な、なんで、ボクも岡部さんたちと一緒に移動できたのか、よく分かりませんが…… 足手まといにならないよう、頑張りますね……! |
この世界に来た時は、流石に信じられなくて、すごく驚いてしまいましたけど…… 今は少しだけ、嬉しいんです。 だって、ここだとボク、岡部さんの お役に立てることが、できるんですから。 |
そういえば雛見沢って、古手神社 以外の場所にも、神々しい気配というか、超常の力の存在が、あるようですね。 歩いている時に ふと感じただけなので、それが どこかと聞かれても、特定はできませんが…… |
古手神社って、ボクの実家の、柳林神社みたいに、古いけど落ち着きがあって、素敵な所ですね。 それに なんだか、本殿の中から、強くて優しい気配を感じるんです。 もしかして、村の人の話しているオヤシロさま なんでしょうか。 |
素振りを重ねてきた、成果ですね……! |
もっともっと、上手くできるようになりたいです……! |
お役に立てるよう、気合を入れ直します! |
少しは、お力になれましたか? ……あぁ、よかったぁ…… |
ぬ、濡れちゃいました…… 着替えてきますね |
園崎魅音 | よーしみんな、手を止めてー! 綿流しの準備、午前の部はここで終了だよ〜! |
岡部倫太郎 | む……もうそんな時間か? 言われてみれば、日が結構高くなったようだ。 |
北条沙都子 | 時計がないからかもしれませんが、集中していると 時の流れが早く感じられますわねぇ。 |
岡部倫太郎 | おぉ……? この話の流れで相対性理論を 持ち出してくるとは、いいセンスをしてるな。 |
フゥーハハハ! お前も未来ガジェット研究所・ 雛見沢分室ラボメンの自覚が出てきたようで 大変喜ばしい限りだ! | |
北条沙都子 | え、えっと……そーたい、ってなんですの? |
古手梨花 | ……岡部。沙都子にそういう難しい言葉は さすがに早いのですよ。 それより、あなたは大丈夫なのですか? |
岡部倫太郎 | ん? 大丈夫とは、何のことだ? |
古手羽入 | あぅあぅ……岡部も他の2人も 僕たちと一緒に朝から働き詰めだったので、 お疲れではないかと思ったのですよ〜。 |
岡部倫太郎 | 案ずるな。このラボメンのボスたる鳳凰院凶真は、 そんなヤワな人間ではないっ! 何なら延長戦も ダブルヘッダーでも引き受けてやろうではないか! |
赤坂美雪 | おぅ、頼もしいねぇ〜。 やっぱ男手が加わると作業効率が段違いだから、 思った以上にはかどったよ。 |
鳳谷菜央 | えぇ。それに、作業の合間にいろんな面白い話を 聞かせてもらったから、とっても楽しかったわ。 |
公由一穂 | 「元の世界から連絡が来るまでの暇潰しだ」…… なんて言ってたけど、岡部さんたちが優しい人で 本当に良かったね。 |
岡部倫太郎 | し……しかし、安寧に浸る時間は存在しないが 休息は時に欠かせないものだ。ふふ、ふふ…… ふぅぅぅっ……。 |
公由一穂 | ……すっごく疲れた感じの、ため息ついてるよ。 |
赤坂美雪 | 疲れてるなら、普通に疲れたって言えばいいのに。 負けず嫌いというか、強がりさんだよねぇ。 |
鳳谷菜央 | わかってあげなさい。きっと、あたしたちが 準備で走り回っても平然としてるから、 自分だけ疲れたとか言えないって思ってるのよ。 |
岡部倫太郎 | 聞こえているぞ、そこの3人娘! 別に強がってもいないし気も遣っていない、 そのあたりを間違えるな! |
園崎魅音 | あはははは! 気持ちはわかりますけど、 オーバーワークは怪我のもとだから 疲れた時はそう言ってくださいねー。 |
