳳凰院凶真『狂っているのは俺ではない、この世界のほうなのだ!
この狂った世界を、因習を俺が変えてみせよう!!』

さあさあ、この流れならお前はどう演じる……
そこのアクタークラウンよ!!

純那クラウン……王冠、ひょっとして華恋のこと?


香子さっきから、けったいなあだ名つけて!
華恋はん、こんな不審者の相手したらあかん……

華恋(タロー)『ほ、ホントに!?
ホントに【星】にならなくていいの!?』

香子相手しとる!!!!


華恋(タロー)『ボク、友達が【星】になった時に思ったんだ。
こんな悲しい気持ちになること……ぜったい正解じゃないって!』

真矢(ホウ)『だけどさ〜〜、それならどうすればって感じだよ』


『誰かが【星】にならないと……
ここはメチャクチャになって誰も住めなくなっちゃうんだよ』

『ボクたちは、ここからどこにもいけないんだよ〜〜?』


鳳凰院凶真ククク……この鳳凰院凶真が
何の勝算もなしに口にすると思うか!?

神をも欺く、リンの偽物の人形を用意しよう!
この俺の技術をもってすれば造作もないこと!

香子!?


香子(天の御使い)『勝手なことを言わないでください。
世界の秩序を守るための約束ですよ……!』

『いくつもの繰り返された子供たちの献身を
無に還すというのですか!?』

鳳凰院凶真フフン、献身だと……?
都合のいいことばかり喋るな天の御使いよ!!

お前はこの因習を見守り、管理するAIだそうだが、
自身の行動に、存在に疑問を持たないのか?

何千年と子供たちの献身の姿を見てきたのだろう!
なぜそうも無情でいられる?

香子(天の御使い)『それは――……そういう風に作られたからで……』


鳳凰院凶真ふん、言葉に詰まっているではないか!


さあリンよ、悩む必要はない……俺と手を組め!!


なな(リン)『わ、わたし……わたしは……』


『みんなといっしょに、おはようが言える【朝】が大好き……
だから、誰かが【星】にならなきゃ……』

純那(キョウ)『――だけどね、リン……』


『そこに私とあなたは一緒にいないのよ?』


なな(リン)『!!』


鳳凰院凶真……フフン、話は決まったようだな!!


それではまず、我がラボメンであるスーパーハカーを召喚……
天の御使いのシステムを書き換える!!

香子(天の御使い)『な……!?』


鳳凰院凶真どうだ、これでお前も自由だ!!
目覚めた良心に従い、安心してこちら側につくがいい……!

共にこの世界を――


ガラガラガラ――……!


櫻木おい、この騒ぎはどうした!?


純那っ、先生!!


櫻木な、なんだ一体……どこから入った!?


鳳凰院凶真チッ、時間切れか……!!


バッ――……!!


櫻木ま、窓から逃げた……!?
待ちなさい!!

鳳凰院凶真フゥーハハハハハハハハ!
今日はこのくらいにしておいてやろう……!

だが、俺は決して運命に屈さない!! 何度だって蘇り……
必ずや『天の階段』をハッピーエンドにしてみせよう!!!!

雨宮――い、今のはなんだったの?


華恋あ〜〜ん、もう終わりかあ……すっごく面白かったのに!!


真矢ええ。『天の階段』を大団円に……とは、なかなか斬新な切り口でした。
良い刺激になりましたね。

あのままエチュードを続ければ、一体どうなっていたのか……。


香子はあ……あんたら、ほんっっま舞台バカやなあ!
あないな不審者はんにまで付き合うやなんて!

純那……花柳さんも、ずいぶん楽しそうだったけど?


香子星見はんに言われとうありまへん。


純那う……リンを見てたら、ついセリフがでちゃったの!


眞井ふふっ……だけどほんと、ワクワクして観ちゃった!
みんながすっごく生き生きしてて……

内容も前の――……あ。


雨宮眞井……。


なな……。


純那どうしたの、ふたりとも?
ななも……。

ななごめんなさい、私……
ちょっと外の空気を吸ってくるね。



第3話
鳳凰院凶真ハア、ハア……ようやく、撒いたか……
相変わらず、あの学園の警備は執拗だな……。

なな……あ、見つけた!


鳳凰院凶真!! 君は……。


ななバナーンヌ、です♪
ふふっ、こんなあだ名をもらったのは初めてです。

鳳凰院凶真どういうことだ……。


なな……私と鳳凰院さん、初対面じゃないですよね。


こことは違うところで、何度も繰り返されていた『天の階段』。
そこには聖翔音楽学園の人じゃない誰かがいつもいた。

ですよね……? 鳳凰院さん。


鳳凰院凶真まさか君は、今までの繰り返しを覚えて……


リーディング・シュタイナーを持っているのか!?


ななリーディング、シュタイナー……?


