えぇっ!? ちょっ、ちょっとぉ! どうして僕が こんな格好に!? |
あのぉ、るかさん……みんなに言ってください。巫女服は男が着るようなものじゃないって。 ……え? ……それ、本当ですか!? す、すみません! 失礼なことを言ってしまって! |
あの……みんな分かっているのかもしれないけど、僕、男なんだよ? なのに、なんで こんな格好をすることになったのか、全然 理解できないんだけど…… |
むぅ……嬉しくない…… |
せめて、袴を黒にしてもらえたら…… |
えっと、僕も行かなきゃ駄目かい……? |
やっと終わった……! ……はぁ…… |
あ、ありがとう。 褒められると嬉しいよ…… |
岡部倫太郎 | なんだ、助手とルカ子をリビングに 置きざりに、俺だけを2階に呼び出したりして…… 何か大事な話でもあるのか? |
今のところ、ダル……元の「世界」からの 連絡は来てないが、もしや世界線を戻す手段が 見つかったとでもいうのか? | |
赤坂美雪 | いや……それが、用があるって 言い出したのは菜央なんですよ。 私たちも、話の本題は聞いてないんです。 |
公由一穂 | えっと……どうしたの、菜央ちゃん? |
鳳谷菜央 | ちょっと、2人に聞いておきたいことがあるの。 岡部さんには、第三者からの意見もと思って 来てもらったのよ。 |
赤坂美雪 | どうしたのさ、そんなに改まって。 私に答えられることなら、 答えられる範囲で答えるけど。 |
公由一穂 | 美雪ちゃん……その言い方だとなんだか、 禅問答みたいだよ。 |
赤坂美雪 | あはは、やっぱわかった?……って菜央、 そんなムッとした顔しないでよ。 ちょっとした冗談なんだからさぁ。 |
鳳谷菜央 | ……結構真面目な質問のつもりだから、 笑わないで聞いてくれる? |
岡部倫太郎 | どうにも真剣な反応のようだな。 話すがいい、ミニクリスティーナよ。 |
鳳谷菜央 | あの……それ、あたしの呼び名で決定なの? まぁ牧瀬さん由来なら、別にいいけど……。 |
これからするのはとっても真面目な話だから、 茶化さず真面目に聞いて頂戴。 | |
赤坂美雪 | な、なんか怖いな……何の話? |
鳳谷菜央 | その……沙都子のお兄さんの、 悟史さんのことなんだけど……。 |
岡部倫太郎 | 北条悟史、か。彼がどうした? |
鳳谷菜央 | 実際のところ、あの人って本当に 「男性」なのかしら……? |
赤坂美雪 | は……? いや、ごめん。 さっき冗談言った私が言えた義理じゃないけど…… それ、マジの質問? |
鳳谷菜央 | いたって真剣に聞いてるつもりよ。 だって、その……神社で会った時の悟史さんって、 「アレ」な服装だったでしょ? |
赤坂美雪 | 巫女服だったね。 |
岡部倫太郎 | 巫女服だったな。 |
公由一穂 | うん……私、巫女服姿で挨拶された時は、 どう反応していいのかわかんなかったよ……。 |
赤坂美雪 | 私もだよ。けど、沙都子だけじゃなくて レナや魅音、梨花ちゃんや羽入も 当然のようにあの格好を受け入れてたしさ。 |
詩音に至っては「今日も似合ってますね♪」って 真顔で褒めてたよ、真顔でっ! あの子確か、悟史に惚れてるって話だったよね?! | |
鳳谷菜央 | あたしが詩音さんの立場だったら、 百年の恋も冷めて視界から追い出してると思うわ。 ……目立ちすぎてるから、無理かもだけど。 |
ただ、もしあたしが疑問に思ってることに 別の「事実」が加わったら、おかしいのは あたしたちの方ってことになるのよ。つまり……。 | |
公由一穂 | この「世界」だと、悟史くんは男性じゃなくて 女性になってる……ってこと? |
赤坂美雪 | …………。 |
鳳谷菜央 | …………。 |
岡部倫太郎 | …………。 |
赤坂美雪 | えっと……菜央。 それは笑わないとかじゃなくて、笑えない話だよ。 |
だって沙都子は、悟史のことを「にーにー」って 呼んでたんだよ? それに彼だって、 自分のことを「僕」って言ってたよね? | |
公由一穂 | そ、そうだよね……。 レナさんたちとの会話の中でも、悟史くんは 沙都子ちゃんのお兄さん、って何度も出てたよ。 |
