未来ガジェットを手に入れた私は、まさに鬼に金棒。武蔵に二刀流! 最強の組み合わせでしてよ? |
これまでの私のトラップは、機械仕掛けの応用によるところがありましたけれど…… なるほど、電子やプログラムの技術を使えば、さらに威力と効果を倍増できそうですわね。 |
電話を使うことで、音声だけではなく、情報データを やり取りする。 これまでの戦術理論が根底から覆る、ものすごい技術革新ですわね。 是非とも習得したいのですけれど、あまりにも難しすぎて…… |
科学の勉強は、なかなか骨が折れましてよ? |
やりたいことと目標が合致すれば、私も それなりに頑張れるのですけどね…… |
机の上での学問より、調査活動のほうが私の性に合っておりましてよ? |
えっ、これから集めた物の分析? か、科学って面倒なものですわね…… |
ふむ、科学は ためになるものばかりですわね |
岡部倫太郎 | ……では、始めるぞ! 準備はいいかクリスティーナ、そして サトノオリハルコンよっ! |
牧瀬紅莉栖 | だから、ティーナって付けるな! |
北条沙都子 | あの……その呼ばれ方ですが、 やっぱり変な感じに聞こえますので 止めてくださいませんこと? |
牧瀬紅莉栖 | ……無駄よ、沙都子ちゃん。 私もかれこれ何千回、何万回言っても 全然懲りないし、学習もしないんだから。 |
北条沙都子 | はぁ……苦労されておりますのね、 牧瀬さんも。 |
牧瀬紅莉栖 | 行き過ぎた厨二病がなければ、 悪いやつじゃないんだけどね……。 |
岡部倫太郎 | よし……カウントダウン開始だ! 3、2、1……ポチっとな。 |
北条沙都子 | ふ……ふわぁぁあぁっ?! コードも使わずに、丸太を転がすトラップが 一斉に作動いたしましたわっ?! |
お、岡部さん牧瀬さんっ! これって、いったいどういう仕組みですの?! | |
岡部倫太郎 | なに、簡単なことだ。トランシーバーの機能を 応用して電波を飛ばし、受信機に電気が流れることで 回路内に仕込んだ銅線が熱を帯びて……。 |
そこに接していたロープが焼き切れることにより、 丸太の固定が外れて仕掛けが発動したというわけだ。 どうだ、驚いたか!? | |
北条沙都子 | え……えぇ……! 電子部品を使うことで、ここまで正確かつ緻密な メカニズムの構築が可能になるなんて……! |
私、これまでは自らをトラップマスターと 称しておりましたが……まさに文字通り、 井の中の蛙だったと思い知りましたのよ。 | |
……脱帽ですわ。とても悔しいですが、 これはもう敗北を認めざるを得ませんの。 | |
牧瀬紅莉栖 | ちょっ……落ち込まないで、沙都子ちゃん。 あなたのトラップ、さっき見せてもらったけど とてもよくできてた。 |
それに、自分に足りなかった現状を 悔しいって気持ちと一緒に受け止められるのは、 なかなかできることじゃない。 | |
誇りに思って、沙都子ちゃん。 あなたには、十分成長の見込みがある…… この私が保証する。 | |
北条沙都子 | ま、牧瀬さん……! |
牧瀬紅莉栖 | ……むしろ、回路設計から部品の選定と調達まで 他人に任せておいて、自分ではハンダ付けしか やってないくせに自分の発明だと言い張る――。 |
どこかの誰かさんに、その謙虚さの何%かでも 分け与えてやってほしいわね。 | |
岡部倫太郎 | ぐっ!?……な、何を言うか、助手よ! このアイディアを考えたのは誰だ? 誰だ? 誰だ!? |
そう、これらを最初に考案したのは この狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真! 当然発明者もこの俺となるのが、自然の定理だ! | |
フゥーハハハ! どれだけ時代を遡ろうとも、 この科学への探求心と創造への情熱は何人にも 止められやしないのだ! そう、神でさえも!! | |
牧瀬紅莉栖 | はいはい、ワロスワロス。 あぁ言うところは真似しないでね、沙都子ちゃん。 |
岡部倫太郎 | ぅおぉぉいいぃっ、どういう意味だ助手よ!? |
牧瀬紅莉栖 | けど、この時代……というより、この「世界」で 調達できる電子部品だと、このくらいの範囲が 限界なのはちょっと悔しいわね。 |