鳳凰院凶真……この現象を指す、俺の造語だ。


たとえば……この世界には、いくつもの選択肢がある。
いま俺たちが立つこの場所は、
そのあらゆる選択からたったひとつを選んだ場所だ。
だが、そのすべての選択肢をやり直して試せる者がいるとしたら……
君はそいつをなんて呼ぶ?

ななやり直せる……? それって……あ、いえ……。


そうですね……タイムトラベラー、とか?


鳳凰院凶真そうだな……その呼び名で納得できるなら、それでいい。


そのタイムトラベラーが、何度も世界をやり直したとする。
そうなれば理論上、やり直した者以外は他の時間軸のことは
覚えていないはずだ。
だがまれに、繰り返した時間を覚えていられる者がいる。


ななそれが私、なんですね……。


鳳凰院凶真……。


……今から俺は、荒唐無稽なことを話す。
真偽を問うのは君の自由だが、どうか最後まで聞いてくれ。

――俺がその、『タイムトラベラー』だ。


なな……。


鳳凰院凶真ある日、俺のもとに『未来』と称する者からメッセージが来た。


君たちが行う『天の階段』の演目を阻止してくれと……
でなければ、未来で大変な事が起こるという。

だから俺は、何度も『天の階段』を繰り返させ、
最良の未来を模索をしていた。

……おかしな話だと思うだろう。
だが俺には、そいつを笑い飛ばして終わらせることのできない
理由が――……
純那――信じられない……SF小説の読みすぎね。


なな純那ちゃん!


純那ななの様子がおかしかったから追いかけてきたの。
声をかけづらい雰囲気で……聞いてしまってごめんなさい。

だけど、あまりにもひどいわ!
そんなSFマニアがするような話、信じると思っているんですか?

つまらない妄想で舞台の邪魔をするのは、金輪際やめてください。
行きましょ、なな。

鳳凰院凶真っ、妄想じゃない!!!!


純那ちょっと、そこをどいて……


鳳凰院凶真――いつか来る確かな未来に……永遠に終わらない冬が来る。


純那は……?


鳳凰院凶真『核の冬』と呼ばれる現象だ。
その引き金をひくのは、とある政府の要人。

彼はのちに演説で、
『自身の行動原理に強く印象を与えた出来事』について……

幼少時代の家族旅行で見た、
聖翔音楽学園による舞台『天の階段』を挙げている。

よりよい社会をつくるため、
理想の未来をつくるためには……犠牲は仕方ないと。

純那うそ……嘘よ! あれはそれだけの物語じゃ……


鳳凰院凶真天堂さんも言っていただろう。
「物語とはそれぞれの感情や経験によってかみ砕かれ、
時に創り手にも予測できない感動を呼び起こす」……。
少年の幼い心には、
『素晴らしい世界は美しい献身によって作られる』と焼き付いたんだ。

こうなったら少年の認識を舞台で上書かない限り、
未来は変わらない。

そう考えた俺は何度もこの時間を繰り返し……


あらゆる選択の中から、『誰も犠牲にならない【天の階段】を開演させる』
という可能性を選び、今ここにいる。

ななそんな……
私たちの舞台が原因で、『核の冬』が起きるなんて……。

純那……なな、信じちゃだめよ。


鳳凰院さん……
申し訳ないけど、私はやっぱり信じられません。

だってあなたが本当に過去に戻れるのなら、
もっと別のやり方があったはずよ。

こんな厄介な方法をとらなくても、
舞台の妨害をして上演を止めることができるはず……

鳳凰院凶真試したさ!!
会場への足止めも、ボヤによる人払いも、だが……

だが、未来は変わらなかった!
どうやっても世界は破滅に向かい収束していく!!

そうやって、繰り返していくうちに――……


なな――舞台を止めるのが、つらくなった?


鳳凰院凶真!?


純那なな、あなた……。


なな……私の中には記憶があるから。
ううん、だけどそれ以上に――……

一緒にエチュードをしたとき、
鳳凰院さん、すごく必死で……

この舞台を、リンやキョウを、
とっても大事にしてくれてるのが伝わってきたの。

純那そ、それは……。


鳳凰院凶真……ああ、そのとおりだ。


俺は繰り返す時の中で、君たちとともに深く舞台に関わりすぎた。
この公演の邪魔をすることなんて今更できはしない。

人の想いを踏みにじることがなにより罪深く愚かな事だと
わかってはいたはずなんだが……。

すまなかった……
そもそも、ここまで巻き込むつもりはなかった。

接触するつもりも、なかったんだ――……。


純那待ってください!!


鳳凰院凶真……?


純那あ……いえ、その、私……。


あのエチュード、楽しかったです。
それに、ハッピーエンドに向かっていくあの流れも……。

なな純那ちゃん……。


……………………。


鳳凰院さん……
私、今とは違う『天の階段』の脚本を知っているんです。

鳳凰院さんが……ううん、純那ちゃんや私も求める
誰も犠牲にならない、ハッピーエンドの脚本を。

鳳凰院凶真ど、どういうことだ……!?


