オトナの科学ラジオ DaSHの朗読劇


※敬称略。
※台本上の台詞・アドリブ・トラブルのボヤきなどもテキスト化。よって読みにくい箇所が多々あるかもしれない。
※台詞が被った際は「――」を使用し、聞き取りにくいほうの台詞を小さめにして表記する。

至「へー、ここがアキたんがバイトしてるっていう お店か。
  ねえ、いかがわしい? いかがわしい?」

海翔「いかがわしくないです! ほら橋田さん入って!」

あき穂「あ! カイ、橋田さん! いらっしゃーい。こっちの席にどうぞー」

至「どうもどうも」

あき穂「カイは、ソフトドリンクねー」

海翔「うん」

あき穂「橋田さんは、お酒飲む?」

至「この店お酒もあるん!? じゃあ いただきまーす」

あき穂「はーい」

海翔「種子島 名物の料理もありますよ。味は保証します」

至「そりゃ楽しみー♪」

あき穂「はーい、飲み物お待たせー! ウチは、スコール♪」

海翔「ア、アキちゃん、仕事ほっぽりだして いいの?」

あき穂「店長さんが気を利かせてくれて、
     カイたちが来たらバイト上がりにしてくれたの」

海翔「なるほど。それじゃ、橋田さんの歓迎会 始めますか」

至「いぇい」

海翔「ああ、って言っても集まれたのは この三人だけなんだけど」

至「全然 構わないお。
  鉄砲祭りが始まったばっかで、みんな忙しいなら、
  あの言ってた、乾杯のくだり ここじゃね?」

海翔「ううっ!」(噴)
※注:朗読 開始前のトークで、台本の どこかに
乾杯のくだりがあった気がすると海翔役の木村が気にしていたことによる。


あき穂「次!――」
海翔「あの――」
あき穂「――私が言うから!――」
海翔「――橋田さん――」
あき穂「――まだ……」
海翔「――前世の話、前世の話してもらうの やめてもらって いい?」

あき穂「ねえねえねえねえ! 乾杯しよう?」

海翔「お! 乾杯する? いいねぇ!」

あき穂「うん乾杯しよう!」

海翔「それじゃ、他の お客さんも、よければ一緒に……
    ……ああ、俺か。」

あき穂「うん」

海翔「せーの」

三人と他の客『かんぱーい!』

海翔と あき穂『おじゃりもうせー!』

至「どうもどうも、トンクス!」

女の声「橋田さん……橋田さん!」

海翔「あ……今、声が聞こえたような……」

あき穂「うん」

至「聞こえないよぉ」

あき穂「えぇっ、聞こえましたよぉ?」

至「えー?」

あき穂「橋田さんの名前を呼ぶ女の人の声が」

至「いやいや聞こえないよ全然」

あき穂「聞こえましたって」

海翔「聞こえなかったかなぁ?」

至「今日 何して遊んでたん?」

あき穂「あれぇ?」

女の声「ちょっ」

あき穂「今日は……」

海翔「今日……」

女の声「お、おまっ、おまっ、はし、はし……」

至「おまっ!?」

海翔「はははっ」

あき穂「やっぱり聞こえますよー!」

至「女の子が、女の子が――」
女の声「ちょっ」
至「――『おまおま』言っちゃ駄目だよ! そうだ、忘れてた」

海翔「橋田さん聞こえてるじゃないか!」

至「忘れてたよ。アマデウスを呼び出しといたんだった」

あき穂「ア、マデウス? って何ですか?」

至「ジャジャーン! ボクのポケコンの中にいる、
  この白衣が似合うツンデレ理系女子のことだお」

アマデウス「誰がツンデレ理系女子ですか。
        ざ、雑な紹介しないで下さい」

あき穂「おー、ポケコンの中の人が反応したー!」

アマデウス「どうも、はじめまして。
        私は、牧瀬紅莉栖という人物の、
        18歳時点の記憶データをベースに動いている、
        アマデウスシステム。
        簡単に言うと、人工知能です」

あき穂「人工知能……!」

海翔「へえ、すごいなぁ」

至「意外と驚かんね?」

海翔「似たようなのを知ってるんですよ」

あき穂「うん、君島コウとか、他にも、ね」

至「他って?」

海翔「それは内緒」

紅莉栖「私のオリジナルと橋田さんとは、古い知り合いなんです」

至「そうそう、で、君島コウが また種子島に現れたって話 伝えたらさ、
  何故か特別にアマデウスのサーバーに
  アクセスするパス教えてくれたんだよね」

紅莉栖「君島コウについては、私も興味がありますから。
     簡単な実地調査を、と思いまして。
     ……ただし、踏み込みすぎると危険なので、
     適度に距離は置く予定です。どうぞ よろしく」