竜宮レナ | はぅ、そうですよ。 手伝ってくれるだけでもレナたち、 とっても助かっているんですから。 |
岡部倫太郎 | む……す、すまん。午後からはそうしよう。 |
園崎魅音 | さーてレナ、沙都子ー。 みんなのお弁当と飲み物の準備をするから、 ちょっと手伝って。 |
竜宮レナ | うん。それじゃ行こっ、沙都子ちゃん。 |
北条沙都子 | 了解ですわ。今日は詩音さんも来ていませんし、 ゆーっくりとお食事を楽しめそうですわねぇ…… をーっほっほっほっ! |
古手梨花 | みー。そんなふうに言っていると、 背後に立っている詩ぃにカボチャ料理を ご馳走されてしまうのですよ。 |
北条沙都子 | ひっ、ひぃぃいぃっ? い、今のは悪口ではありませんわよっ?! ただその、えっと……あれ? |
詩音さんなんて、どこにもおりませんわ…… だ、騙しましたわねぇ、梨花ぁぁ! | |
園崎魅音 | ……いや、沙都子。詩音がいないからって 後ろ暗いと思うことをうっかり失言する、 あんたが不用心なだけでしょうが。 |
古手梨花 | まったくなのです。 これは沙都子のことを思っての、ボクなりの 防災訓練なのですよ。にぱー♪ |
竜宮レナ | し、詩ぃちゃんって災害扱いなんだね……。 |
園崎魅音 | まぁ、沙都子にとってはね……くっくっくっ。 んじゃ2人とも、さっさとお弁当を取りに行くよー。 一穂は他の人たちに、お昼だよって声かけてきて。 |
公由一穂 | うん、わかったよ。 |
北条沙都子 | 梨花ぁ! あとで覚えておいてくださいましねっ! |
古手羽入 | ほ、ほんとに梨花は鬼なのです……。 僕に矛先が向かないうちに、 さっさと退散しておくのですよ……。 |
古手梨花 | くすくす……どこに行くの、羽入? |
古手羽入 | あ……あぅあぅっ? せ、洗面所なのです! ご飯の前に、手を洗いに行こうと……っ。 |
古手梨花 | だったら、一緒に行くのです。 ……ついでに、ボクのことを鬼呼ばわりした そのお口も洗ってあげるのですよ、にぱー☆ |
古手羽入 | ひっ、ひいぃぃぃいぃっっ? ごごご、ご勘弁なのですよー?! |
鳳谷菜央 | ……ちょっと、羽入が連行されちゃったわよ。 あれ、どうするの? |
赤坂美雪 | んー、いいんじゃない? 子牛じゃないし、 梨花ちゃんだってわざわざ午後からの戦力を ドナドナさせるような真似はしないでしょ。 |
公由一穂 | そ、そうだよね……あははは。 |
岡部倫太郎 | ……にぎやかだな。 |
赤坂美雪 | んー、まぁ大勢で集まると賑やかで楽しいし、 仕事もはかどるってもんですからねっ。 |
岡部倫太郎 | そうか……そうだな。 |
公由一穂 | それじゃ、牧瀬さんたちにもお昼だって 知らせに行ってくるよ。 えっと、どのあたりにいるのかなぁ……? |
岡部倫太郎 | クリスティーナだったら、あっちで機材の チェックをしているはずだ。ルカ子は……。 |
鳳谷菜央 | 漆原さんは、あっちに……あっ、ほら。 |
漆原るか | 悟史さん。こっちの掃除、終わりましたよ。 |
北条悟史 | えっ、もうですか? うわっ……あんなにも広い石階段が、 短時間でここまで綺麗になるなんて……! |
いったい、どんな魔法を使ったんですか? | |
漆原るか | そ、そんな。魔法だなんて……! 石畳の掃除って、コツがあるんですよ。 箒をこう、こんな感じに動かして……。 |
北条悟史 | なるほど……勉強になります。 |
漆原るか | い、いえ。ボクはこんなことしか できませんから……他にも手伝えることが あれば、なんでも言ってくださいね。 |
北条悟史 | ありがとうございます。 それじゃ、お言葉に甘えまして……。 |