鳳谷菜央 | あたしだってこの耳で、ちゃんとそう聞いたわ。 けど……。 |
岡部倫太郎 | ……なるほど。 ルカ子を見て、その疑問を抱いたわけだな。 |
鳳谷菜央 | そういうことです。 岡部さん、あなたの意見を聞かせてくれますか? |
岡部倫太郎 | そうだな……たしかにルカ子は可愛い。 女の子よりも女の子らしい。 そして、一人称は「ボク」……。 |
だが男だ。 | |
赤坂美雪 | そ、そうか……! 元の悟史くんが男だとしても、 この岡部さん曰くこの世界……棒? |
岡部倫太郎 | 世界線だ。うめぇ棒のように言うな。 |
赤坂美雪 | そう、それ! その世界線とやらが変化した この雛見沢の悟史くんは、女の子になってる 可能性が捨てきれないってことでしょ?! |
鳳谷菜央 | えぇ……そうなるわね。 |
公由一穂 | い……やいや、ちょっと待って! 「そうなるわね」じゃないよ! |
菜央ちゃんも美雪ちゃんも、漆原さんの正体を 知った時のインパクトに影響を受けすぎだって?! | |
赤坂美雪 | けどさ、一穂だって「事実」を聞かされた時は 言葉を失うくらい驚いてたじゃんか。 |
公由一穂 | そりゃ、まぁ……確かに……。 で、でもだからって……! |
岡部倫太郎 | ……可能性が無い、とは言い切れない。 いや、むしろその可能性はある、と 考えるべきだろう。 |
公由一穂 | えっ?! |
岡部倫太郎 | 俺が知る『北条悟史』は、確かに男だ。 しかし、世界線の変動の影響を受けた この世界線の彼の身体的性別は、未だ不確定。 |
この世界の『北条悟史』が女の身体である 可能性は、捨てきれないということだ。 | |
公由一穂 | で、でも世界線が変わったら性別が変わるなんて……。 |
岡部倫太郎 | いや……ある。 実際、「前例」とも呼べる事象を俺は知ってる。 |
公由一穂 | そ、そんな……。 |
赤坂美雪 | んー、この「世界」の悟史くんって、 単体だと男の子に見えるけどさ……。 |
横に漆原さんが並ぶと、なんというか…… 性別がよくわからなくなるんだよね。 | |
岡部倫太郎 | ルカ子は言うまでもないが、 北条悟史もなかなかの女顔だからな……。 |
鳳谷菜央 | いずれにしても、私たちは沙都子たちと違って 元の悟史さんを知らないし、この「世界」の彼とも 付き合いが長いわけじゃないもの。 |
当分の間、顔を合わせる機会が増えることを 考えたら……そういった疑問というか懸念は、 さっさと取り除いておくべきじゃないかしら? | |
岡部倫太郎 | 俺も賛成だ。……不安にさせるようだが、 わずかな世界の変化でも、 それがどんな影響を及ぼすかはわからない。 |
バタフライ・エフェクト…… 気まぐれな蝶の羽ばたきの影響で、 竜巻が起こる可能性は否定できないからな。 | |
公由一穂 | ……けど、どうやって悟史くんの性別を調べるの? 直接聞くの? |
鳳谷菜央 | 問題はそこよね。 |
岡部倫太郎 | 仕方ない……俺が叡智を授けてやろう。 だがこの作戦は、お前たちの協力を得ずには 成し遂げられない……やってくれるか? |
赤坂美雪 | もっちろん。未来ガジェット研究所 ボスからのご命令ですからねー。 |
雛見沢分室メンバーとして、 身を粉にして働かせていただきまっす♪ | |
鳳谷菜央 | なにすればいいのかさっさと教えなさい、ボス。 |
岡部倫太郎 | お前たち、人をボスと呼ぶくせに敬意がないな……。 |
公由一穂 | な、何を手伝えばいいんですか……? |
岡部倫太郎 | なに、大したことではない。 ……だが心してかかれ。 |
この作戦には、世界線変動後の 安寧がかかっている! | |
いくぞ――『オペレーション・テイレシアス』発動だ! |
赤坂美雪 | よしよし、周りには誰もいないね。 ……それじゃ、昼休みが終わる前に さっさと済ませちゃおうか。 |
……というわけで、我らがボスが提案せし 『オペレーション・テイレシアス』を再確認する! | |
鳳谷菜央 | あんた、口調がちょっとボスに似てきてるわよ。 |
赤坂美雪 | あ、わかる? あの口調移っちゃうんだよね〜……じゃなくて。 作戦内容を確認するよ。 |