岡部倫太郎 | うむ……あと、山の中だと生い茂る木々の枝葉が 電波の邪魔をして、設置場所が限定されてしまう。 そのあたりは、今後の課題になるだろう。 |
北条沙都子 | …………。 |
岡部倫太郎 | ん……? どうしたサトノオリハルコンよ。 今の説明が難しかったのであれば、 戻ってから図解込みで教示してやるぞ。 |
うちの助手がな! | |
牧瀬紅莉栖 | アフターケアまで丸投げするんじゃない! |
北条沙都子 | い、いえ……まだ十分に理解が できたわけではありませんが、その……。 |
私……心の底から、感動しているのですわ。 まるで魔法のような超常の力やメカニズムを、 現実のものにしてしまう……。 | |
科学って、本当にロマンチックな魅力に 満ちた学問なんですのね……。 | |
岡部倫太郎 | おぉ……! 科学の素晴らしさを理解できるとは さすが分室のラボメン! 実に見込みがあるぞ、 サトノオリハルコンよっ! |
よしっ! では次の仕掛けに移るとしよう! 今のもの以上に驚きのギミックを用意して やったから、しっかりと学んでいくがいい! | |
北条沙都子 | 了解ですわ、をーっほっほっほっ! |
牧瀬紅莉栖 | ちょっ……まだ続けるつもりなの? 日が暮れる前に引き上げないと、 山道が真っ暗になって帰れなくなるわよ? |
漆原さんたちが、せっかく家で夕飯を作って 待ってくれてるのに…… 迷子になって帰るのが遅くなったらどうするのよ。 | |
岡部倫太郎 | 心配は無用だ、助手よ! 備えあれば憂いなし、 こんなこともあろうとちゃんと準備してきた。 ……どうだ、これを見よ! |
牧瀬紅莉栖 | なっ……懐中電灯っ? しかも、頭の左右に2本差し……!? |
岡部倫太郎 | そうだ! これさえあれば日が暮れて 夜になったとしても、問題なし! 存分に仕掛け作りに専念できるぞ! |
牧瀬紅莉栖 | ねぇちょっと、その格好で寒村が揃うと、 「あの」事件の凶悪犯を 想像してしまうんだけど……。 |
北条沙都子 | では、岡部さん……いえ、ボス! 帰り道は私がよく存じ上げておりますので、 どうかお任せくださいませ! |
岡部倫太郎 | よくぞ言った、サトノオリハルコン! では、行くぞッ! 俺に続けぇぇぇ!! |
北条沙都子 | 参りますわぁ、をーっほっほっほっ! |
牧瀬紅莉栖 | …………。 |
ダメだ。とても付き合ってられない……。 |
牧瀬紅莉栖 | ……なんてことがあったのよ。 はぁ、すっごく疲れた……。 |
漆原るか | だ……大丈夫ですか? はい、どうぞ。温かい飲み物です。 |
牧瀬紅莉栖 | ありがとう…… はぁ、あったかい緑茶が染み入る……。 |
公由一穂 | あ、あははは……大変でしたね、牧瀬さん。 |
牧瀬紅莉栖 | ……まったくよ。岡部のやつ、 自分の歳も忘れて本当に日が沈む直前まで 沙都子ちゃんと山中を走り回ってるんだもの。 |
橋田からの連絡も来ないし、 少し元気がないみたいだから、気分転換に なればと思って誘ってみたんだけど……。 | |
赤坂美雪 | 気分転換どころか、水を得た魚のように ファイト一発に覚醒しちゃったんですねー。 |
漆原るか | ふふっ……でも、戻って来た時の 岡部さん、とっても楽しそうでしたよ。 ボクも一緒に行けばよかったなぁ。 |
牧瀬紅莉栖 | いやいや、私はもうお腹いっぱい。 明日もやる、ってあの2人は言ってたけど、 さすがに遠慮させてもらうつもりよ。 |
漆原さんが行きたいなら止めないけど、 かなりヤブの中を走り回らされたから……。 | |
鳳谷菜央 | だとしたら、その格好は ちょっと危険かも知れないわね。 |
赤坂美雪 | 動きやすい服とか貸せたらいいんだけど、 あいにくうちだとちょっと…… あ、なんだったら魅音に相談してみる? |
公由一穂 | うーん……とんでもない服が出てきそうだから、 やめておくほうがいいんじゃないかな……? |
赤坂美雪 | んー、確かに。 下手したらバニースーツとか出てくるからね。 |
牧瀬紅莉栖 | 山道でバニーが出てきたら、 それはもうおとぎ話かホラーの領域でしょ……。 |
鳳谷菜央 | 振り幅の大きすぎる二者択一ね。 |
