| --10:00-- | 電車に揺られ、アキバの街に遊びに来たあなた。 | |
| 色々な店に目移りしながらも、今日の目的の店であ る様々な部品が売っている電気屋「なかまつ」に到 着した。 | ||
| あなた | (よし、到着! 必要なのはこれと、これと、後は… …) | |
| さっそくお目当てのパーツを物色していると、その すぐ真横で突然見知らぬ男性が奇声をあげた。 | ||
| ??? | 「フゥーハハハ!ようやく見つけたぞ、このパーツ こそ俺が探し求めていたものだ!」 | |
| あなた | (うわあ……変な人いる……。まあいいか。気にしな いでおこう。……あ、あった! やっぱりなかまつ の品揃えはすごいな) | |
| あなたがパーツに手を伸ばしたとき、隣にいた男性 もちょうど同じパーツを手に取るところだった。 | ||
| ??? | 「貴様! これは俺がこの後重要な発明に使おうと しているパーツだ! 横取りしないでもらおうか。 ……ま、まさか貴様、機関の手の者か……?」 | |
| 「……もしもし、俺だ。……ああ、まずいことにな った。機関のエージェントが、ついに俺に直接コン タクトを取ってきた……」 | ||
| 「いや、とりあえず今はこの場を穏便に収めなくて は。ああ、問題ない。ここはなんとか切り抜けてみ せる。エル・プサイ・コングルゥ」 | ||
| 訳も分からずまくし立てる男性に面食らうあなた。 | ||
| あなた | (変なことに巻き込まれたら嫌だし、ひとまずパーツ 渡しておくか……) 「あ、これ、どうぞ」 | |
| ??? | 「ほう、素直に渡すとは……。貴様、機関の者では なかったのか? まあいい。危うく俺が本気を出す ところだったぞ」 | |
| 「この鳳凰院凶真の偉大なる発明の礎となれること 、誇りに思うが良い」 | ||
| あなた | 「あの、発明って一体……?」 | |
| 鳳凰院凶真 | 「発明の内容は機密事項だ。部外者に教えるわけに はいかん」 | |
| あなた | 「……実は私、機械いじりが得意で。発明とか、興 味あるんです。そこをなんとか教えてくれませんか ?」 | |
| 鳳凰院凶真 | 「なに!? 機械いじりが得意だと!? ……ふむ 、こいつならダルよりも俺の要求を素直に聞いてく れそうだな」 | |
| 「……ククク、そこまで言うならお前にはラボメン となってもらおう」 | ||
| あなた | 「ラボメン?」 | |
| --10:15-- | 鳳凰院凶真 | 「ああ、そうだ。あくまで試用期間だがな。お前は 今日からラボメンナンバー00X、通称『エックス』 だ!」 |
| 「この狂気のマッドサイエンティスト、鳳凰院凶真 の助手として働けること、誇りに思うが良い」 | ||
| あなた | 「えー!?」 | |
| こうして、鳳凰院凶真と名乗る謎の男と出会ったあ なた。 | ||
| 「ラボメンナンバー00X」として、凶真の発明に協 力させられることになるのであった。 | ||
| --10:30-- | 鳳凰院凶真 | 「ここが未来ガジェット研究所、通称ラボだ。今い るのは……まゆりとダルか」 |
| まゆり | 「トゥットゥルー♪ オカリンおかえりー。 あれ ー? 一緒にいる人はお客さん? こんにちはー! 」 | |
| あなた | 「こ、こんにちは……あれ、『オカリン』って?」 | |
| まゆり | 「オカリンはオカリンなのです!」 | |
| 鳳凰院凶真 | 「まゆりよ、いつも言っているだろう。俺のことを オカリンと呼ぶなと。 俺は狂気のマッドサイエン ティスト、鳳凰院凶真だ!」 | |
| ダル | 「厨二病乙。んで、その人は誰なん?」 | |
| 鳳凰院凶真 | 「ああ、こいつは新しいラボメンの一員、『エック ス』だ」 | |
| まゆり | 「えー! ラボメンが増えるんだねー! エックス さん、よろしくねー」 | |
| ダル | 「エックス氏は何か特殊技能でも持ってるん?」 | |
| --10:45-- | 鳳凰院凶真 | 「コイツは……この鳳凰院凶真の発明を手伝いたい と自ら志願してきたのだ!」 |
| ダル | 「……マジで? エックス氏さ、オカリンに何か弱 みでも握られてるっしょ?」 | |
| あなた | 「私の機械いじりのスキルが発明の役に立てば良い かなと思って」 | |
| ダル | 「お、おう……。変わり者乙」 | |