※「未来を模索をしていた」は原文ママ。ボイスでは「未来を模索していた」
(ボイス収録後のテキストが修正されているかは未確認)


第4話
鳳凰院凶真……よし、ちょうど16時。


大場さんと星見さんが指定した時間……
「レッスンルームの裏に来てくれ」ということだったが……。

雨宮――みんな、舞台セットのスケッチと衣裳が出来上がったわ!
演出の説明もしたいから集まってくれる?

鳳凰院凶真!!


華恋わああっ!! 見たいみたい、着てみたい♪


真矢……ふむ。
いつもより舞台セットが少ないですね?

雨宮ええ。最後の天の階段のやり取りまでは、
ワンシーンで進むようにしてるから。

眞井いつもとは違う場所での公演になるし……


今回の市民ホールでできる演出プランで
私たちB組のできる限りのことをさせてもらったわ。

香子ふうん、やるやない。
これやったら立ち位置に気ぃ張らんで立てるわ。

ほんで……これが今回の衣裳? なんで白衣??


真矢なるほど。
白で子供らの無垢を、無機質さで量産された存在を示唆……

そして物語の根幹にあるのはSFだと、
すべてが伝わる良い衣裳ですね。

香子……まあ、気づいてましたけど?


やけど、あのけったいな人を思い出してなんや複雑やな……。


華恋おお〜〜!!!!


じゅんじゅん、ぐっどぐっどだよお♪
メガネと白衣がぴったり……毎日100点とっちゃいそう!

純那……その評価はどうなの?


眞井大場さんのほうはサイズどう?
違和感ない?

ななうん、ばっちり大丈夫です♪


だよね……純那ちゃん。


純那ええ。


……………………。


純那(キョウ)『――やっぱり、【約束】なんて勝手なものだった!』


一同え……!?


なな(リン)『キョウちゃん、ほんとに……!?』


純那(キョウ)『ええ。ほら見て、ここに書いてある。
「酸素65%、炭素18%、水素10%」……』

『「銀河と97%しか変わらない我々の身体を元に、
星の子を形成した」』

『「それぞれを定期的に星として宙へ供給し
宇宙の収縮を防ぐために……」』

なな(リン)『ううん、よくわかんないよお……』


純那(キョウ)『要するに、すっごく事務的ってこと!』


『約束は一方的に交わされたものだった……
神様からの愛なんてなかった!』

『だから私たちは、ここから出ていいの。
約束を……やぶっても、いいのよ』

なな(リン)『ほ、ほんと……?
それじゃあわたしたち、ずっと一緒にいられる!?』

純那(キョウ)『ええ、離れなくていい。
たくさんの夜といくつもの朝を……ずっと一緒にいていい!』

『さあ、みんなとここから出る準備をしましょう。
私たちは、【星】になんてならない……』

『私たちは、【朝】を迎えにいくんだから――……!』


華恋じゅんじゅん……ばなな……。


真矢今のは、もしや……。


雨宮……――廃案になった、『天の階段』。


香子な、なんやて!?


ななうん……私は脚本ができあがるまで見せてもらってたから、
この『天の階段』を知ってたの。

真矢察するに、先ほどの流れですと……


雨宮……そうよ、誰も『星』にならない。
全員で『方舟』っていう宇宙船を作って、この世界から脱出する。

華恋そんな!?
そこからどうして、このお話に――……?

香子ヤボ言いな……うちらのために決まってるやないの。


(雨宮&眞井)……………………。


眞井いつもの聖翔大劇場が使えないって決まって
代わりの場所を探して。

そこで一番苦労したのが、機材の確保だったの……。
どうしても前の脚本じゃ、満足な演出が難しくて。

真矢……それで生まれたのが、
改定された今回の『天の階段』だったのですね。

雨宮ええ……。


全力を尽くして立ってくれる演者のために、
B組は最高の舞台を用意する……それが私たちの誇り。

中途半端な演出しかできない脚本なんて出すことはできない。
そう思って今の脚本に書き換えたの。

ななA組が最高の舞台をするために……
この脚本を書いてくれたんだよね。

この物語は悲しいお話だけど、
そのあたたかい気持ちがいっぱい詰まってる。

だけど――……


(回想)
鳳凰院凶真……っなら、リンはこのまま命を捧げて
『星』になってもかまわないというのか!?

リンとキョウは全ての可能性に挑み、
理不尽な世界に、神に対して足掻ききったと言えるのか!?

(雨宮&眞井)それは……!


(回想ここまで)
なな……鳳凰院さんの言葉に悔しそうなB組のみんなを見て、
もっと別の方法があったんじゃないかなって思ったの。

雨宮大場さん……。


華恋――今からでも、遅くないよ!!!!