漆原るか | あ、あんまり可愛い服はちょっと…… 恥ずかしいので。 |
公由一穂 | (まぁ、何が出てきても漆原さんなら 似合うと思うけど……) |
牧瀬紅莉栖 | あれ……そういえば、岡部は? 夕食の後にお風呂に入るって言ってから、 姿が見えないんだけど。 |
漆原るか | 岡部さんなら、お風呂から上がってすぐに 2階の空き部屋へ上がっていきましたよ。 明日の準備があるから、って言ってました。 |
牧瀬紅莉栖 | あいつ、私たちにとって今大事なことは なんなのか、すぽーんと忘れて田舎生活を 満喫してるんじゃないの……? |
公由一穂 | あ、あはは……でも岡部さんが来てから、 沙都子ちゃんすごく楽しそうですよ。 |
鳳谷菜央 | そうね。 沙都子と岡部さんって、少し似てるもの。 |
牧瀬紅莉栖 | えっ、そうかしら? |
公由一穂 | 沙都子ちゃんも、興味を持った分野に対しては すごい集中力を発揮するんです。 あの山のトラップも、1人で作ったそうですよ。 |
漆原るか | あんな小さな女の子が、1人で……ですか? す、すごいですね。 |
鳳谷菜央 | 沙都子って、学校の勉強が得意なほうじゃ ないんだけど……ひょっとしたら今回のことで、 理系の学問に興味を持つかもしれません。 |
赤坂美雪 | おぅ……科学者北条沙都子、爆誕! |
牧瀬紅莉栖 | ふふっ、科学に携わってきた者としては、 そうなってくれたら光栄ね。 |
沙都子ちゃんが将来有望なのは間違いないし、 もしかしたら将来私たちと一緒に……ん? | |
岡部倫太郎 | おっ。どうした我がラボメン&分室ラボメンたちよ。 今宵はずいぶん夜更かしを楽しんでいるようだな。 |
鳳谷菜央 | それはこっちの台詞ですよ。 岡部さんが何をしてるのか知りませんけど、 私たち3人は今一穂の部屋で寝てるんですから。 |
作業が終わらないと、ガタガタうるさくて ゆっくり眠れないんですからね。 | |
岡部倫太郎 | くっ、相変わらず一言多い小動物だな……! |
牧瀬紅莉栖 | 小さい子相手に大人げないわよ、岡部。 |
公由一穂 | えっと……それで岡部さんは、 明日の準備が終わったんですか? |
岡部倫太郎 | いや、煮詰まってきたので小休止だ。 もしよかったら、冷たいものをもらえると ありがたいのだが。 |
赤坂美雪 | 麦茶でいいですか? 冷蔵庫に冷えたのがあるから、 ちょっと取ってきますね。 |
岡部倫太郎 | おぉ、助かる。……それと、外を見たら 結構な雨が降ってきたみたいだぞ。 |
漆原るか | 雨……? あ、確かに雨音が聞こえてきますね。 今夜の天気って、どうなってましたっけ? |
鳳谷菜央 | ちょっとTVをつけるわね。……えっと、 明日の昼前まで大雨らしいわ。 |
牧瀬紅莉栖 | ねぇ、明日もトラップの実験をやるって 言ってたけど……大丈夫? |
岡部倫太郎 | ふーむ……水に濡れると動作不良になる電子部品も あることだし、残念だが見送ることにしよう。 サトノオリハルコンにも、その旨を伝えおかねばな。 |
公由一穂 | わかりました。じゃあ沙都子ちゃんの家に 電話を……あれ? 沙都子ちゃんって今、 どこに住んでるんだっけ……? |
……わっ?! | |
赤坂美雪 | あれ……電話が鳴ってるね。 一穂、悪いけど出てくれるー? |
公由一穂 | う、うん。はい……もしもし? |
北条悟史 | 『もしもし……一穂ちゃん? 夜分にごめんね、そっちに沙都子っている?』 |
公由一穂 | えっ……? い、いないけど……どうして? |
北条悟史 | 『いや……夕方には戻るって聞いていたんだけど、 まだ帰っていないんだよ。今日は岡部さんたちと 裏山に行くって言っていたから、それで……』 |
公由一穂 | 沙都子ちゃんが……帰ってない?! |
鳳谷菜央 | ど、どういうこと……?! |
公由一穂 | 岡部さん、牧瀬さん! 沙都子ちゃんは家に戻ったんじゃないんですかっ? |
岡部倫太郎 | いや……実験が終わった後は 「家に帰る」と言ったから、彼女とは 裏山の入口で別れたのだが……。 |
漆原るか | ひょ、ひょっとして……事故に遭ったとか? それとも――! |
