ヴィクトル・コンドリア大学脳科学研究所所属、牧瀬紅莉栖。脳の秘密を探 求してる。この世界、研究しがいがありそうね。 |
STEINS;GATEの登場人物。タ イムマシンで凍京にやってきたと主張し ている。 2010年の時点では、ヴィクトル・コ ンドリア大学脳科学研究所の研究員だっ た。18歳にして飛び級で大学を卒業し た才女。さらにアメリカの著名な学術雑 誌に論文が載り、一部で話題になってい る。ツンデレ。アメリカで女の子ながら 飛び級で進級していったこともあり、周 囲の妬みなどによく晒された影響で、気 が強い性格になった。誰に対しても隙を 見せまいとしており、いつもムスッとし ている。だが本質は好奇心旺盛で、興味 を持ったものにはやたらと首を突っ込ん でくる。理系人間。たまに常識外れな意 見を言ったりする。「被験者のプライバ シーより実験データを重視するべき」 等。岡部倫太郎からは「貴様、なかなか のマッドサイエンティストぶりだな」と よく言われるが、本人的にはそう言われ ることに納得していない。 |
未来ガジェット6号機を2199年の技 術で再現・改造した模造刀。 オリジナルはケミカルタイプの赤いサイ リウムに柄をつけて、剣のように持つこ とを可能としたものだったが、2199 バージョンではLEDの発光体を採用し たため、全16777216色の表現が 可能になった。ただしサイリウムの代わ りにライブ中に振り回すと危険極まりな いので、今のところ色の切り替え機能は 封印されている。 「戦闘時に血しぶきが舞った方が気分が 乗る」という理由で、従来通り赤い血し ぶきを飛ばすギミックも仕込まれてお り、自主レーティングによって噴出量の 調節が可能である。 |
頭 | エクスブレインは外部から脳波を計測し、フィード バックも視覚情報に限ることで、人間の情報処理能力 を生かしたのね。興味深い。 |
「コネリン」でネットにアクセスするのね。どれど れ、検索検索……えっ、@ちゃんがあぼーんされて る!? うう……鬱だ…… | |
「側頭葉に蓄積された記憶に関する神経パルス信号の 解析」サイエンス誌に掲載された論文ね。私の頭撫で ても御利益はないけど。 | |
電脳空間上の情報を操作できるなら、ジョン・タイ ターに関する過去の記述も改変されてる可能性があ る。真実は闇の中、か。 | |
体 | た、たしかにペユンゴにハマりすぎて、お腹周りが気 になってきたかも。全味制覇なんて目指すんじゃな かった……私、自重しろ。 |
洋服がプリントで出力できるからって、使い捨てじゃ ないでしょう。ソーイングセットくらい持ち歩くのが 当然の嗜みよね。 | |
「リビングデッド」って名称で助かった。「ゾン ビ」っていう単語だと、なんだか私を呼ばれてるみた いな感じがするのよね。 | |
死霊を注入されたリビングデッドは、外部からエネル ギーを摂取せずに活動が可能? ふむん、ずいぶんオ カルティックな設定ね。 |
勘違いしないでほしいんだけど、別に、好きで生死者追跡者をやってる わけじゃないんだからね。ただ、研究を進めたいだけ。 |
牧瀬紅莉栖 | ……ふむふむ。 |
……なるほど。 | |
……興味深いわね。 | |
岡部倫太郎 | 助手よ、今日も研究に励んでいるようだな! |
牧瀬紅莉栖 | 私は助手でも何でもない。で、なにか用事? |
岡部倫太郎 | いや……特に用事があるわけでもないんだが。 |
最近おまえ、ちょっとのめり込みすぎではないか? | |
牧瀬紅莉栖 | のめり込みすぎ? 何が? |
岡部倫太郎 | ここ数日、外へ一歩も出ずに、ずーっとパピルスと にらめっこをしているではないか。 |
コーヒーも、ちょっと消費が早すぎるようだし……。 | |
たまには気分転換も必要だろう? 外は冷たくて頭も冴えるぞ! | |
牧瀬紅莉栖 | はぁ……岡部。あんた、根本から勘違いしてるわね。 |
岡部倫太郎 | 勘違い? |
牧瀬紅莉栖 | 私たちは2010年の世界からタイムスリップして 2199年の凍京にやってきた。 |
ジョン・タイターの予言どころの話じゃない。この世界には、 189年分の知識が上乗せされてるのよ。 | |