悟史くんに偶然を装いながら近づき、 うっかり躓いたふりをして抱きつくことで、 胸の感触を確かめる……! | |
これなら、あえて失礼な質問をすることなく 確実に男女どちらなのかを確かめることが可能! | |
公由一穂 | ……ねぇ、美雪ちゃん。やっぱり考え直さない? その作戦、本当に大丈夫なのか心配になってきたよ。 |
鳳谷菜央 | なんだか流されてここまで来ちゃったけど、 正直、そっちの方が面と向かって尋ねるよりも よっぽど恥ずかしくないかしら……? |
公由一穂 | 女の子の場合はともかく、 悟史くんが男の子のままだった場合、 大変なことになるんじゃ……。 |
赤坂美雪 | じゃあ直接聞きに行く? 悟史くんは男の子? 女の子? って。 |
鳳谷菜央 | ……それもなんだか抵抗があるのよね。 |
赤坂美雪 | じゃあやるしかないでしょ。 |
他に作戦があるんだったらボスに提案するよ。 で、どうする? | |
鳳谷菜央 | ……やるしかないわね。 |
公由一穂 | 菜央ちゃん?! |
鳳谷菜央 | 元はといえば、あたしが言い出しっぺだもの。 問題提起した責任の分くらいは努めさせてもらうわ。 |
公由一穂 | ……悟史くんが男の子でも女の子でも、 私は別にどっちでもいいと思うんだけどな……。 |
赤坂美雪 | 一穂の気持ちはわかる。 正直、私だって気は乗らないよ? でも、確かめないことには前に進まないからね。 |
それに、ボスが言ってたじゃん。 問題は性別が変わってることじゃなくて、 それに付随する別の大きな変化だって。 | |
公由一穂 | だとしたら、どうして肝心のボスは ここにいないの……? |
赤坂美雪 | そりゃ、女性同士だったら 多少のボディタッチは挨拶みたいなモノだけど、 男性が立ち会うと気まずくなる、とかあるからね〜。 |
万が一、この世界の悟史くんが女の子だった場合 何らかのトラブルが起こって……ボスが悟史くんの 胸を触ったりしたら、大変なことになるよ? | |
赤坂美雪 | 牧瀬さんはボスの頭骨を切開して電気流すだろうし、 漆原さんは泣くだろうし、詩音はボスを地の果てまで 追い詰めて、最終的にくびり殺しちゃうかもだし……。 |
公由一穂 | た、たとえが極端だよ……! だいたい身体に触れるような状況って、 普段でもめったに起こらないでしょ? |
赤坂美雪 | えー、そんなことないと思うけどなー。 ねぇ、菜央〜? |
鳳谷菜央 | ……というか、美雪は何かごまかす時とかに べたべた触ってくるのを少し減らしなさい。 たまに暑苦しいし、うっとおしいのよ。 |
赤坂美雪 | へーへー、戻ったら前向きに検討いたしますー。 ……というわけで、作戦行動に移るよ。 |
公由一穂 | えっ……まだ誰がやるか決まってないよね? |
赤坂美雪 | うっかり分室メンバー、公由一穂。 キミに全てを託す! 武運を祈る! |
公由一穂 | 絶対嫌だよ! っていうか、うっかり分室メンバーってなに?! いい加減私だって怒るよ、美雪ちゃん! |
赤坂美雪 | 一穂が怒るよって言う時って、 もう既に取り返しがつかないレベルで 怒ってるよねー。 |
公由一穂 | 美雪ちゃんっっっ! |
鳳谷菜央 | ……ねぇ。冷静に考えると、巫女服の下に サラシとか厚手のTシャツとかを着込んでたら、 たとえ女性だったとしてもわかりづらくない? |
赤坂美雪 | ふむ、なるほど……。その点については、 確かに気が回ってなかったよ。ボスも巫女服は 着たことがないだろうし、盲点だったかもね。 |
鳳谷菜央 | ボスが巫女服を着たことがあったら、 それはそれで……うーん、特に問題はないわね。 今度着せてみましょうか? |
赤坂美雪 | お、いいねぇ! 漆原さんもお揃いだって喜んでくれるかも! |
公由一穂 | それ、岡部さんすっごく嫌がるんじゃないかな……? |
鳳谷菜央 | まぁ、話の脱線はこれくらいにしましょう。 ……というか、別に直接触れなくても 確かめられる方法が他にもあるじゃない。 |
まぁ、ちょっと鬼の所業には なっちゃうかもだけど……。 | |
公由一穂 | お、鬼の所業……?! それって何をするの、菜央ちゃん? |