鳳谷菜央 | 漆原さんって、実家が神社って言うだけあって 境内のお掃除とか、すごく手慣れてるわよね。 |
赤坂美雪 | そうだね。それに真面目で人当たりも良いから、 村の連中も噂を聞きつけて様子見がてら 手伝いをしてくれたりして、大助かりだよ。 |
いやほんと、現金というかチョロいとは思うけど 美人がいるとありがたいねぇ。 | |
岡部倫太郎 | だが男だ。 |
公由一穂 | あの……それって、本当なんですか? あんなに綺麗な人なのに……。 |
岡部倫太郎 | だが男だ。 |
赤坂美雪 | むむっ、あの容姿で男性……なんというか、 存在そのものが罪作りな感じですね。 |
牧瀬紅莉栖 | 岡部……? そんなところに突っ立って、何してるの? |
公由一穂 | あ、牧瀬さん……って、 そのカゴの中の野菜はどうしたんですか? |
牧瀬紅莉栖 | よくわからないけど、知らない人から カゴごと差し入れだって渡されたのよ。 ……それより、他の子たちはどうしたの? |
公由一穂 | もうすぐお昼食なので、休憩しようって ことになりました。牧瀬さんもよかったら、 一緒にお弁当どうですか? |
牧瀬紅莉栖 | えっ……私もお弁当、もらっちゃっていいの? |
赤坂美雪 | 当然ですよ。牧瀬さんにも村祭りの準備を 手伝ってもらってるんですからね! |
牧瀬紅莉栖 | ありがとう。実はお腹が空いてきたから、 コンビニにでも行こうと思ってたのよ。 |
赤坂美雪 | あー……大変恐縮ですが、この村には コンビニどころか、歩いて行ける範囲に 食べ物が買える店があまりないんですよ。 |
牧瀬紅莉栖 | そ、そうなの? 危なかった…… いつものラボ感覚で神社を離れてたら、 迷子の末に行き倒れてたかもしれないわね……。 |
公由一穂 | え、えっと、それはさすがに大げさかと……。 都会より人は少ないけど、誰もいないって わけじゃないですし。 |
岡部倫太郎 | そうだ、助手よ。いざとなればそのあたりの畑に 失敬して、大量にある野菜の中から2つ3つほど こっそりいただいてくればいい話ではないか。 |
牧瀬紅莉栖 | 明らかに窃盗でしょっ! って言うか、野菜を生で食べる気か!? |
岡部倫太郎 | 何を言うか。ここは……な世界な上に、 本当に新鮮な野菜はそのまま食べても うまいものだぞ。ほれ、こんなふうに……。 |
牧瀬紅莉栖 | あっ、ちょっと勝手にカゴの野菜を……って。 |
赤坂美雪 | ぅおっ、ピーマンを丸かじりっ?! |
岡部倫太郎 | ふっ……俺の記憶が正しければ、 このピーマンは早朝に採れたものだな。 香りとツヤ、そして食感が瑞々しい……! |
どうだ、似てただろう? | |
赤坂美雪 | えっ……似てたって、何がですか? |
岡部倫太郎 | なっ……! お前たち、自ら20世紀ガールズと 名乗っていただろうが! あの人気番組『料理の哲学者』を知らんのか!? |
鳳谷菜央 | ……すみません。あたしたち、 同じ平成でも岡部さんが持ってるような 無線機がない世界から来てるので……。 |
岡部倫太郎 | はぁ……まぁいい。では、昼飯の相伴に 預かる前に軽く手でも洗ってくるとしよう。 行くぞ、助手よ。 |
牧瀬紅莉栖 | だから、助手言うな! |
鳳谷菜央 | ……一応、失礼がないよう敬語を使ってるけど、 あの人たちの言うとおりなら、あたしたちの方が 岡部さんたちより年上なのよね……? |
赤坂美雪 | あー、そのあたりはあまり意識しないほうが いいと思うよ。敬語とタメ口の使い分けが 面倒になるだけだからさ。 |
私も最初は対応の仕方を迷ってたけど、 今じゃはるかに年上のはずの魅音と詩音にだって 敬語抜きで話してるくらいだしさ……ん? | |