岡部倫太郎 | そんなことはわかっているが―― |
牧瀬紅莉栖 | わかってない。そうね、私たちのいた時代から189年前、 1821年のことを考えてみましょう。 |
かのマイケル・ファラデーがモーターを発明した年。 日本では伊能忠敬のいわゆる『伊能図』がやっと完成した年ね。 | |
写真もなければライターもない。 麻酔も、電話も、電球も、ダイナマイトも! | |
1821年に生きてた科学者が、2010年の世界に タイムスリップしたら、どれだけのことを学べると思う? | |
岡部倫太郎 | それは……下手したら、一生かかるかもしれんな。 |
牧瀬紅莉栖 | そう! そんな大量の知識の蓄積、人類の叡智の営みが、 突然私の前に現れたの。それは言わば宝の山よ! |
で、岡部? あんたは科学者の私が、 その宝の山を放置して、外で雪合戦でもしてろって? | |
岡部倫太郎 | いや……そういうわけでは……。 |
牧瀬紅莉栖 | あんた、自称マッドな『サイエンティスト』でしょ? だったら2199年の科学技術に興味持ちなさいよ! |
例えば死霊術なんて、マッドなサイエンスそのものじゃない! | |
岡部倫太郎 | そ、それは確かにそうなんだが―― まだ、そんなに詳しくは―― |
月見里一巴 | おーい、なんか言い争いの声が聞こえたけど、どした? |
岡部倫太郎 | ガン・フー・マスター! た、助かった! |
月見里一巴 | 助かった? |
岡部倫太郎 | いや、助手の様子がいつもと違うというか……。 |
牧瀬紅莉栖 | 助手? 私よりも知識がないくせに、 私を助手扱いしないでもらえる? |
月見里一巴 | な……なんか雰囲気が違う!? |
岡部倫太郎 | だろう? まるで、科学に取り憑かれてしまったような……。 |
牧瀬紅莉栖 | そこに座りなさい! |
今から私が、死霊術について、 たっぷりレクチャーしてあげるから! | |
月見里一巴・岡部倫太郎 | 「「は……はい……」」 |
牧瀬紅莉栖 | 2010年から来た私たちが知ってる一般的なゾンビと、 2199年のリビングデッドの一番の違い――岡部、答えて。 |
岡部倫太郎 | え、ええと……色々改造されている、とか? |
牧瀬紅莉栖 | 確かにこの世界のリビングデッドは、 兵器として改造されてることも多い。 |
でも当然、改造されたHi−Fiだけじゃない。死霊を 打ち込まれただけのLo−Fiもたくさん存在してる。 | |
よって、岡部の回答は不十分よ。 ――月見里さん、あなたならわかるかしら? | |
月見里一巴 | え? ええと……ゾンビが走ってくるか、どうかとか? |
牧瀬紅莉栖 | はぁ……ゾンビ映画の主義の話をしてるわけじゃないの。 凍京のリビングデッドのもっとも大きな特徴―― |
それは、噛まれても伝染しないことよ。 | |
岡部倫太郎 | ふむ……確かにそれはそうだな。 |
月見里一巴 | あー。昔の映画のゾンビって、感染するのが当たり前なのか。 |
牧瀬紅莉栖 | 基本はそうよ。ゾンビは感染症のメタファーだもの。 感染し、コントロールが利かず、世界を滅亡に追い込む―― |
一方ネクロマンシーは、軍で研究・実用化された、 完全にコントロールできる技術よ。 | |
死体に死霊を打ち込まない限り、 リビングデッドが増殖することは有り得ない。 | |
勝手に人を襲うなんて心配も要らない。マスターが 近くにいる限り、リビングデッドは暴走しない―― | |
いいえ、暴走しないどころか高度に偽装されたHi−Fiは、 人間そっくりに行動することさえできるの。 | |
岡部倫太郎 | なんだと……!? そんなこともできるのか! |
月見里一巴 | ロシア系のネクロマンサーは、エンバーミングが上手いから。 外からじゃ、全く見わけがつかないこともあるよ。 |
エクスブレインが自動で再殺許可を出してくれるけど、 それだって結局技術のいたちごっこ。 | |
本当に最新の技術は、見た目だけじゃ見抜けないんだよね。 | |
岡部倫太郎 | ふん、では、リビングデッドと人間に判定方法はないと? |
月見里一巴 | えっと、方法はいくつかあって―― ひとつは、その……えっと……性欲かな? |