海翔「八汐海翔。よろしく」

あき穂「えへっ、ウチは瀬乃宮あき穂。よろしくね、紅莉栖!
     18歳なら……ウチらと、同世代だね」

紅莉栖「そうですね。
     ちなみに、八汐さんと瀬乃宮さんに
     聞きたいことがあるんですが、質問しても?」

あき穂「え? うん」

海翔「君島コウのことなら、俺たちも まだ全然 分かってないけど」

紅莉栖「あ、いえ そうではなくて。
     ……ずばり、八汐さんと瀬乃宮さんは、
     付き合っているんでしょうか!?」

海翔と あき穂『え?…………えぇぇぇぇっ!?』

至「いや聞きたいの そこなん!? 君島コウのことじゃなくて!?」

紅莉栖「はい是非 知りたいです!
     実のところ私を運営・研究している研究所の女性メンバーは、
     いわゆる、浮いた話に まるで興味を示しません。
     私のオリジナルもアラサーを迎えて、
     最近は そういう話に付き合ってくれなくなりました」

至「……」ズルズル

紅莉栖「ちょ……」

至「……」ズゾゾー!

紅莉栖「橋田さん!? 今、召し上がる時間、うーん……」

至「ん? なんだお?」

紅莉栖「……まあ いいです。
     どうやら、プライベートな話は私を通して、
     他の研究員に漏れてしまうのが気に入らないようでして」

海翔「だろうね」

紅莉栖「つまり、はっきり言うと……
     私は! 欲求不満なんです!!」

至「いや色々ぶっちゃけすぎだお!」

海翔「AIも、欲求不満になるんだね……」
至「え?」
紅莉栖「なので、是非 聞かせてください。お二人の関係は?」

あき穂「あー……あはは、えーっと……」

海翔「それは……うーん」

至「まー やれやれ しょうがないなぁ。
  そこまで言うなら この僕が語ってあげるよ。
  僕と由季たんの出会いから結婚、
  そして、ラブリーマイドーターが生まれるまでの、
  めくるめく愛の、奇跡をさ」