雨宮え……!?


だ、だけど……
もうどうやっても、大道具も演出も間に合わないわ。

眞井うん……
もう少し早く相談できれば、なんとかなったかもしれないけど……。

真矢問題ありません。


もちろん急場にはなりますが、
私たちの演技でカバーします。

香子……まあ、そのほうがうちの出番も増えそうやしな。


純那ふふっ、あなたたちならそう言うと思ったわ!


雨宮みんな……。


なな雨宮さん、眞井さん、
A組とB組が同じ目線でいてこそ、私たちの舞台だよ。

だから、少しでも手を伸ばそう。
みんなが笑顔になるエンディングに……!

(雨宮&眞井)うん!!!!
ええ!!!!

鳳凰院凶真改定された『天の階段』の筋書きは、
誰かのために犠牲になる物語――。

出来うる最高の舞台のために
想いを押し殺して生まれた戯曲、か。

(……なら、俺はどうする?)


(ずっと見てきたからわかる。
彼女たちなら、どんな形になろうとも必ず舞台を成功させる。
これ以上なにもせずとも、新しい『天の階段』は作られるだろう)
(だが、考えずにはいられない)


(機材の問題がなければ
完璧な『天の階段』が作り上げられたのに)

(ああ……悲痛なキョウや、
無理をして笑うリンを、なんども見てきたせいか?)

(なんの憂いもなく、幸せに笑うあいつらが観たい……
彼女たちが望む、最高の物語に立たせてやりたい――……!!)

……………………。


(そうだ……俺はあきらめが悪いんだ。
誰の想いもとりこぼさないと、あの時に決めたじゃないか)

(そうだな……元より、できることはすべてしてみせると決めている)


(ならば、やるべきことはひとつ。
過去へメールを……Dメールを送る!!)

(時刻は、聖翔の大講堂が使えなくなったことが判明した日時)


(メールはB組へ向けて、内容は……
『そうだんしろ』『ものがたりを』『あきらめるな』)

(これにより俺や、周囲の人間の行動がどう変わるかは
わからないが……)

頼む、どうか――


どうか彼女たちに、キラめく舞台を――……!!!!






鳳凰院凶真……――はっ!!


????……そうね。
具体的に言うと最終幕……

雨宮この三幕の『方舟』の演出なんだけど……
鳳凰院さん、聞いてます?

鳳凰院凶真こ、ここは……? 俺は……?
Dメールは、成功したのか……?

香子また意味わからんこと言うてはる……。


華恋あれれ……いつもなら、
「舞台のあらゆる演出装置なら未来カセットで解決だーー」って
高笑いするシーンなのに……。
鳳凰院凶真未来ガジェットだ!!
ってなぜそれを……?

純那なぜって、あなたが言ったでしょ?


鳳凰院凶真ま、待て、この状況は……
俺は、もしかして……

お前たちの舞台を手伝っているのか?


純那……何言ってるんですか。


『核の冬』なんて荒唐無稽なことを信じたななを通じて、
演出を手伝っているのはあなたでしょう?

華恋なになに、そのお話!?


純那……なんでもないわ、こっちの話。


眞井鳳凰院さんのアイデアで、
演出やセットの問題は大部分クリアになりましたが、
まだまだやることはいっぱいあるんですよ。
鳳凰院凶真……。


なな鳳凰院さん、あなたが……


みんなで一緒にハッピーエンドを創るんだ、
そう言ってくれたんですよ。

鳳凰院凶真そう……そうか……
俺が、そう言ったんだな……。

ククク……そうだとも! 俺たちが今から創るのは完璧な!
誰も不幸にならないハッピーエンドの『天の階段』だ!

純那な、なんですか改まって……。


鳳凰院凶真これより未来ガジェット研究所で
聖翔音楽学園99期生を全面支援!

オペレーション・リプロダクションを実行する!


※ボイスでの「宙」の読みは「ソラ」。


第5話
なな(リン)『――まっどさいえんてぃすと?』


純那(キョウ)『うん、天の御使いさんが教えてくれたの。
長い歴史の中で、時々現れるんだって』

『その時、信じられているものに
違うって言って立ち向かい戦う人が』

なな(リン)『――なんかかっこいね!』


純那(キョウ)『でも99%は、やっぱりその人が間違ってて
ただの変な人なんだって』

なな(リン)『あちゃーー』


純那(キョウ)『だけど、残りの1%は世界を変えてきたの。
地動説のガリレオ・ガリレイ、手洗い法のセンメルヴェイス・イグナーツ』

なな(リン)『だったら私たちは世界を変えるほうの
マッドサイエンティストだね!』

純那(キョウ)『うん、きっとそう――!』


眞井ふたりとも、ちょっといい?


あっと……失礼。
本読み中だった?