| まゆり | 「でもでも、とにかくエックスさんは今日からまゆ しぃたちの仲間なんだよね! えっへへー、嬉しい なー!」 | |
| ダル | 「ま、よろしくだお」 | |
| 鳳凰院凶真 | 「それでは、ラボメンナンバー00X! 早速最初の任務を与える」 | |
| 「俺と一緒に未来ガジェットの新たな開発を……と 思ったが、腹が減ったな。まずは腹ごしらえだ」 | ||
| 「ラボにある食料は……バナナだけだと…!? 食 べ物であればなんでも食べられるほどの空腹状態と はいえ、これでは全く足りないではないか!」 | ||
| 「……っく、まさかこれも狂気のマッドサイエンテ ィストである俺、鳳凰院凶真を餓死させようという 機関の姑息な作戦……」 | ||
| あなた | 「あの、機関っていうのは……?」 | |
| ダル | 「……オカリンの脳内厨二病設定だから無視してお k」 | |
| 鳳凰院凶真 | 「しかし喉も乾いたな……。後でドクペを摂取しな くては……。機関の奴ら、どこまで俺を苦しませれ ば気が済むのだ……」 | |
| ダル | 「それは出掛ける前に、飲まず食わずでタイムマシ ンや超常現象の特集に釘付けで見てたからっしょ。 テレビの見すぎだお」 | |
| 鳳凰院凶真 | 「何? テレビ飲みすぎ? ダルよ、俺が狂気のマ ッドサイエンティストとはいえ……さすがにテレビ は飲まんぞ」 | |
| ダル | 「飲みすぎじゃなくてテレビの、見すぎな」 | |
| まゆり | 「オカリンお腹空いたの? 大丈夫―?」 | |
| 鳳凰院凶真 | 「フゥーハハハ! まさか、俺が機関の作戦に屈す る訳が無いだろう! この程度の空腹、実験に没頭 することで克服してやる!」 | |
| 「……もしもし、俺だ。……ああ、今から例の実験 を行う」 | ||
| 「……危険だと? フッ、マッドサイエンティスト の実験に危険は付きものだろう。その程度のリスク など、恐るるに足らん」 | ||
| 「……ああ、分かっている。問題はない。そうそう 。先ほど話したアイツだが、どうやらこちら側の人 間だったようだ」 | ||
| 「……そうだな、引き続き警戒は続けるさ。エル・ プサイ・コングルゥ」 | ||
| --11:00-- | 「……まゆり、ダル。俺らは今からここで新たな未 来ガジェットの開発を行おうと思う」 | |
| 「何が起こるか分からない。場合によっては俺に構 わず逃げろ。いいな?」 | ||
| まゆり | 「オカリン、また何か発明するんだねー。まゆしぃ も応援してるねー! エックスさんも、一緒に発明 頑張ってね!」 | |
| ダル | 「実験に没頭して空腹から逃れようとするとか…… 金欠乙」 | |
| 鳳凰院凶真 | 「そこ、うるさいぞ! まあ、そんなことを言って いられるのも今のうちさ。この鳳凰院凶真に任せて おけ」 | |
| 「この空腹が収まるころには、世紀の大発明にお前 たちも度肝を抜かれるだろう」 | ||
| そう言って、あなたと凶真は新たな未来ガジェット の開発に没頭するのであった。 | ||
| --12:00-- | 鳳凰院凶真 | 「ついに……ついにできたぞおお!!」 | |
| まゆり | 「お疲れ様―。わー、オカリンボロボロだねぇ。ま ゆしぃのバナナ食べる?」 | ||
| ダル | 「まゆ氏まゆ氏、“あなたのバナナ食べたいな”って 言ってみて?」 | ||
| まゆり | 「あなたのバナナ食べた……」 | ||
| 鳳凰院凶真 | 「言わせるな低能が! そんなことよりも見ろ! この世紀の大発明を! 電話レンジ(仮)とコピー機 を組み合わせることで完成した、最高傑作だ!」 | ||
| ダル | 「え、ただ電話レンジとコピー機をケーブルで繋げ じゃね?」 | ||
| 鳳凰院凶真 | 「まあ見ていろ。このカメラで……そうだな、ここ にあるバナナの写真を撮るとだな……」 | ||
| まゆり | 「わわー、バナナが増えたよ!」 | ||
| ダル | 「え、これマジ? どういう仕掛けなん?」 | ||
| 鳳凰院凶真 | 「フ、フハ、フゥーハハハ。ど、どういう仕掛けか は……よく分からないが、あれこれいじっていたら 結果的にこうなった」 | ||
| 「……いや、ね、狙って作り上げた、人類史を塗り 替える大発明だ!」 | |||