紅莉栖「橋田さん、それについてはすでに何度も聞いているので結構です」

至「いや遠慮しなくていいよ。何度でも語ってあげるのだぜ」

紅莉栖「結構です!」

至「ショボーン」

紅莉栖「結構です!」

至「ショボーン」


紅莉栖「結構です!」

至「ショボーン」


紅莉栖「結構です……」

あき穂「……終わった?」

海翔「ふふふっ」

あき穂「ふふっ」

海翔「無視していいよ」

あき穂「ねぇ……ねぇ もう、いいのかな?」

海翔「ん、まぁ、うん」

あき穂「うん……」

紅莉栖「あ! その空気、――」
あき穂「えっへへ、変な空気……」
紅莉栖「――ひょっとして、話してくださるんですか? お二人の関係」

あき穂「いやー、ちょっとね関係って言われてもー、ふふふ、うーん」

海翔「ん まぁ、ねぇ? はは……はぁ」

紅莉栖「うーん……お互いが いる前では
     語りづらいということなら、こうしましょう! 瀬乃宮さん」

あき穂「はい?」

紅莉栖「しばらく耳を塞いでいて下さい」

あき穂「えっ!? ほ、本気?」

紅莉栖「お願いします」

あき穂「ぁ、はい、分かりました」
※注:南條が実際に自身の耳を手で塞ぐ

紅莉栖「では、八汐さん? どうぞ」

海翔「どうぞって言われても……」

至「いや八汐くん もう観念するしかないよ」

海翔「……えぇと……アキちゃんとは、付き合ってはいないよ」

紅莉栖「でも その様子だと好きなんですね!」

海翔「グイグイ来るなぁ……
    告白は、半年前にしたけど」

紅莉栖「では……フラれたんですか?」

海翔「そういうわけでもない!……かなぁ。
    あの時……キスも……したし……」

至「ま セフレなんだよねー」

海翔と紅莉栖『違うよ!/違う!』

至「違うの?
  いや ごめん ごめん そうかなって てっきり」
紅莉栖「ちょっと……」
海翔「明らかに書いてないこと言わないでよ!」

紅莉栖「コンピューターがパニックを起こしかけているので
     シャットダウンしても よろしいでしょうか! ピーーーー……」

海翔「絶対 塞いでて!?」
※注:まだ耳を塞いでる南條に向かって。

紅莉栖「あ いけない いけない。えっ、キスをされた仲ということなんですね?」

海翔「あー……」

紅莉栖「それなのに付き合ってないと……
     これは論理的に考えると矛盾していますね……」

至「だが恋愛は理屈じゃないからね。キリッ」

海翔「ま……ですね! 俺とアキちゃんは色々あったし……」

紅莉栖「色々……? では、関係を進める気はないと?」

海翔「あー……」

紅莉栖「ふふっ、あるんですね?」

海翔「……分からない。
   今は自分の夢のこともあるし、
   アキちゃんを それに付き合わせるのも どうかなって気もするし、
   大切だからこそ、考え過ぎちゃうか……
   って、俺、何 語っちゃってるんだ!?」

至「八汐きゅん お酒 飲む?」

海翔「未成年です!!」

至「……?」

海翔「……」ゴクゴク

至「めっちゃ飲んでるー!?」

紅莉栖「未成年の定義とは、うーん、これ以上は考えられないので
     シャットダウンします。
     八汐さん ありがとうございました。
     あなたの気持ちは よく分かりました。
     とても勉強になります」

海翔「アキちゃんには言わないで下さいよ!?
    ……言うなら その、自分から言いたいし……」

紅莉栖「分かりました。約束します。
     それでは次は、瀬乃宮さんに話を聞いてみましょう。
     八汐さんには、耳を塞いでいてもらって」

海翔「はいはい」

紅莉栖「瀬乃宮さーん。どうぞ こちらへ」

あき穂「……終わりました?」

至「ははははっ」

紅莉栖「ええ」

あき穂「えー……なんか お悩み相談室って
     なんか、割と、際どい話になってませんでした?」

至「なってないおね?」

紅莉栖「……そうですね、私は理解できませんでした」

あき穂「そうか。なら、いいか……」

紅莉栖「それでは、瀬乃宮さんにも この質問を。
     八汐さんとの関係について、教えてください」

あき穂「うーん……幼馴染、だよ」

紅莉栖「幼馴染……? 恋人未満、という認識でいいんでしょうか?」

あき穂「ん、うーん……」

紅莉栖「八汐さんからは何か、アプローチはありましたか?」

あき穂「えっ。あー……き、キ、キス、は、された、かなー……
     告白も、されました……」

至「でも それ以上は? それ以上は?」

あき穂「それ以上?」

至「とくにないです」
あき穂「何故……」
至「それ以上は とくにないです。はい」
※注:唐突な自己解決&紅莉栖への報告。台詞を読み違えた?

紅莉栖「なるほどー……それ以上はない」

あき穂「ない」

紅莉栖「それ以下もなく」

あき穂「ない……」

紅莉栖「キスと告白だけということで、よろしいんでしょうか?」

あき穂「そう な、りますかね。はい」

紅莉栖「その、告白に対する、返答は どうされたんですか?」

あき穂「まあ、しました」

紅莉栖「どういう風に!?」

あき穂「あっ、えっ、あ ウチも、
     ウチも好きだーって、った、気がします……」

至「リア充 爆発しろー!」

紅莉栖「橋田さんは黙っていてください!!
     両想いであることを確認したのに、付き合わないのは何故なんですか!?」

あき穂「いや……色々あったんだよ。
     君島コウのこととか、お姉ちゃんのこととか?
     あと卒業も重なっちゃったし。
     ただ……カイがさ、
     夢を目指すために島を離れるって言ったとき、
     ウチ、寂しかったけど、カイが そう決めたのなら
     ちょっぴり嬉しくもあったんだ。
     だから あの時、頑張ってねって送り出したのは、
     そんなに後悔してない……かな」

紅莉栖「素敵……青春ですね!」

至「さわやかすぎて映画化 決定レベルだお」

あき穂「あはは、そうかな? ……ふふっ」

紅莉栖「……が、いつまでも青春していられるとは思わないほうがいいです。
     やはり、今こそ関係を、先に進めるべきでは!?」

あき穂「ぃいやいや、えぇ全然 心の準備 出来てないし!」

紅莉栖「人生は一度きりです! 繰り返すことは出来ないんですよ!」

至「同意! やらずに後悔するより……やって後悔したほうがいいよ」

あき穂「そ……そうです、けど」

紅莉栖「めくるめく青春を!」

至「青春を!!」

紅莉栖「青春を!!」

あき穂「やだー、無理ー! 恥ずかしいから この話は もう終わり!」

至「えぇ〜?」

紅莉栖「んー、残念です」

海翔「あ、終わったの?」

あき穂「終わった!! そんなことより!!
     ロボットの話しよー? しないならウチ帰るから!」

紅莉栖「分かりました。ロボットですか……
     二足歩行ロボットについては、現実的に考えると難しい分野ですね」

海翔「難しいって どうして?」

紅莉栖「そもそも、二足歩行の汎用ロボットには使い道がありません。
     それよりも、状況に合わせて最適な形状のロボットを
     その都度 作るほうが効率がいいんです」