公由一穂 | ……どうしたの、美雪ちゃん。 急に境内の奥に目を向けて、何か見えたの? |
赤坂美雪 | えっと……あそこにいるのって、 詩音だよね……? |
公由一穂 | えっ? |
赤坂美雪 | ほら、あそこで木陰と茂みの中に 隠れてる人影……見える? |
公由一穂 | ……確かに、詩音さんだね。 もうバイトが終わったのかな? |
鳳谷菜央 | だとしても、あんな場所で何をしてるのかしら? ……美雪、ちょっと行って聞いてきて。 |
赤坂美雪 | えー、なんか厄介なニオイがするんだけどー。 |
鳳谷菜央 | 何言ってるのよ。 タメ口で話すくらいに気安い関係なんでしょ? |
赤坂美雪 | ぐっ……揚げ足を取ってくるとは……。 |
鳳谷菜央 | まぁそれは冗談としても、なんか様子が いつもと違うから気になるのよ……お願い。 |
赤坂美雪 | はいはい、わかったよ。 すー、はー、すー、はー……っし! |
公由一穂 | (そんなに気合いを入れなくてもいいような……) |
赤坂美雪 | おーい、詩音。そんなところで何してるのさ〜? |
園崎詩音 | んなっ?……って、美雪さんでしたか。 お姉たちに見つかったのかと思って、 一瞬身構えちゃいましたよ。 |
赤坂美雪 | えっと……隠れてたってことは、 何か良からぬことでも起こってるとか? |
園崎詩音 | えぇ……緊急事態です。念のためバイトを 口実に監視と警戒をしておいて、正解でしたよ。 |
鳳谷菜央 | 監視と警戒……って、何かを突き止めたの? |
公由一穂 | ひょっとして岡部さんたちを、 この「世界」に呼び寄せた黒幕を見つけた……? |
園崎詩音 | あ、いえ。申し訳ないですがそっち方面は、 皆さんにまるっと投げてお任せしています。 私の出る幕じゃないし、興味もありませんから。 |
赤坂美雪 | ……ズバッと言い切ったね。 さすがは詩音らしい割り切りっぷり。 |
けど、だったらなおのこと こんなところで隠れて、何をしてたのさ? | |
園崎詩音 | だから、言ったじゃないですか。 監視と警戒ですよ……ほら、あそこ。 |
公由一穂 | えっ? あそこって……えっと……。 |
鳳谷菜央 | 悟史さんと……漆原さん? |
園崎詩音 | そうです。……2人とも、楽しそうに 話しながらお仕事をしてると思いませんか? |
赤坂美雪 | うん、思うねぇ。 |
園崎詩音 | いい雰囲気に見えますよね? |
赤坂美雪 | まぁ……悪い感じには見えないけど。 |
園崎詩音 | ……イラッときませんか? |
赤坂美雪 | いや、それはない。 |
公由一穂 | あ、あの……それじゃ、見張ってたのは 悟史くんと漆原さんってこと……? |
園崎詩音 | 他に見張らなきゃいけないものがありますかっ? この私を差し置いて、悟史くんと いちゃいちゃしているなんて……くぅぅっ……! |
赤坂美雪 | お、落ち着きなって、詩音。 キミは知ってるかどうかわかんないけど、 あの人って、本当は――。 |
園崎詩音 | あ、ああああっ! |
園崎詩音 | さ、悟史くんと漆原さんが急接近しています……! |
公由一穂 | えっ?! |
北条悟史 | っ、いたっ! め、目にゴミが……。 |
漆原るか | あっ、ダメです。こすると傷がつきますよ。 ちょっと見せてくれませんか? |
北条悟史 | す、すみません……。 |
園崎詩音 | あ、あんなに顔と顔を近づけて……! ま、待ちなさーいーッッ!! |
鳳谷菜央 | ……草むらを飛び出して行っちゃったわね。 |
赤坂美雪 | 行っちゃったわね、じゃないよ! 追いかけないと血の雨が降るよ?! |