牧瀬紅莉栖 | 悪い方向に考えるのはやめて、 今はとにかく現場に行きましょう! 行方を探すのはそれからよ! |
公由一穂 | わ、わかりましたっ! |
牧瀬紅莉栖 | 私たち、ここで彼女と別れたの。 |
岡部倫太郎 | かなり雨脚が強くなってきたな。 くそっ、足跡から探すのは無理か……。 |
漆原るか | あの……どこかで雨宿りしてるって可能性は ないんでしょうか? |
鳳谷菜央 | 可能性としてはあるかも……かも。 でも、もしそうだとしたら 探すのに時間がかかりそうね。 |
赤坂美雪 | んー、せめて手がかりでもあれば……。 |
公由一穂 | ねぇ……何か聞こえない? |
岡部倫太郎 | ん、何がだ? |
公由一穂 | なんだろう、これ……ずーっと聞こえてる。 |
岡部倫太郎 | 俺には聞こえないぞ? |
牧瀬紅莉栖 | 私も、大雨で何も……。 |
鳳谷菜央 | あんた、耳いいのね。……でも、何の音? |
岡部倫太郎 | その音に、規則性はないか? 何かそう、トントン、とかツー、とか 言葉にたとえられるような……。 |
赤坂美雪 | あっ……そうか、モールス信号! 一穂、聞こえてる音を声に出してみて! |
公由一穂 | う、うん! えっと…… |
トン、ツー、トン、ツー……ツー、ツー、トン、トン…… トン、ツー、トン、ツー……ツー、ツー、トン、トン…… | |
赤坂美雪 | 長点4と、短点1、長点3……アルファベットじゃない。 ひらがなだ。だとしたら……ヤコ……コヤ? |
岡部倫太郎 | ぬぉっ……よくわかったな!? |
赤坂美雪 | これでも元、ガールスカウトだからね。 けど、「コヤ」ってなんだろう? |
牧瀬紅莉栖 | 普通に考えたら、物置小屋とかの小屋よね? |
漆原るか | 物置小屋が庭にあるお家って、 村の中にたくさんありましたよね……。 |
鳳谷菜央 | そもそも、このモールス信号が 沙都子のものかどうかわからないのに…… 手がかりにしてもいいのかしら? |
古手梨花 | みー、一穂ーっ! |
古手羽入 | 梨花ぁ、雨の中を走ると危ないのですよー! |
公由一穂 | あっ……梨花ちゃん、羽入ちゃん! もしかして、沙都子ちゃんを探しに来たの? |
古手梨花 | はいなのです。 沙都子は、見つかりましたですか? |
赤坂美雪 | いや、私たちも探してるんだけど…… ねぇ、この辺りにある小屋で、 梨花ちゃんに心当たりはある? |
古手梨花 | 一応、いくつかは…… そこに沙都子がいるのですか? |
岡部倫太郎 | わからん……まだ可能性の段階だ。 |
古手梨花 | ……みー。少しでも可能性があるなら、 見に行きたいのですよ。 |
岡部倫太郎 | よし……わかった。 ならば、全員で行くとしよう。それでいいか? |
古手羽入 | 了解なのです! 絶対に沙都子を 見つけ出してみせるのですよー、あぅあぅっ! |
岡部倫太郎 | むっ、これは……? |
古手梨花 | 沙都子が秘密基地にしているのですよ。 あの場所からだと、ここが一番近い小屋なのです。 |
牧瀬紅莉栖 | 山の中に、こんな場があったなんて……。 |
古手梨花 | ……沙都子! 沙都子、いるのですか?! |
北条沙都子 | えっ……り、梨花?! 皆さん大勢で、いったいどうしましたの? |
古手梨花 | どうした、ではないのですよ……! みんな、沙都子を心配して探しにきたのです。 |
北条沙都子 | そ、そうでしたの……? 少し寄り道をしてすぐに帰るつもりだったのですが、 気がついたら雨が降り出して……。 |
勢いが弱まるまで雨宿りのつもりでしたが、 随分時間が経ってしまったようですね。 ……ご心配をかけて、申し訳ありませんでしたわ。 | |
古手梨花 | みー、沙都子が無事だったのなら それが一番なのですよ。にぱー。 |
岡部倫太郎 | うむ。……しかし、あのモールス信号は どうやって打ったのだ? |
北条沙都子 | えっ……もしかして皆さん、 あれを聞きつけてこちらに? この雨の音の中で、よく聞こえましたわね。 |
鳳谷菜央 | 聞き分けたのは、一穂よ。 この子の地獄耳のおかげね。 |
公由一穂 | わ、私の耳って、そこまでじゃないよ……。 |