ななううん、平気よ。
ちょうど今、四稿で追加されたところを読み合わせてたの。

眞井……ああ、マッドサイエンティストのところね。
より良い未来を目指し、自分たちを再定義し意気を揚げるシーン。

純那言うまでもないけれど、鳳凰院さんの影響よね。


でも、すごく素敵なシーンだと思うわ。
途方もない現実と戦うための勇気ある虚勢、とでもいうのかしら。

なな……鳳凰院さんもそうなのかな。


純那……。


なな……あ、ごめんね、何か相談事だったよね?


眞井え、ええ。
ラスト三幕の流れについてなんだけど。

ななもしかしてこのシーンのこと?
「ふたりは手を取り合い、みんなに続いて完成した方舟に乗り込む。
扉が降りた瞬間、煙をあげて方舟が発射する。」
眞井うん。ここの大道具の……
『方舟の発射』が表現しきれるか不安で。

純那このシーンはセリフでは語らず、
すべて演出で見せるって聞いたけど……。

眞井そのつもり。
エンディングだから、できるだけ印象的なものにしたくて。

純那だけどこれって、
聖翔の大劇場の設備に合わせたものだったでしょう?

……鳳凰院さんは可能だって言っていたけれど
本当に間に合いそう?

難しいようならここは省いて、
方舟の中という形で進めたほうがいいんじゃないかしら?

ななそうなると、台詞の変更か組み直しが必要になっちゃうね。
……ここのやり取り、好きなんだけどな。

なな(リン)『キョウちゃん、いこっ! 【方舟】に!
入るときスキップでこけないようにしなきゃだ!』

純那(キョウ)『ふふっ、心配だから支えるわ。
さあ、手を貸して』

なな(リン)『うん♪』


『……ねえ、キョウちゃん。
これから私たち、いっぱいおはようを言おうねえ』

純那(キョウ)『ええ……私たちは【星】にならない――……』


『……――私たちは、【朝】を迎えにいくの』


眞井うん……。ふたりが自然と手を取り合うシーンだから
私としても外したくない。

実は声をかけたのも、それが理由なの。
前の演出相談の時に、話を詰めきれなかったでしょう?

雨宮だから一緒に方舟のセットを見ながら考えてもらおうかと思って。


純那なるほど……、鳳凰院さんしっかりやってくれてるかしら。


雨宮あれ……その調子だとどんな感じで制作が進んでいるか、
いちども確認してないのね?

純那え? それって、どういう……。


雨宮ふふっ!
見たらきっと、驚くと思うわよ――。

華恋わあああっ!!


見てみて香子ちゃん!
この『方舟』、ほんとに全員乗れちゃうよお!?

香子見たらわかります、それよりもうちょい奥行ってえな。
うち入れへんやないの。

純那こ、これが『方舟』……!?


香子あら、星見はんらも来はったんやねえ。


華恋じゅんじゅん、ばなな見て見て! すごいでしょう!


ななうん、素敵なセット……!
物語が現実に来てくれたみたいな、不思議な気持ちになっちゃう。

真矢ええ、この精密な大道具、
物語への説得力の一助となるでしょう。

眞井それになんだか、衛星っぽいところもリアルよね。


真矢言われてみると、確かに……
モデルはそこから来ているのでしょうか。

意図的であるのなら興味深い観点です。
どういった流れで、この意匠になったのか……。

なんにせよ、限られた時間でここまでのものを作り上げるとは
実に見事です。

――ゴンッ!!!


鳳凰院凶真つ、う……額を打った……!
俺の秘められし第三の目が……カラミティ・アイが!!

香子……作った本人は、けったいやけどな。


華恋鳳凰院さん、大丈夫!?
『方舟』の裏側を塗ってたの?

鳳凰院凶真ああ、下の塗装が甘かったから塗り直していた。


香子そこは客席から見えまへんけど?


鳳凰院凶真フフン、お前たちの舞台にだすのだ……
貧相な出来では見合わんだろう!

それで、今日はどうした。
なにか問題でもあったか?

雨宮そうじゃなく、少し確認を取っておきたくて。
エンディングの演出なんですけど……。

鳳凰院凶真『方舟』の発射だな?


雨宮ええ。具体的には、扉を閉めた瞬間に発射音と共に白煙があがり、
『方舟』へのスポットライトが消える……。

華恋おおっ、ほんとの宇宙船みたいでテンションあがるね!


雨宮でしょう?
段階的にアクションを行うから観客への興奮にもつながる……。

鳳凰院さん、この演出は――


鳳凰院凶真問題ない!!
既に『方舟』に仕掛けは搭載済み……

我が未来ガジェット研究所の叡智の結晶、
『未来ガジェット4号機、モアッド・スネーク』!!!!

これを『方舟』の下部へ装着!
瞬間的に大量の蒸気を生みだす!!