鳳谷菜央 | 要するに、自分から服を脱がせちゃえばいいのよ。 名付けるなら、『オペレーション・北風と太陽』ね。 |
赤坂美雪 | ……菜央のセンス、ボスに影響されてない? |
鳳谷菜央 | っ?! し、しまった……ボスのが感染しちゃった?! |
公由一穂 | そんな病気みたいに言わなくても……。 |
鳳谷菜央 | よっと……とっとっ。 |
北条悟史 | あれ……菜央ちゃん? どうしたの、授業終わったのにこんなところで 水の入ったバケツなんて抱えたりして。 |
鳳谷菜央 | あ、悟史さん。外の排水溝にゴミが詰まってたから 取り除こうとしたんだけど、濡れて渇いた落ち葉が 貼りついて取れないのよ。 |
だから水を流して汚れを落とそうと思…… きゃああっ?! | |
北条悟史 | うわっ! |
鳳谷菜央 | ご、ごめんなさい……! 悟史さんの服、水浸しになっちゃった……! |
ごめんなさい……ごめんなさい……! どうしよう、このままじゃ風邪引いちゃう……! | |
北条悟史 | ううん、気にしないでいいよ。 これから神社でのバイトがあるから、 着替えを持ってきていたんだ。 |
鳳谷菜央 | で、でも……。 |
北条悟史 | 神社で着替える予定だったのが、 教室で着替えて行くのに変わっただけだよ。 大丈夫だって。 |
鳳谷菜央 | ……ありがとう、悟史さん。 |
北条悟史 | どういたしまして。僕は着替えるから、 教室に置いてる荷物を先に持っていって もらってもいいかい? |
鳳谷菜央 | えぇ、すぐまとめるわ。 |
鳳谷菜央 | ……どうやら、教室で着替え始めたみたいね。 2人とも、もう出てきていいわよ。 |
一穂&美雪 | …………。 |
鳳谷菜央 | 大丈夫、教室の鍵はかからないように 細工しておいたから。 早く中に入って、確認してきてちょうだい。 |
公由一穂 | 前から思ってたけど、菜央ちゃんって 女優さんだよね……。 |
赤坂美雪 | 演技力高すぎて怖かった……というか、 これじゃ『北風と太陽』じゃなくて 『北風と大雨』作戦じゃない? |
鳳谷菜央 | うるさいわね。今を逃したら 確認するチャンスはもうないわよ。 |
赤坂美雪 | はぁ、仕方ない……行くよ、一穂。 |
公由一穂 | えっ、私も?! |
赤坂美雪 | 一穂が一緒だとうっかり入っちゃったって 言い訳の信憑性が高くなるんだよ! |
ほら、行くよ! 悟史くんの性別に、 世界の安寧がかかってるんだから! | |
公由一穂 | う、うぅう……! わかった、行くよぉ! |
北条悟史 | えっ?! う、うわぁああーっ! |
公由一穂 | わ、わあっ?! |
(上半身全部脱いでるとは思わなかった……!) | |
赤坂美雪 | あっ、ごめん。忘れ物取りに来たんだけど、 まさか着替えてるとは思わなくて……。 |
北条悟史 | ご、ごめん。こっちこそ変なもの見せて……。 |
赤坂美雪 | いやいや、気にしないから大丈夫。 こっちこそごめんね……。 |
えーっと、忘れ物あった! それじゃ、ごゆっくりお着替えどうぞ〜。 | |
よし、確認完了! 身体は完全に男だった! よかった! 世界は救われた! | |
鳳谷菜央 | これでオペレーションは、完了ね。 さっそく報告に行きましょう。 |
公由一穂 | う、うぅ……なんだかこっちまで 恥ずかしくなってきちゃった。 まさかあそこまでばっちり見ちゃうなんて……。 |
??? | なにを、見ちゃったんですか? |
公由一穂 | なにって、悟史くんの裸の上半身……えっ? |
園崎詩音 | へぇ。悟史くんの半裸……もしくは全裸を、 ご覧に、なったと、いうわけですか……ッ?! |
公由一穂 | しししし詩音さん?! どうしてここに?! |
園崎詩音 | どうしてもこうしても、悟史くんと沙都子に 会いに来たんですよ。当たり前じゃないですか。 |
興宮の学校が終わるのが遅くなったんで、 先にここを見ていなかったら神社かなー、って 思っていたんですけど……。 | |
で……? どこまで、何を見たんですか……ッ? | |
鳳谷菜央 | えーっと、それは……その……っ! |