| 「エックス、初任務だったにも関わらず、俺の発明 を手伝ってくれたこと感謝する。お前がいなかった ら、この天才的な発明に至らなかっただろう」 | |||
| 「……電話レンジ(仮)とコピー機もとい複写機の合 体。そうだな……俺はこれを未来ガジェット三四号 、『電写レンジ(仮)』と名付けよう!」 | |||
| ダル | 「三四号? そんなにたくさん作ったっけ?」 | ||
| まゆり | 「すごーい、これならバナナが食べ放題なのです! 」 | ||
| 鳳凰院凶真 | 「ん? フェイリスからメールだ。この画像はなん だ?」 | ||
| 受信メール | 時間:12:00 送信者:フェイリス 件名:かわいい写真を送るニャン! 本文:クリスティーニャンのとっても可愛 い写真を送るのニャ! キョーマも遊びにくるといいニャン ♪ | ||
| 鳳凰院凶真 | 「なんだ助手も一緒か」 | ||
| あなた | 「フェイリス?」 | ||
| --12:15-- | 鳳凰院凶真 | 「ああ、メイクイーン+ニャン2というメイド喫茶で 働いている俺の知り合いのメイドだ。まゆりのバイ ト先でもあるな」 | |
| あなた | 「へえ、そうなんですね……」 | ||
| ダル | 「フェイリスたん! 今日も萌え萌え〜。かわいす ぐるだろ常考!」 | ||
| まゆり | 「2人とも、すっごくかわいいのです!」 | ||
| ダル | 「当たり前のようにフェイリスたんは可愛さが限界 突破しているが、牧瀬氏のこの表情も……、萌える 」 | ||
| 鳳凰院凶真 | 「何だお前、節操がないな」 | ||
| ダル | 「可愛い女の子なら2次元だろうと3次元だろうと 関係なく萌えるべきだろ常考」 | ||
| 「……そういえば、今メイクイーンでキャンペーン を二つやってるんだお。早く行かねば」 | |||
| 鳳凰院凶真 | 「キャンペーン?」 | ||
| まゆり | 「そう! フェリスちゃんの限定タペストリーがも らえるんだよー! こうやって、手でハートを作る とね……」 | ||
| まゆりがハートを手で作ろうとした拍子に、握りし めていたうーぱが落ちてしまう。うーぱはコロコロ と転がっていき、タンスの下まで行ってしまった。 | |||
| まゆり | 「あー、まゆしぃのゴールデンうーぱがぁ……」 | ||
| 鳳凰院凶真 | 「ゴールデンうーぱ……? まゆりが持っていたの はメタルうーぱじゃないのか」 | ||
| まゆり | 「ゴールデンうーぱはね、最近新しく仲間入りした うーぱだよ! えっへへー、がんばってガチャガチ ャ回したんだー」 | ||
| ダル | 「ゴールデンうーぱ!? まゆ氏、ゴールデンうー ぱ持ってるん!?」 | ||
| まゆり | 「そうだよー! でも、タンスの下に落ちちゃった から、今は持ってないのです…。でもダルくん、ど うしたの?」 | ||
| ダル | 「メイクイーンではもう一つキャンペーンをやって るんだお! なんと! ゴールデンうーぱと交換で フェイリスたんサイン入りチェキが貰えるのだ!」 | ||
| 鳳凰院凶真 | 「タペストリーにチェキか……。メイクイーンはお 祭りだな」 | ||
| ダル | 「まゆ氏、もう一つ持ってない?」 | ||
| まゆり | 「ごめんねー。二つは持ってないのです」 | ||
| 「二つあったら、ダル君にもあげたんだけどなあ… 」 | |||
| ダル | 「だよねー……」 | ||
| 鳳凰院凶真 | 「仕方ない。俺がとってやるとしよう」 | ||
| タンスの下に手を突っ込んでうーぱを取ろうとする 岡部。しかしうーぱはタンスの奥まで行ってしまい 、全く手が届きそうになかった。 | |||
| あなたも続いて取ってみようとするが、同じように 失敗に終わってしまう。 | |||
| --12:45-- | 鳳凰院凶真 | 「うーん、これは届かないな。何か細長いものがあ れば良いんだが……」 | |
| まゆり | 「うぅ……悲しいけど仕方ないのです……」 | ||
| ダル | 「うぅ……フェイリスたんのサイン入りチェキが… …。仕方ない、あとでガチャ回すかぁ……」 | ||
| 「それにしても、オカリンすごいもの作っちゃった けどどうすんのそれ?」 | |||
| --13:00-- | 鳳凰院凶真 | 「ククク、凄いのはここからだ。俺は今、更にとん でもないことを思いついてしまった」 | |