眞井げ、劇場がべしょべしょになっちゃいます……!


鳳凰院凶真むう、ならば別の物質で代用するしかないか……
よし、急ぎ我が助手に指示しよう!!

――プルルルル……プルルル……


鳳凰院凶真もしもしクリスティーナか!? いま機関の目を掻い潜り連絡を……
ままま待て! はい、切らないでください……。

実は水蒸気を使わず大量に安全な煙を発生させたいのですが、
はい……食品添加用グリコールに精製水……?

よくわからんが、それでよし!
すぐにダルと共に4号機の改造に取り掛かれい!!!!

――ピッ!


華恋い、今のっていったい……!?


鳳凰院凶真うむ問題ないなにもな!!!!!!


香子誰かがえらい迷惑を被ったように
聞こえましたけど……?

真矢よく話されている、ラボメンの方でしょう。


お会いしたことはありませんが、
かなり尽力いただいているようですから。

ななうん……
いちど、きちんとお礼を言いたいなって思ってるんだけど……。

鳳凰院凶真そんなものは不要だ!!


すべては俺と、俺が率いるラボメンが勝手をしているだけのこと……
お前たちは、いつもどおり稽古に励むがいい!

ななラストシーン、鳳凰院さんにお任せで大丈夫みたいだね。
純那ちゃん♪

純那……鳳凰院さん、ありがとうございます。
みんなどうなるか不安だったんですけど、おかげですごくいい舞台が
できそうです。
鳳凰院凶真なにを今更……。


純那……正直、鳳凰院さんおかしなことを言ったりするから
疑っていたところがあったんです。
大事な舞台に本当に関わらせていいのか、って。
でも、私が間違っていました。
ごめんなさい!!

鳳凰院凶真な……! 頭をあげてくれ、俺のほうこそ――


なな『――フゥーッハッハッハッハッ!!!!』


鳳凰院凶真んなっ!??


なな『なんだなんだ、メガネ委員長よ……
そんなつまらぬことはどうでもいい!』

『気にする暇があったら、
この大場ななやみんなと共に、舞台で結果を見せるのだ!!』

純那な、なな……。


なな……ですよね、鳳凰院さん♪


鳳凰院凶真あっ、ああ、そうだ……! それだ!!


つまらん憂いは、
すべて未来ガジェット研究所が請け負ってやる!

純那ふっ、ふふっ!
もう、ななったら、なんなの急に……!

ええ……観ていてください、鳳凰院さん。
私たちは、全力で想いに応えます。

ななうん……
なにが起きても、絶対にリンを助けますから!

鳳凰院凶真ああ、そうだな。
お前たちなら何が起きても――……

華恋じゃあ私も!!


『フゥーッハッハッハッ!!!!!』


香子もう、けったいなんは、ひとりでええから!


真矢『ハーーーーーーッハッハッハッ!!!!!』


香子増えた……!


(なな&純那)あははははっ!


鳳凰院凶真……――ああ、お前たちならきっと。


きっとリンを救い、
『天の階段』をハッピーエンドに導いてくれる……!

※「かっこいね!」は原文ママ。
※真矢の高笑いのみ『フゥーッ』が抜けているが、ボイスも含めて原文ママ。


最終話
雨宮眞井、方舟の待機場所はここでいい?


眞井ううん、もうちょっと袖から引いて……うん、そこ。
そこなら演者の邪魔にならないと思う。

あとはライトの位置を――……


純那雨宮さん、眞井さん!!


雨宮来たわね。
衣装はまだ着てないの?

華恋うん!
その前にエイエイオーってしようかなあって♪

香子まったく、運動会やないんやから……。


真矢気合の共有は、大切なことですよ。


なな準備はどうかな。なにか問題は起きてない?


雨宮当然、いつもどおり完璧!


純那良かった。
鳳凰院さんも一緒なの?

雨宮ああ、あの人ならそこに……


あれ……おかしいわね?
さっきまで小道具を運んでくれていたんだけど。

ななもう客席に行っちゃったのかもね。


香子いつもは騒がしゅうしはるくせに、
ずいぶん他人行儀どすな。

真矢意外と照れ屋な部分をお持ちのようですから……。


華恋ふふっ、あんなに楽しみにしてくれてたんだもん。
ぜったいぜったい観てくれてるよ!

ななそうね……
私たちはその期待に、ワクワクに応えなきゃ!

純那ええ。
みんな、気合を入れていきましょう!

一同うん!!!!