岡部倫太郎 | は? |
月見里一巴 | リビングデッドには、生殖本能を刺激されないっていう特徴が あって、エッチな格好をしてても、性欲を喚起されない……。 |
岡部倫太郎 | それは、正気で言っているのか? |
月見里一巴 | べ、別に個人の趣味がどうとかそういうわけじゃないよ! でも実際、そうなんだもん! |
牧瀬紅莉栖 | はいはい、HENTAIトークはそこまで。 |
人間の感情をベースにした鑑定法なんて不確実極まりない。 唯一絶対リビングデッドを人間の脳と区別する方法―― | |
それは、死霊解析よ。 | |
岡部倫太郎 | しりょうかいせき……? |
月見里一巴 | ああ、リビングデッドの脳を分析することで、その特徴を 調べて、誰がつくったものなのかを特定する作業。 |
牧瀬紅莉栖 | 人間とリビングデッドの脳は、根本から働きが違ってる。 でもそれは、死霊の働きだけでは説明できない。 |
神経に擬似信号を送るマイクロマシン、内臓や筋肉を 動かすための生体アクチュエータ、人工多能性幹細胞―― | |
死霊には死体を動かす様々な成分が配合されてるけれど、 もっとも重要なピースが欠けてる。 | |
それはエネルギーよ。生命は有機物を呼吸によって分解し、 ATPを合成してるの。それが生命活動の源となってる。 | |
でも、リビングデッドは外部から有機物を取り入れる必要が ないし、呼吸だってしなくて構わない。 | |
防腐処理を行わなければ肉体は腐敗していくけれど、それも エネルギー代謝とは全く関係ない作用よ。 | |
リビングデッドの動力源は何か? その謎は、2199年の科学でも解明されてないってわけ。 | |
これって、ものすごく重大な研究課題になると思わない!? | |
岡部倫太郎 | う、うむ、そうだな……。しかし……助手よ、 あまり一気に情熱を燃やしすぎても―― |
牧瀬紅莉栖 | そう、情熱よ! それがポイントなの! |
岡部倫太郎 | えっ……。 |
牧瀬紅莉栖 | リビングデッドのもうひとつの特徴――それは、ズバリ、 『時間が経つにつれて感情が劣化していく』ことよ。 |
人並み外れて強い感情を持ってた人は多少、長持ちする らしいけど、それでも感情の劣化は避けられない。 | |
ここで、脳科学を主戦場とする私の霊感は、 ひとつの仮説を導き出したの。 | |
死霊は、人間の感情を、リビングデッドのエネルギーに 変換してるんじゃないかって。 | |
資料によると、芸術的な素養が高ければ高いほど、 ネクロマンシーの技術が高いという考察があるそうよ。 | |
感情により強く訴えかけれらる人間が、より効率的に エネルギーの変換ができるんじゃないか? | |
今のところはインスピレーションに過ぎない。でも 仮説で解釈を打ち立てるのは、科学における重要な手続きよ。 | |
後は実際にネクロマンシーを研究して、 その脳の働きを――! | |
月見里一巴 | ちょっと待った! |
牧瀬紅莉栖 | なに、月見里さん? |
月見里一巴 | それ、どうやって研究する気だ? |
牧瀬紅莉栖 | それは……実際に、ネクロマンシーの現場を……。 |
月見里一巴 | ネクロマンサーはどこにリビングデッドを潜ませてるか わからないし、操作を止める手段もない。 |
だからその存在を見かけたら、すぐに殺害が 推奨されるような、危険な存在なんだぞ! | |
牧瀬紅莉栖 | え……いや、でも……。 |
岡部倫太郎 | 助手よ……お前、本気でネクロマンサーにコンタクトを 取ろうとしていたんではなかろうな? |
牧瀬紅莉栖 | い、いや、まさかそんな。いくら科学のためだからって、 そんな危ないことするわけないじゃない。あははははは……。 |
月見里一巴 | …………。 |
岡部倫太郎 | …………。 |
牧瀬紅莉栖 | と、とにかく! 私は引き続きネクロマンシーと 脳の働きの研究を続ける。 |
私のことは心配しなくても良いから、 また新しい未来ガジェットでもつくってなさいよ! | |
岡部倫太郎 | 助手め……確かに研究熱心なのは知っていたが、 あそこまで知識に貪欲な姿勢を見せるとは……! |
月見里一巴 | なあ、あのままだと本気で、 ネクロマンサーにコンタクト取りかねないんじゃ―― |