あき穂「いいや分かってない……分かってないなあ紅莉栖ぅ!
     二足歩行ロボット……それはズバリ! ロマンなんだよ!」

紅莉栖「ロマン……というのは随分 曖昧な表現ですねぇ……
     他の二人も同じ意見ですか?」

海翔「んー、ロマンといえばロマンかなぁ。
    俺もアキちゃんに影響されてるところあるけど」

至「僕もね言いたいことは分かるお」

あき穂「ふふっ、説明しよう! ロマンとは!!
     ……
     …………
     ………………えーと」

海翔「あれだけ大見得きっといて出ないの?」

あき穂「いやー、感覚では分かってるんだけど、なんか上手く説明できない。
     こうズギャーン! ガシャーン! ゴゴゴ! キュピーン! ジャキーン!
     って感じ。うん」

紅莉栖「これはひどい」

至「日本語で おk」

海翔「……なんか すいません」

あき穂「なんでカイが謝るの!?」

紅莉栖「では橋田さん。代わりに説明を」

至「よーし、任せなさい!
  二足歩行ロボットがロマンなのは、ま確定的に明らかです。想像してみて。
  超絶かわいい萌え萌えドジっ娘メイドさんロボが
  一家に一台いてくれたらさあ……
  ……めくってます……
  ……いや歳 取ってくると だんだん油っ気が無くなってきて、
  めくれないんだよね」

紅莉栖「お箸を持っているからだと思います……」
※注:台本のページが すべって めくれないトラブル。

至「でメイドがいるでしょ家に。でメイドがね、
  『はきゅーん、ご主人様ごめんなさいバケツひっくり返しちゃいました。
  こんな、ダメダメ メイドの私に、お仕置きをしてください。
  太いの一発、お願いします!』ハァハァ」

紅莉栖「……HENTAIですね」
至「台本、台本通りです」
海翔「橋田さん家庭持ちでしょう?」

至「そうだけど台本に書いてあるから」

海翔「嘘つけ!」

あき穂「書いてない……!」

至「でも だからこそロマンなわけで」

あき穂「いやウチの言ってるロマンっていうのは そういうことじゃないよー!
     カイなら分かるでしょ?」

海翔「あー……例えば、キルバラでいえば、
    俺は、性能がいい機体を使って勝率を上げるより、
    例え性能は微妙でも、
    自分の お気に入りの機体を とことん極めて全一を取りたい。
    勝つだけじゃ意味がなくて、
    自分の お気に入りの機体で勝つことが、重要なんだよね」

あき穂「……あー……まあ……うんうん。あながち、間違ってない。
     変形合体とか、胸元のライオンの顔とか、
     人間みたいな目と口とか、意味のない角とか!
     そんなの どれも全然いらないんだけど、あったほうが かっこいい!
     それが! ロマン!!」

紅莉栖「うーん……論理性の かけらもありませんが、
     人はモチベーションによって発揮できる能力が大きく変わるといいます。
     半年前に、瀬乃宮さんたちが君島コウに勝利できたのも、
     そこにロマンがあったからかもしれませんね」

あき穂「そういうこと! 悪い奴を やっつけるのは、
     正義のロボットだって昔から ずっと決まってる!
     巨大二足歩行ロボットは、これまでに何十回も何百回も
     世界滅亡の危機を救ってきてるんだ!
     だから何度だってウチらのロボットは世界を救うんだ!」

海翔と至『おーう!』

あき穂「あっはー! なんか たぎってきたー!!
     チュウタネ、ロボ部〜! 元気一発! よいら〜いき〜!!
     あっ、ほら! 皆も一緒に!」

海翔「ああ……」

至「はい」

あき穂「チュウタネ、ロボ部〜! 元気一発!」

四人『よいら〜いき〜!!』

あき穂「ほらほら、皆もー!
     チュウタネ、ロボ部〜! 元気一発!」

皆『よいら〜いき〜!!』