公由一穂 | そ、それはさすがに大げさじゃ…… って詩音さんの場合、その可能性は 否定できないね……。 |
とにかく、詩音さんを止めないとっ! | |
園崎詩音 | ちょおっと待ったっー! |
北条悟史 | えっ? |
園崎詩音 | 2人とも、近すぎます! 離れて! 離れてくださいっ! |
赤坂美雪 | わーっ、待った待った! 詩音、冷静に聞いて! この人、めちゃくちゃ可愛いけど実は……! |
園崎詩音 | お姉から、ちゃんと聞いていますよ! 漆原さんって、男性なんですよねっ? |
赤坂美雪 | ……えっ? じゃ、じゃあなんで……? |
園崎詩音 | なんでそんなに焦ってるのか、ですか? そんなの決まっています……漆原さん! |
漆原るか | は、はいっ! |
園崎詩音 | なんでそんなに可愛いんですか?! |
公由一穂 | ……。はい? |
園崎詩音 | だって、見てくださいよ! 漆原さんって、可愛いじゃないですか! |
赤坂美雪 | あー、うん。可愛いね……けど男性だよ? |
園崎詩音 | だからこそ、悔しいんですよ! わかりませんかっ? |
もし、漆原さんが爽やかな男前だったら 私だってこんな黒い感情を持たず、 2人のやりとりを網膜に焼きつけていましたよ! | |
赤坂美雪 | う、うん……。 (何言ってんだこいつ……?) |
園崎詩音 | でも、見てください! 漆原さんは可愛い! だから悟史くんと並ぶと、ペアルックが 似合いすぎていて、悔しいんですよーっ! |
鳳谷菜央 | ……ごめんなさい、詩音さん。 言ってる意味がよくわからないわ。 |
公由一穂 | そもそもペアルックじゃなくて、 同じ巫女服を着てるだけ……だよね? |
園崎詩音 | いいえ、違います! ここまで可愛いかったら、間違いなくペアルック! だったらもう、嫉妬するしかないじゃないですか?! |
赤坂美雪 | 理屈がサッパリわからない! |
漆原るか | そ、そんな可愛いって何度も言わなくても……! は、恥ずかしいです……! |
公由一穂 | (漆原さんも何かズレてる?!) |
園崎詩音 | 漆原さん! その可愛さって、 どうやって保たれているんですか? |
漆原るか | えっ? えっ? |
園崎詩音 | 秘訣! 可愛いの秘訣を教えてください! お肌のケアには何を使ってるんですか?! それとも特別な運動をしているとか?! |
漆原るか | 特別……特別……あっ。もしかして……。 |
園崎詩音 | あるんですか?! |
漆原るか | 岡部さんに教えてもらった清心斬魔流を 極めるために、岡部さんにもらった妖刀・五月雨を 毎日素振りして自分を鍛えているんです。 |
特別なことと言えば、それくらいしか……。 | |
岡部倫太郎 | ルカ子ー、お前も手を洗いに……。 |
園崎詩音 | 岡部さぁあああああんっ?! |
岡部倫太郎 | なぁっ! 何故園崎詩音が弾丸のように 俺の方へ脇目も振らず一目散に突っ込んでくるのだ!? |
園崎詩音 | 妖刀・五月雨ってどこで手に入るんですか?! 振るだけで可愛くなれる刀とか最高じゃないですか! 私も欲しいです早く教えてくださいそう今すぐに! |
岡部倫太郎 | い、いや……あっ、あの妖刀は我々の世界でも 類を見ない秘宝さ。この世界に持ち込むことは おろか、製造すら不可能で……! |
公由一穂 | (岡部さん、すごい汗かいてる……?) |
園崎詩音 | じゃ、じゃあ清心斬魔流は?! 岡部さんに教えてもらったって聞きましたよ! そっちは教えてくれますよね? |
私、漆原さんみたいに可愛くなりたいんです! | |
岡部倫太郎 | あ……あの剣術は、封魔専門の神聖な 選ばれし者のみが扱える剣法! |
それを、ダイエットヨガのような扱いをする 不届き者に教えるわけには……! | |
園崎詩音 | 教えて、くれますよね? |
……ねっ? | |
岡部倫太郎 | っ、く……。 |
戦略的撤退! | |
園崎詩音 | 逃がすかあぁっ! |
岡部倫太郎 | お、追いかけてくるなぁああああ!! ひぃいいぃいいいいーっ!!! |
北条悟史 | ど、どうしたんだろう詩音。 わけのわからないこと言ってたけど……。 |
漆原るか | …………。 |
赤坂美雪 | あの、漆原さん。 えーっとですねこれには深くないけど 深いと思わないとやってられないワケが……。 |
鳳谷菜央 | 深くないって自分でバラしちゃだめじゃない。 って、漆原さん? |
漆原るか | 選ばれし者……選ばれし……者。 ……そっか。ボク、ちゃんと岡部さんに 選んでもらったんですね……。 |
赤坂美雪 | おぅ、お喜びになってる……? |
漆原るか | 岡部さーん! ボク、これからも清心斬魔流の 修行、がんばりますねっ! |
岡部倫太郎 | いいいいい今は修行より、この少女を止めてくれーっ! |
園崎詩音 | 逃がしませんよ、岡部さん♪ |
岡部倫太郎 | うわぁぁあああああああぁぁぁあーっ! |
公由一穂 | (つ、疲れた……疲れたよぉ…… 詩音さん止めるの、大変すぎたよぉ……) |
漆原るか | あ、あの……そんな所に座り込んでると、 お尻が痛くなっちゃいませんか? |
公由一穂 | あ、漆原さん……。 |
漆原るか | よかったら、立つのに手を貸しましょうか? |
公由一穂 | あ、ありがとうございます……。 |
漆原るか | よっ、と。 |
公由一穂 | (男の人の手だった…… 漆原さん、本当に男の子なんだ) |
漆原るか | ごめんなさい。ボクが余計なことを 口にしたせいで、大変なことになってしまって。 |
古手梨花 | ……るかは悪くないのですよ。 |
公由一穂 | 梨花ちゃん。どうしてここに? |
古手梨花 | 炊き出しができたので、呼びに来たのですよ。 |
漆原るか | ……もう今日が終わるんですね。 時間が過ぎるのは、あっと言う間です。 |
お祭りの成功を考えて頑張るのは、 当たり前のことに思えるけど…… とても大事なことだって、お父さんが言ってました。 | |
古手梨花 | るかの神社は、どんなところにあるのですか? |
漆原るか | ボクの神社は……とても素敵な街の中にあります。 |
あの街は、みんな好きなものを持ってて…… その好きって気持ちをとっても大事にしているんです。 研究とか、ゲームとか、コスプレとか……。 | |
ボクは皆さんみたいに、夢中になれるほど 好きな物がないから、見てると楽しいですけど…… 時々ちょっと、羨ましくなったりなんて……。 | |
古手梨花 | ……自分の好きって気持ちは大事だと思いますです。 |
でも同じくらい、他人の好きって気持ちを大切に できることは、とても美しいと僕は思うのですよ。 | |
公由一穂 | わ、私も上手く言えないけど…… 漆原さんみたいな気持ちは、とても、とても 大切なことだと思います。 |
(まぁ、詩音さんの好きは、 ちょっと暴走しすぎだと思うけど……うん) | |
漆原るか | ……ありがとう、梨花ちゃん。一穂ちゃんも。 |
いつまでここにいられるかわからないけど、 お祭りを成功させるためにも、微力ながら お手伝いさせてもらいますね。 | |
古手梨花 | みー。期待しているのですよ、るか。 みんなで力を合わせて、ふぁいと、おーなのです。 |
漆原るか | はいっ! |