岡部倫太郎 | いや。なんだかんだ言っても、あいつは常識人だ。 法を犯した人間に、自ら接触することなどないだろう。 |
大丈夫なはずだ、恐らく、たぶん……。 | |
椎名まゆり | トゥットゥルー♪ オカリン、ちょっといいかなー? |
岡部倫太郎 | ん? どうしたまゆり。 |
椎名まゆり | あのね、クリスちゃんに着てもらうために、 ヘクセンナイトのコスをつくったんだけど……。 |
クリスちゃんが、ラボにいないんだー。 こんな時間に、どこに行っちゃったのかなぁ? | |
岡部倫太郎 | ……!? お、おい! ガン・フー・マスター! |
月見里一巴 | ああ、出かけたとしても、遠くには行ってないはずだ。 急いで捜そう! |
月見里一巴 | 問題は、紅莉栖がどこに移動したか―― |
岡部倫太郎 | 一巴よ、コネリンには簡易なスキャンをする 機能があったはずだな。 |
この足跡、クリスティーナのものじゃないか? | |
月見里一巴 | 真新しい足跡――どれどれ? |
ああ、一致したみたいだな。 | |
岡部倫太郎 | よし、雪で消えないうちに、追いかけるぞ! |
月見里一巴 | なあ、倫太郎。もし、紅莉栖が本当に、 ネクロマンサーとコンタクトをしてたら―― |
岡部倫太郎 | そんなことは有り得ない! |
確かに俺は狂気のマッドサイエンティストだが、 その助手もマッドとは限らんだろう? | |
むしろあいつはマッドとは真逆――人間として正しい道を 選べる人間で、だからこそ俺の助手にふさわしいのだ! | |
もしネクロマンサーとコンタクトを取ったとしても、 恐らく、相手に利用されているに違いない! | |
月見里一巴 | 紅莉栖のこと、信頼してるんだな。 |
岡部倫太郎 | 当然だ。なんと言っても、同じラボメンだからな。 |
月見里一巴 | ――と、ストップ! 足跡が――!! |
月見里一巴 | あっ、ここかあ……。 |
岡部倫太郎 | おい、ガン・フー・マスター!? |
月見里一巴 | ん……ああ、心配しなくて良いよ。ここは雪ニルヴァーナ。 屈指のハッカーにして死霊解析の専門家、コン・スーの家だ。 |
岡部倫太郎 | 死霊解析の専門家、ということは――? |
月見里一巴 | ネクロマンサーとはむしろ逆。 軍警察と協力する側の人間だから。 |
ネクロマンシーには立ち会えなくても、 死霊解析の現場なら、法律に違反する心配はないからね。 | |
岡部倫太郎 | ふん、なるほどな。さすが俺の助手。 賢い手段を見つけるものだ。 |
月見里一巴 | けど……ホントに大丈夫かな? |
岡部倫太郎 | 大丈夫って、何がだ? |
月見里一巴 | いや、死霊解析ってさ、実際何をするかって言うと―― |
牧瀬紅莉栖 | キャアアアアアーーーーーーっ!! |
岡部倫太郎 | おっ、おい! 紅莉栖!? どうかしたのか!? |
牧瀬紅莉栖 | お、岡部ッ!? た、た、助けて……!! |
岡部倫太郎 | 何だ!? 中で何があったんだ!? |
牧瀬紅莉栖 | リビングデッドを、開頭して―― か、か、海馬に電極をブッ刺して――! |
岡部倫太郎 | ん? それって、お前が言ってること、そのままじゃ……。 |
牧瀬紅莉栖 | 口に出すのと実際にそれをやるのとは違うわよ! それに、そのまま肋骨を切って、内臓の動きを観察―― |
心臓を切り外してるのに――電極だらけの リビングデッドの目は、私をぎろりと睨んで―― | |
お、思い出しただけで――う……おえっ! | |
岡部倫太郎 | お、おい! 背中、さすってやろうか? ほら! |
牧瀬紅莉栖 | ううう……だめ、吐き気が収まらない……ぅっ! |
月見里一巴 | ああ……そうだよな。オレたち慣れちゃってるけど、 やっぱりあれってグロいよな……。 |
見た目は生きたままの人間を、解剖して、 拷問するわけだし……。 | |
牧瀬紅莉栖 | あんなの、全く科学じゃない! |
も、もう……死霊解析なんて、こりごりよ! ううう……うぷっ! |
異性と触れ合うことで神経伝達物質ドーパミンが分泌される――その作 用に愛という名をつけるのは、なかなかロマンティックね。 |