それより、ずっと同じタイミングで 鳴り続けてたから、てっきり助けを 呼んでると思ったんだけど……違ってたの? | |
北条沙都子 | えぇ。機械を使って、自動で信号を連続して 送ることができないか、試しておりましたのよ。 |
赤坂美雪 | えっ……自動で……? |
北条沙都子 | 昼間いただいた機械の残りを使って、 あらかじめ決めたモールス信号を繰り返す装置を 作ってみましたの。 |
原理は、トランシーバーの電波の受信と 切断を繰り返すことで音を流すだけの、 簡単な代物ですけどね。 | |
岡部倫太郎 | なんと……あれだけの端材で、 しかも独学でコレを作ったというのか!? |
北条沙都子 | えぇ、ただ、打ちたかったのはこちらではなく……。 |
……いえ、なんでもありませんわ。 早く帰りましょう! | |
岡部倫太郎 | あ、あぁ。そうだな……。 |
岡部倫太郎 | おい、お前たち。 わざわざ俺たちを分校まで呼んで、 見せたいものとは何だ? |
鳳谷菜央 | あたしたちは沙都子に言われて、 あなたたちに来てもらっただけですよ。 |
漆原るか | え、じゃあ皆さんも知らないんですか? |
公由一穂 | は、はい。私たちは放課後、 教室に岡部さんたちを連れてきてくれ、って 頼まれただけなので……。 |
牧瀬紅莉栖 | なにかしら? ちょっとドキドキするわね……。 |
北条沙都子 | ……フゥー、ハハハハ! わたしの研究室にようこそですわーっ! |
牧瀬紅莉栖 | なっ……ちょ、ちょっと岡部! あんたの悪い影響を受けて、沙都子ちゃんが おかしくなっちゃったじゃない! |
これどうするのどうやって責任取るの 賠償金払えるの、えぇっ!? | |
岡部倫太郎 | おっ……おおお、落ち着くがいい助手よ! 怒ることなどないではないか! |
牧瀬紅莉栖 | あるわ! ありまくりだわ! |
漆原るか | お、落ち着いて下さい牧瀬さん! それに、ほら。あの岡部さんみたいな 沙都子ちゃんも、とっても可愛いですよ! |
岡部倫太郎 | そ……そう言われると、俺がなんだか いたたまれない気分になるのだが……。 |
北条沙都子 | ちょっとみなさん、扉を閉めて お席に座って下さってくださいまし。 |
このままでは、私が作った 未来ガジェット? を、お見せできませんわ。 | |
岡部倫太郎 | お前の、未来ガジェット……? |
北条沙都子 | えぇ……この前、雨で帰れなくなった時に 使用した、あの自動モールス装置が完成しましたの! |
牧瀬紅莉栖 | 完成……って、あれで終わりじゃなかったの? |
北条沙都子 | 当然ですわ。実際に打ちたかったのは、 もっと長文なのですから……ぽちっとな! |
公由一穂 | あれ……? これ、前とは音の長さが違う? |
赤坂美雪 | ツー、ツー、トン、ツー、ツー……ツー、ツー、トン…… トン、ツー、トン、トン、トン…… ツー、ツー、トン、ツー、ツー……あ。 |
牧瀬紅莉栖 | ……『アリガト』……? |
岡部倫太郎 | っ、沙都子……! |
北条沙都子 | 岡部さんたちに教えていただいた技術が、 身になったことを証明したかったんですの。 |
まぁ、そのせいでみなさまに ご迷惑をおかけしたことは、反省しておりますわ。 | |
……ただ、岡部さんたちが元の世界に帰る前に これを見ていただきたかったんですの。 | |
岡部倫太郎 | 沙都子、お前……。 |
北条沙都子 | いかがですか? 私の、未来ガジェットは。 |
岡部倫太郎 | ……あぁ、素晴らしかった。 お前が知恵を得ようともがいたこと、 俺が認める! 証明しよう! |
お前は、既に立派な科学者だ! これからも精進するがいい! | |
北条沙都子 | えぇ、もちろんですわ! |
沙都子&岡部 | フゥーハハハハハ! |
鳳谷菜央 | まったく……科学者っていうのは お騒がせな人ばかりなのかしら? |
牧瀬紅莉栖 | うっ……! 自分も全く身に覚えがないわけじゃないから、 ちょっと耳が痛いわね……。 |
漆原るか | でも、そんな科学者さんたちを見てるのは とっても楽しいですよ。 |
赤坂美雪 | あははは、それは否定できないね! |
公由一穂 | ふふっ、本当だね。 |
沙都子&岡部 | フゥーハハハハハ! |