| 「エックス、俺を撮影してみろ」 | |||
| ダル | 「ちょっ、オカリンまさか……」 | ||
| 鳳凰院凶真 | 「「フゥーハハハ!」」 | ||
| まゆり | 「えええ!? オカリンが増えた!」 | ||
| ダル | 「さすがオカリン、僕たちにできないことを平然と やってのける! そこにシビれるアコガれるぅ!」 | ||
| オリジナル凶真 | 「と、ととと、当然だろう。す、すべては俺の狙い 通りだ! これで、あんなことやこんなことがやり たい放題……」 | ||
| 「お前の力も借りることになるだろう、頼んだぞス ーパーハカー!」 | |||
| ダル | 「スーパーハカーじゃなくてスーパーハッカーな」 | ||
| コピー凶真 | 「や、やや、やはり俺は天才だったのだ! 自分の 才能が恐ろしい……。頼んだぞスーパーハカー!」 | ||
| ダル | 「スーパーハカーじゃなくてスーパーハッカー…… え、僕これからオカリンに倍ツッコまなくちゃいけ ないん?」 | ||
| ガチャ | |||
| 岡部たちが騒いでいると、紅莉栖がメイクイーンか ら帰宅してきた。 | |||
| --13:15-- | 紅莉栖 | 「ちょっと岡部、何騒いで……って、えええ!?」 | |
| まゆり | 「紅莉栖ちゃん、トゥットゥルー♪さっきまでメイ クイーンに行ってたんだねえ」 | ||
| 紅莉栖 | 「ちょ、なんでそれを!?」 | ||
| ダル | 「フェイリスたん限定タペストリー、もらった?」 | ||
| 鳳凰院凶真 | 「なんだ助手か」 | ||
| コピー凶真 | 「タペストリーをもらったということはハートは作 ったのか」 | ||
| 紅莉栖 | 「ハートなんて作っとらんわ! そんなことより、 この状況、一体何が起きた?」 | ||
| 「……というか今気付いたけど、あなた何者? 何 でラボにいるの? 岡部の知り合い? 分かるよう に説明して」 | |||
| 鳳凰院凶真 | 「ああ、もちろん説明してやろう」 | ||
| コピー凶真 | 「この狂気のマッドサイエンティストの、かつてな い偉業をな!」 | ||
| --13:45-- | まゆり | 「……あ、もうこんな時間! ごめんねぇオカリン 、まゆしぃ、今日はフブキちゃんやカエデちゃんと コスイベントに行く 予定があるのです」 | |
| 「この巫女さんの衣装……は昨日使ったからここに 置いておこうかな。あとはハサミにテープに……」 | |||
| 「衣装の型も置かせてもらうね。それじゃあ、行っ てきます!」 | |||
| ダル | 「それなら僕もメイクイーンで開かれるカードバト ル……あの神イベに行ってくるお! フェイリスた ん待っててねー」 | ||
| ガチャ | |||
| 慌ただしく出て行った二人。 残されたあなたと岡部2人に向かい、紅莉栖は冷や やかな目を向けた。 | |||
| 紅莉栖 | 「で? 何があったっていうのよ。色々気になるこ とがありすぎるんだけれど……まずは岡部、あんた 何で2人になってるの?」 | ||
| 鳳凰院凶真 | 「聞いて驚くな、助手よ!」 | ||
| 紅莉栖 | 「……」 | ||
| コピー凶真 | 「俺が先ほどPCパーツを買いに行ったとき……」 | ||
| --14:00-- | 紅莉栖 | 「……ふーん。なるほどね。それで電写レンジ(仮) ができて、あんた自身をコピーしたってわけ。つい でにあなたが新たなラボメンになった、と」 | |
| 鳳凰院凶真 | 「理解が早いなクリスティーナ!」 | ||
| 紅莉栖 | 「誰がクリスティーナだ」 | ||
| あなた | 「あの、ところで鳳凰院さんの本名って岡部さんな んですか……?」 | ||
| 紅莉栖 | 「岡部、もしかしてあの痛々しい名前しか名乗って ないの? あなたもそれでよく付いてきたわね…… 」 | ||
| コピー岡部 | 「俺の真名を馬鹿にするんじゃない! フハハ、こ れで俺自身が二人になることで、機関との戦いをよ り有利なものにすることができるぞ!」 | ||
| 紅莉栖 | 「……ふざけてる場合じゃない。人間をまるまるコ ピーできるマシンってどういう仕組みよ。私だった ら、6時間は動作確認に費やすわよ?」 | ||
| 岡部 | 「俺はお前と違って大胆なのだ。とにかく、俺はこ の未来ガジェット三四号を使ってこの世界を……」 | ||
| 「ん? まