フゥーハハハ! この天才にかかれば、どんな不可能も可能に早変わりだ! どうだ、ビビったか!? ……俺も、ビビってるがな? |
俺は狂気のメァッドサイエンティスト。 世界を騙すなど造作も無い。 いわんや、プログラム上のデータを改ざんするなど 朝飯前いや、寝起きのコーヒーを飲む前の軽い運動どぅぁ…… |
ふん……俺だ。これより俺たちは、新たなるオペレーションを実行に移す。 成功するかは、神のみぞ知る確率だが…… それでも俺は、やってみるつもりだ。 健闘を祈ってくれ。エル・プサイ・ァコングルゥゥ…… |
まさか、携帯電話が使えないとはな…… くっ、やむをえまい。こうなったら非常回線で、救援を求めるしか―― って おい、そこの ちびっこギャングども! 奪った携帯を返せ、いや、返してください! |
おおぉ!? また人類の英知を この手に掴んだぞ…… |
これも俺にとっては、ただの通過点でしかない。 |
宝探しだと? 面白い。さあ ゆくぞ。 |
悪くない時間だった。また俺を呼ぶがいい。 |
俺に任せるがいい… って、なんだその顔は! |
園崎魅音 | さてと……日暮れも近くなってきたことだし、 今日の作業はこのあたりにしておこっか。 |
みんな、お疲れ様ー。明日も作業があるから、 家に帰ってゆっくり休んできてね〜。 | |
漆原るか | みなさん、お疲れ様でした。 また明日もよろしくお願いしますね。 |
古手梨花 | みー。こちらこそ、よろしくなのですよ。 |
北条悟史 | お疲れ様。それじゃ、僕たちはこれで。 |
北条沙都子 | また明日、頑張りますわよ! |
竜宮レナ | ばいばい、また明日っ。 |
古手羽入 | あぅあぅ、しっかり休んで 疲れを癒やしてきてほしいのですよ〜。 |
赤坂美雪 | はーっ、終わった終わった。 なんだかんだで、結構疲れたねー。 |
公由一穂 | 岡部さんたちも色々手伝ってくれて、 ありがとうございました。 |
岡部倫太郎 | なに、遠慮はいらん。この程度の肉体労働は、 この鳳凰院凶真にとって朝飯前の 軽い運動程度だからな……フゥーハハハ! |
牧瀬紅莉栖 | ……その割に、テントの設営に駆り出された時は ひーひー悲鳴を上げてたじゃない。 |
岡部倫太郎 | 悲鳴など上げていない! たとえ頭脳労働でも、 身体が資本なのは一般の労働者と同じこと! この俺を見くびらないでもらおうかっ! |
そう……俺は天才科学者、 そして狂気のマッドサイエンティストの 鳳凰院凶真だ! フゥーハハハ!! | |
はぁ、はぁ。げほっ……ごほっ……! | |
漆原るか | だ、大丈夫ですか岡部さん? |
牧瀬紅莉栖 | 完全に体力使い果たしてるじゃない。大丈夫? |
岡部倫太郎 | そ、そういうお前こそ、何度も木陰で休んだり 合間合間にやたらとドクペを飲んでいたではないか! |
牧瀬紅莉栖 | 今日は暑かったから、適度に体温調節を してただけよ。もし熱中症にでもなったら、 他の人たちに迷惑をかけちゃうでしょ? |
公由一穂 | 熱中症……? |
牧瀬紅莉栖 | ……あぁ、そっか。 『熱中症』って言葉は、この時代だと まだ存在してなかったわね。 |
漆原るか | 『熱中症』とは『日射病』や『熱射病』と 呼ばれていたものを統一して、 そう呼ぶようになったものなんですよ。 |
牧瀬紅莉栖 | 確か、2000年頃に公的な呼称統一が行われたって 聞いてるから、一般的になったのは その前後くらいからでしょうね。 |
鳳谷菜央 | そうなんだ……。あたしたちより未来になると、 『日射病』の呼ばれ方も変わってくるんですね。 |
岡部倫太郎 | 21世紀になって呼ばれ方が変化したものは 他にもあるぞ。たとえば、『看護婦』は 『看護師』という名称になった。 |
赤坂美雪 | ……微妙な変化ですね。でも、どうして? |
牧瀬紅莉栖 | 看護に関わる仕事を、女性だけでなく男性も 担うようになった影響でしょうね。 |
特定の性別や種族、環境に属するグループに 不快感や不利益を与えないための措置…… といったら、理解してもらえるかしら? | |
公由一穂 | ご、ごめんなさい…… 難しくて、ちょっとよくわからないです……。 |
鳳谷菜央 | つまり、いろんな方面で他の人に 気を遣ってるってことですよね? なんだか素敵な感じかも……かも。 |
岡部倫太郎 | ……好意的にとらえたなら、ある意味では その認識でも間違いではないかもしれんな。 だが……。 |
行き過ぎた普遍化と並列化は、 かえって異なるグループに対する偏見や嫌悪を 増長させることにもつながりかねない。 | |
また、その中でも優位性を保つべく一部の組織は 独占した技術や知識を用いて多数を狭い枠の中へと 閉じ込め、逸脱する者を処断するのだ。ゆえに―― | |
赤坂美雪 | ……お、おぅ。 |
鳳谷菜央 | え、えっと……? |
牧瀬紅莉栖 | ちょっと、岡部。 この子たちになんてことを吹き込んでるのよ! |
この子たちが、将来あんたみたいな 厨二病を患って黒歴史を大量生産したら、 あんた責任とれるの?! | |
岡部倫太郎 | むっ……お、俺は今までに思って、感じたことを そのまま言葉にしたつもりだったのだが……。 まぁいい、それは後々の懸案事項としておこう。 |
公由一穂 | は、はぁ……。 |
岡部倫太郎 | それはそうと、腹が減ったな。 この近くにサンポ的な牛丼などを食える店はないか? |
赤坂美雪 | 牛丼?……うーん、あいにく飲食店っぽいのは 隣町の興宮まで行かないと、 たぶん見つからないと思いますよ。 |
公由一穂 | それより、まだ無線でダルさん……? って人と 連絡がつかないんですか? |
岡部倫太郎 | それがまだなのだ……まったくダルのやつ、 この非常事態にどこで何をしているんだ!? |
牧瀬紅莉栖 | 他人事みたいに言うな! あんたが起こした非常事態だろうがっ! |
漆原るか | き……きっといつか気がついて、 連絡してくれますよ! きっと! |
赤坂美雪 | とりあえず、寝床を確保したほうが いいと思いますよ。 連絡が明日の朝になる可能性もありますしね。 |
岡部倫太郎 | その通りだが、そもそも雛見沢で 一晩を過ごすといっても場所の心当たりが…… 何かいい案はないか、助手よ? |
牧瀬紅莉栖 | きゅ、急に話を振らないでよ。 ……ここが昭和58年の世界だとすると、 ネカフェとかはまだなさそうね。 |
となると、ビジネスホテルとかを 探すしか……ん? ちょっと待って、 1983年ということは……!? | |
赤坂美雪 | ……その通り、お札がほぼ使えないんだよ。 1万円の肖像画は『福沢諭吉』じゃなくて、 『聖徳太子』の頃だからね。 |
あ、ちなみに5千円も『聖徳太子』で、 千円は『伊藤博文』って言う白髭の偉い人だよ。 | |
岡部倫太郎 | む……それは厳しいな。 俺が持ってる5千円は『樋口一葉』で、 千円は『野口英世』だ。 |
鳳谷菜央 | えっ、そうなの? あたしたちの時代だと 5千円は『新渡戸稲造』で、千円の方は 『夏目漱石』なんだけど……見せてもらっていい? |
ほわぁ……これが未来のお札の、肖像画……。 カラフルで、とっても綺麗ね……♪ | |
牧瀬紅莉栖 | 印刷技術が向上した結果でしょうね。 ……っと、こんな話をしてる場合じゃなかった。 さて、どうしたら……? |
赤坂美雪 | んー、だったら私たちが今住んでる家に来る? 大したおもてなしはできないかもだけどね。 |
牧瀬紅莉栖 | えっ、いいの? でも、急に押しかけたら ご家族に迷惑がかかったりしない? |
公由一穂 | えっと……それは大丈夫です。 私たちにもちょっと、事情がありまして……。 |
漆原るか | 事情……? |
赤坂美雪 | はい、とーちゃーくっ。 私たち3人は、ここで一緒に生活してまーす。 |
公由一穂 | (はぁ……よかった。前原くんと一緒にこの家も 一緒に消えちゃってたら、どうしようかと思ったよ) |
(って、前原くんが消えたことはよくないよね。 彼を戻すために、この世界を元に戻さないと……) | |
岡部倫太郎 | お……おおぉぉっ? どこかと思えば、 ここは前原圭一の家ではないか!? |
公由一穂 | えっ……岡部さん、前原くんのことを 知ってるんですか? |
岡部倫太郎 | フゥーハハハ、もちろんだ! この作品……いや、「世界」をかたる上で 彼の存在は必要不可欠、知ってて当然のこと! |
鳳谷菜央 | 前原さんって、そんなに有名なのね……。 とりあえず、入って。あたしたち3人以外は 誰もいないから、遠慮はいらないわよ。 |
岡部倫太郎 | お前たち以外は、この家にいないだと……? ますますわからんな、どういうことだ? |
牧瀬紅莉栖 | はいはい、そんな疑問はさておき さっさと中に入りましょ。 |
漆原るか | お、お邪魔しまーす……。 |
岡部倫太郎 | …………。 |
岡部倫太郎 | おおぉぉぉおぉっ!? なんと、 こんな細部まで再現されてるとは……! まさにあの画面越しに見た背景そのままだ! |
ん……? あの台所の壁は、もしや……? | |
やはり……やはりだ! ここに前原圭一が おはぎをぶつけたというわけだなっ? なるほどなるほど……いや、すごいぞっ! | |
……では、2階には圭一の部屋があるのか? 早速、上がってみることにしようっ! | |
赤坂美雪 | ま……待って待って! そこは今、一穂の部屋になってるのっ! コラ待てーっ! |
鳳谷菜央 | ……すごい勢いで階段を駆け上がって いっちゃったわね。 |
公由一穂 | な、なんか私たちが思ってたよりも、 全力全開のはしゃぎっぷりなんだけど……。 |
鳳谷菜央 | ……どういうことなの? |
漆原るか | え、えっと……ボクも正直、なにがなんだか……。 |
牧瀬紅莉栖 | ……悪意は無いと思うから、放っておいてあげて。 あ、変な真似をした時は私に遠慮なく言ってね? |
岡部の海馬に、電極ぶっ刺しておくわ。 | |
公由一穂 | は、はい……。 |
牧瀬紅莉栖 | ……ふぅ。あと、少し食糧を分けてもらっていい? 正直に言うと、お腹が空いて目が回りそうなのよ。 カップ麺とか貰えると嬉しいんだけど……。 |
鳳谷菜央 | カップ麺ならすぐ用意できますけど…… せっかく来てもらったお客さんに、 そんなおもてなしをするわけにはいきませんからね。 |
30分だけ、待っててもらえますか? 簡単なものでよければ、おかずとご飯を 用意させてもらいますよ。 | |
牧瀬紅莉栖 | えっ……い、いいの? だって私たち、 持ってるこのお金で何も払えないのに……。 |
公由一穂 | 困った時は、お互い様ですよ。 私たちもこの「世界」に飛ばされてきてから、 たくさんの人たちに助けてもらったので。 |
牧瀬紅莉栖 | ……。あなたたちも、大変なことが あったみたいね。 |
公由一穂 | あ、あははは……まぁ、そんなところです。 とりあえず、2階の岡部さんと美雪ちゃんを 呼んできてもらえますか? |
牧瀬紅莉栖 | えぇ、わかった……えっ? |
岡部倫太郎 | おぉ……前原邸の2階はこんな感じになってたのか。 ん? こっちの部屋は、何が……。 |
赤坂美雪 | わーっ? 開けちゃダメ、岡部さん! そっちの部屋は、私たちの洗濯物を干して――?! |
牧瀬紅莉栖 | あ……あの馬鹿っっ!! |
公由一穂 | えっ、待っ、牧瀬さん待って! 牧瀬さーんっ?! |
漆原るか | え、えっと……2人とも2階に行っちゃったけど、 止めに行ったほうがいいよね? |
鳳谷菜央 | 放置しておいて大丈夫だと思いますよ。 一穂も美雪も、ヤワではないので。 本当に嫌だったら力尽くで止めると思います。 |
漆原るか | ……。小さいのに、菜央ちゃんって 落ち着いてるんだね。 |
鳳谷菜央 | 慣れてますから。……あ、漆原さん。 もしよかったら夕飯の野菜の下ごしらえ、 手伝ってもらってもいいですか? |
漆原るか | うん、任せて。 こう見えてボク、料理はそれなりにできるから。 |
鳳谷菜央 | 失礼ですけど、そのご容姿で料理ができると 言われても、あまり意外性はないかも……かも。 |
漆原るか | そ、そうかな? |
公由一穂 | ん……っ。……あ、あれ……? |
鳳谷菜央 | すぅ……。 |
赤坂美雪 | うぅ、もうサメ映画はお腹いっぱいだよぉ……ぐぅ。 |
公由一穂 | あ……そっか。岡部さんたちに1階のリビングで 寝泊まりしてもらうから、菜央ちゃんと美雪ちゃんは この部屋で寝ることになったんだっけ。 |
2人とも、寝顔が可愛いなぁ……ふふっ。 | |
はぁ……起きたら、ちょっと喉渇いちゃった。 台所で水を飲みに行こうかな。 | |
あれ……? 台所の電気がついてる……誰? | |
岡部倫太郎 | …………。 |
公由一穂 | (あれ……岡部さん? キッチンに座り込んで ぼーっとしてるけど、どうしたのかな?) |
えっと、岡部……さん? | |
岡部倫太郎 | ん?……あぁ、公由の孫娘か。 |
公由一穂 | どうしたんですか、こんな夜中に。 |
岡部倫太郎 | いや、なに……少し、目が覚めてな。 |
公由一穂 | 私も同じです。 よかったら、麦茶でもどうですか? |
岡部倫太郎 | すまない、戴こう……あぁ、リビングに 敷いた布団で助手とルカ子が寝てるから、 もう少し小声で頼めるか。 |
公由一穂 | す、すみません……。 |
公由一穂 | はい、麦茶です。どうぞ。 |
岡部倫太郎 | ありがとう……ふぅ。 冷えたドクペほどではないが、うまいな。 |
公由一穂 | そ、そうですね……。 |
岡部倫太郎 | ……聞かないのか? |
公由一穂 | えっ……何を、ですか? |
岡部倫太郎 | 俺がこの「世界」のことを知ってる…… いや、知りすぎてることには お前もなんとなく気づいてるのだろう? |
公由一穂 | それは、えっと……はい。 |
岡部倫太郎 | ……。お前たちは10年後、 雛見沢大災害が起きた世界から来たと聞いた。 |
公由一穂 | はい、そうです。 |
岡部倫太郎 | だとしたら、話してもいいかもしれんが…… 俺はこれから、雛見沢の村で何が起きるのかを 知っている。 |
その原因と、理由……そして、犯人もな。 | |
いや……厳密には起こりうる可能性が 極めて高い事件など、かなりのことを知ってる。 | |
それを知っておきたい…… あるいは知っておくべきだとは、思わないのか? | |
公由一穂 | ……。私は、知らないほうがいいと思います。 |
岡部倫太郎 | ほぅ……それは何故だ? 事件の真相を知りたくはないのか? |
公由一穂 | それは、とても知りたいです。 でも、岡部さんが知ってる雛見沢に、 『ツクヤミ』はいないんですよね? |
岡部倫太郎 | あぁ、そうだ。正直、『ツクヤミ』の 名前を出されたときは驚いた。 |
公由一穂 | だとしたら、その…… せっかくあなたのお話を聞かせてもらっても、 私はその知識を役に立てられません。 |
たぶん、元の「世界」に戻ったとしても 『ツクヤミ』がいる限り……根本的な何かが 変わってる可能性が高いですし。 | |
岡部倫太郎 | そうか……確かに、その通りだな。 すまない、余計なことを言った。 |
公由一穂 | …………。 |
(岡部さん……本当に昼間、 あんなにはしゃいでた人かな? まるで別人だよ……) | |
(……。もしかして、こっちの方が素顔……?) | |
岡部倫太郎 | ……すまなかった。 |
公由一穂 | えっ……な、なにがですか? |
岡部倫太郎 | 昼間、勝手に部屋に入ったりして。 女性の部屋にもかかわらず、あるまじき失態だった。 |
公由一穂 | あ、いえ……。 見られて困るものは、別になかったので。 |
岡部倫太郎 | そうか……ならば、助かった。 |
……。これから起こることを知る身としては、 ふっと気を抜くと、ついこの村を襲う惨劇に 意識を持っていかれそうになる。 | |
俺たちに親切にしてくれた部活メンバーや、 村の人々がこれから惨劇に巻き込まれる。 ……しかし、俺はそれに一切手が出せない。 | |
せめて、情報という形で役に立つものを 残そうかとも思ったが、この状況だと逆に ミスリードになりかねない……。 | |
そう指摘されるまで、気がつかなかった。 ……すまない。 | |
公由一穂 | …………。 |
(この人、尊大なように振る舞ってるけど…… 本当はむしろ、その反対なのかもしれない) | |
(この村が災害に飲み込まれるのを 黙ってみていることが辛くて、苦しくて……) | |
(そんな、悲しい気持ちを誤魔化そうと わざとらしいくらい、明るく振る舞って…… きっと優しい人なんだね) | |
……岡部さんは、私たちに何を望みますか? | |
岡部倫太郎 | ん……? 何、とは? |
公由一穂 | 私たちに、どうなって欲しいですか? |
岡部倫太郎 | それは……部活メンバー……いや、 この雛見沢に住まう全員に、 昭和58年の6月を越えてもらいたい。 |
無論、君を含めたこの家の2人もだ。 誰ひとり犠牲にすることもなく…… 幸福な未来を見つけられるようにな。 | |
公由一穂 | ……ありがとうございます。 |
岡部倫太郎 | む……何故礼を言う? 俺は何もしていない。こうして世話をして 貰っても、俺は……何も返すことができないのに。 |
公由一穂 | ……そうでしょうか? |
誰かに、生きてほしいって…… 幸せになってほしいと願って貰えると、 私はとっても……とっても嬉しいです。 | |
死んで欲しいとか、いなくなれとか…… そう言われるよりも、ずっと嬉しいです。 生きてって思ってもらえると、力が湧いてきます。 | |
だから……望んでください。 みんなが幸せになれる世界はあるって。 | |
私たちは、それを見つけられるって。 ……お願いします。 | |
岡部倫太郎 | ……わかった。 ならば、ここに宣言しよう。 |
フゥーハハハ! 狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真が断ず! 必ず、皆が幸福になる世界は存在すると! | |
それが、シュタインズゲートの選択であると! | |
公由一穂 | お、岡部さん……! 声が大きいです! みんな、起きちゃいます! |
岡部倫太郎 | む……す、すまない。 |
公由一穂 | ふふ……私たちも、そろそろ寝ましょう。 明日もまた準備ですからね。 |
岡部倫太郎 | そうだな……あっ、ちょっと待て。 |
……公由一穂よ。 キラキラした無数のカケラが宙に浮いて回転する 世界と言われて……お前に心当たりはあるか? | |
公由一穂 | え……? あ、えっと……何の話ですか? |
岡部倫太郎 | いや、なんでもない……こっちの話だ。 |
公由一穂 | ……そうですか。 それじゃおやすみなさい、岡部さん。 |
岡部倫太郎 | ……あぁ、おやすみ。 |
(誰だったのだ……? 俺たちがこの世界に来る直前、カケラの海から 「来るな」と告げたのは……) | |
(もしかすると、あれが『神』……なのか?) | |
…………。 | |
(いや、だとしても打ち破ることができるだろう。 俺が、いや……ラボメンたちが、そうしたように) | |
(あの子たちならば、きっと最善の未来を つかみ取れるはずだ……俺はそう信じてるぞ。 ……エル・プサイ・コングルゥ) |