鳳凰院凶真(――ついに来たか……)


(この席に座るのも、
『天の階段』を観劇するのも……もう何度目になるだろう)

(だが、きっとこれが最後の物語になる――……)


アナウンス『――それではこれより聖翔音楽学園、特別公演……
【天の階段】を開幕いたします』

鳳凰院凶真(第一幕は、天の御使いによる目覚めを促す声から始まる)


天の御使い『――1001、1002、1003……
幾千の【星】の瞬きが、陽光に溶けていく……』

『悠久より繰り返された、
神様との【愛の約束】を再び果たす時がきました』

リン『う、ううん……よく寝たぁ……』


鳳凰院凶真(……そして、それにこたえる子供たち)


(子供らはそれぞれ自分の身を犠牲にして星になるという神との約束に……)


(怒り、または諦念し、宙から下りる『天の階段』を待っていた)


(しかし、それを否定する少女、キョウと……)


キョウ『私は、【星】になんかなりたくない!』


リン『キョウちゃん……』


鳳凰院凶真(……そんなキョウを、心配そうに見守るリン)


(続く第二幕は、『遺跡』と呼ばれる
打ち捨てられた文明を探るリンとキョウから開始)

キョウ『約束は一方的に交わされたものだった……
神様からの愛なんてなかった!』

『だから私たちは、ここから出ていいの。
約束を……やぶっても、いいのよ』

鳳凰院凶真(自分たちが神と呼ばれる者から作られ、
愛などないまま一方的に約束を交わされたという事実に気づく)

(そして、ここからが新たな『天の階段』の物語……)


タロー『ほ、ほんとに!?
ここから出るって――……むぐう!』

キョウ『しっ、声が大きいわ!
天の御使いに聞かれたら大変でしょ!!』

ホウ『でもさ〜〜、出るって言ってもどうやって……』


キョウ『【遺跡】にたくさんのカチコチが落ちてるでしょ?
それを組み合わせて、【船】をつくるの!』

リン『ふふ……!
絵本で見た、【方舟】みたいだねえ♪』

鳳凰院凶真(……――しかし、そこで計画に気づき
邪魔をする天の御使い)

天の御使い『見誤ってはいけません。
あなたたちは【星】になるという選択以外ないのです……!』

キョウ『……なら、どうして私たちに心があるの?』


天の御使い『な……!?』


キョウ『【星】になるだけなら、
楽しいも悲しいも……さみしいもいらないじゃない!』

『それでも私たちが心を持ってるのは、何故なの!?』


天の御使い『それは――……』


鳳凰院凶真(天の御使いは問いに答えられず、疑問は『バグ』をもたらした。
やがて子供たちの考えに寄り添い、宇宙船作りを手伝うようになる――……)

(ああ……知っているはずなのに胸が震える)


(すぐそこに優しく見守る天の御使いが、
まぶしく息づくタローが、ホウが……リンが、キョウがいるからか?)

(幾度と繰り返し観た『天の階段』、
だが今回が今までで、一番……)

(一番、心に響いてくる……)


(そして遂に……宇宙船が完成する、最終幕!!)


タロー『――これが、【方舟】……わわあっ!?』


天の御使い『ああもう、上まで見ようと伸びをするからですよ……』


ホウ『あははっ、ひっくり返っちゃったね〜〜。平気かい?』


タロー『うん! ほんとにこれ、ボクらが作ったんだね!?』


キョウ『そうよ……乗船の準備はいい?』


タロー『もっちろん! ボク一番乗り!!』


ホウ『じゃあ僕は、二番乗り〜〜』


タロー『ねえ、天の御使い……
宙に出たら、星になったみんなに会いにいきたいな』

天の御使い『……ええ、探しましょう』


『キョウ、あなたも早くリンを……』


キョウ『ええ、やっとこの時が来たのね』


『それじゃあリン、私たちも【方舟】に……』


バチン――……!!


ざわざわざわ……


鳳凰院凶真(な、なんだこれは……停電!?)


(馬鹿な! こんなこと、今まで一度も……)


(もどった!! 大場さんたちは――……!?)


バシュウウウウウウウッッ……



鳳凰院凶真――そ、そん……な……。


(扉が閉まり、方舟が飛び立つ演出が作動している……?
まさか、通電がスイッチになったのか!?)

(リン&キョウ)『……………………』


鳳凰院凶真(キョウとリンはまだ方舟に乗り込んでいない……)


(このままでは、舞台が……)


(クソッ! どれだけくり返そうとも、
俺たちは運命を超えられないのか……!?)

(回想)
純那ええ……観ていてください、鳳凰院さん。
私たちは、全力で想いに応えます。

ななうん……
なにが起きても、絶対にリンを助けますから!

(回想ここまで)
リン『――ふたりきりに……なっちゃったね』


キョウ『リン、あなた……』


リン『……』


キョウ『なぜ……どうして扉を閉めたの……!?
あなたは【方舟】に乗れたはずなのに!!』

リン『だってキョウちゃん、ひとりで残ろうとしたでしょう?』


『いつもの【遺跡】の調査も、長い夜も、
ずっとずっと一緒にいたんだもん』

『燃料がひとり分足りないって、それを必死に隠してたのも……
わかってた』

キョウ『それでも、
あなたまで残る必要はなかったじゃない……』

『私はあなたさえ生きてくれたら、それで満足だったのに!』


リン『わたしは、やだよ……
キョウちゃんとずっと一緒にいたいもん……』

『だからキョウちゃん、もういちど、【方舟】を作ろう!!』


キョウ『そんなの無茶だわ……
力を貸してくれた天の御使いだって【方舟】と一緒に……』

リン『……大丈夫、ぜったいに』


『ねえキョウちゃん、いつか……
「どうして私たちに心ができたの」って話したよね』

『わたしは、わかった気がするんだ。
わたしたちが心をもった理由は、お別れを悲しむためじゃない……』

『笑って、おはようを言うためだって!』


『だから……たくさんの時を超えて【朝】を目指そう』


キョウ『リン……』


『ええ、そうね。
何より大切な……あなたの心を忘れていたわ』

『さあリン、手をかして……心をひとつにするの』


リン『うん!』


キョウ『何度でも、【朝】を迎えに行きましょう――』


純那はあ、はあ、は……。


ななはあ……は……。


華恋す、すごいよ、じゅんじゅん! ばななぁ!!


真矢見事な即興でした……!!


香子はああ、心臓縮むか思たわ……。


眞井ほんと……ほんとによかった……!


雨宮ふたりとも、よくあそこまで合わせられたわね!?


純那……ななの瞳にね、知ってる人がいたの。


ななびっくり……
私も純那ちゃんの瞳に、知ってる人を見つけたから……。

キョウちゃんは強がりだけど、
頼られるとどこまでも頑張っちゃうんだよね。

純那ええ。
リンは怖がりだけど、絶対に諦めたりしないの……。

(なな&純那)鳳凰院さんみたいに――!


ななあっ、いたいた鳳凰院さん♪


純那もう、探させないでください……
打ち上げを始める前にいなくなるなんて!

鳳凰院凶真……――星見さん、大場さん、礼を言わせてくれ。


ななえ……?


鳳凰院凶真それぞれを想いあって作り上げられた
素晴らしい物語を、ありがとう。

『核の冬』は……回避された。
もう誰も未来に怯えることはない。

なな!!


純那も、もう、またそんな話を……。


なな…………さよなら、ですか?


純那ちょっと、ななまでなにを言い出すのよ……。


鳳凰院凶真……ああ。確定した未来から抜け出した今、
イレギュラーな俺の存在は新たな不確定要素を招きかねない。

俺たちはもう……関わるべきではないんだ。


もう二度と会うことはないだろう……。
――ふたりに受け取ってほしいものがある。

ななこれは……バッジ?


鳳凰院凶真ああ。
俺が大切な仲間に渡しているものだ。

純那そんな……急に受け取れません。
みんな鳳凰院さんが来るのを待ってるんですよ?
いきなり現れて、いきなりいなくなるなんて――。
鳳凰院凶真……。


なな『フッ……フゥーハッハッハッハッ!!!!』


純那な、なな……?


なな『神出鬼没……!
それこそがマッドサイエンティスト鳳凰院凶真!!』

『忘れたわけではあるまい?
狂気の舞台少女……星見純那よ!!』

純那……ふふっ。
そう、そうよね……。

『――忘れるはずがないだろう!
狂気の舞台少女、大場ななよ!!』

『幾たび、やつの行動に惑わされ苦渋を味わったか……』


『だが今回はそうはさせまい! ……笑顔で見送ってみせようではないか!
それこそが、われらの別れに相応しい!』

鳳凰院凶真君たち……。


純那……ほら、あなたも最後まで演じてください!


鳳凰院凶真フッ……フッフッフッ…………。


フゥーハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!!


なーーーーにが演技なものか!
この俺こそが!! 機関に抗い、世界の構造を作り変える!!!!

正真正銘の狂気のマッドサイエンティスト……
鳳凰院、凶真だ!!

ラボメンナンバー877、バナーンヌ!
ラボメンナンバー107、メガネ委員長!!

(なな&純那)はい!!


鳳凰院凶真お前たちに指令を与える……。
オペレーション・リプロダクションの引き継ぎだ……。

『天の階段』をも超える、素晴らしき舞台を創り続けろ!!


未来へ続く物語を……諦めるなよ。


(なな&純那)……――はい!!!!


※ボイスでの「宙」の読みは「ソラ」。
※岡部の(もどった!!〜)の部分の始め小かっこは半角。終わり小かっこも半角かは自信はない。
※ボイスでの「瞳」の読みは「メ」。
※「苦渋」は原文ママ。


   鳳 


 

 花 石 天 愛  
 柳 動 堂 城

 香 双 真 華
 子 葉 矢 恋

































   
シュタインズ・ゲートコラボ公演
奇異共演のリプロダクション