赤坂美雪 | せ……戦略的撤退! ボスとの合流地点に向かい、指示を請う! |
公由一穂 | えっ、えっ? |
鳳谷菜央 | なにしてるの、逃げるわよッ! |
園崎詩音 | 逃がすかっ! |
公由一穂 | えええええーっ!!! |
鳳谷菜央 | はぁっ、はぁ、はぁ…… なんとか逃げ切れたみたいね。 |
赤坂美雪 | ぜぇ、ぜぇ、ぜぇ……し、死ぬかと いや、殺されるかと思った……! |
公由一穂 | こここ怖かった……! 笑顔で追いかけてくる詩音さんが、 ものすごっく怖かったよぉ……! |
岡部倫太郎 | 大丈夫か? 分室ラボメンたちよ。 で、『オペレーション・テイレシアス』は どうなった? |
鳳谷菜央 | 作戦は直前で『オペレーション・北風と太陽』に 変更しました。 そっちの方が確実だったんで。 |
岡部倫太郎 | なにっ?! そうか、自発的に服を脱がせる 作戦があったとは…… やるな、ミニクリスティーナ! |
鳳谷菜央 | ……どうも、ありがとうございます。 |
赤坂美雪 | えーっと、なんでこの2人はあの言葉だけで 意思疎通できてるの? |
公由一穂 | な、なんでかな……? |
岡部倫太郎 | で、どうだった? |
鳳谷菜央 | 悟史さんの身体は、確実に男だったわ。 |
岡部倫太郎 | そうか、性別の入れ替えはこの世界線だと 起こらなかったのか……。 |
フゥーハハハ! よくやった分室ラボメンたちよ! これで世界は救われ……。 | |
園崎詩音 | ……へぇ。 つまり、この人に言われてやったんですか? |
赤坂美雪 | うえあっ?! ななな、なんでここに詩音が?! |
園崎詩音 | 悟史くんに聞きましたよ。 |
まさか、水をぶっかけたのはわざとで、 着替えさせた上で悟史くんの裸を見るように、 この人に言われたんですか……ッ? | |
公由一穂 | え、えっと、それは、あのっ……その……っ! |
赤坂美雪 | そうです! この人にやるように言われました! 我らがボス、岡部倫太郎に! |
岡部倫太郎 | ぬあっ?! |
鳳谷菜央 | 最初にボスが出したのは、もっと過激な案だったわ。 |
岡部倫太郎 | ななななな何を言うか! ボスを売るのか?! お前たちだって……! |
牧瀬紅莉栖 | ちょっと……あんた、なにやってるのよ。 |
漆原るか | お、岡部さん……? |
岡部倫太郎 | 助手?! ルカ子?! |
牧瀬紅莉栖 | 小学生と中学生に何を吹き込んだのか 知らないけど、悪事に手を染めさせるなんて最低よ。 |
漆原るか | き、きっと岡部さんには深い事情があったんですよ。 ですよね、岡部さんっ! |
岡部倫太郎 | そそそうだそうだ! 世界の安寧、 そして世界線を変えるためには 正確な変貌を確認することが……! |
園崎詩音 | ……岡部さん。よかったら、 これからうちに来ませんか? |
岡部倫太郎 | えっ、うち? うちって、 まさか園崎家本邸……では、ないよな? |
園崎詩音 | その通りです♪ うちには地下室がありまして、 選ばれた人しか入れない、特別な場所なんです。 |
興味……ありませんか? ありますよね……なくても連れていきますけど、 いかがですかぁぁぁ……ッ? | |
ねぇ……ボス……ッ?! | |
岡部倫太郎 | う、う……うわぁああああああっ!!! |
牧瀬紅莉栖 | あ、逃げた。 |
園崎詩音 | 逃がすかぁっ!!! |
赤坂美雪 | ファイトだボス! 逃げ切るんだボス! |
鳳谷菜央 | ボス頑張って〜。 |
公由一穂 | ああぁぁあ、ボス逃げて! ボス逃げてっー! |
岡部倫太郎 | お前たち、応援するなら逃亡を手伝えーーっ!! |
公由一穂 | 結局、ボス……もとい岡部さんは 怒り心頭の詩音さんに散々追い回され……。 |
最終的に電話ボックスの中で精も根も尽き果てて ぐったりしたところを発見されました。 | |
私は、世界を守るのは大変だなって 思いました……まる。 | |
岡部倫太郎 | 人の苦労を3台詞でまとめるなーっ! |
園崎詩音 | あら……復活したみたいですね。 じゃあ行きましょうか、岡部さん♪ |
岡部倫太郎 | ウワァアアアアアーッ!!! |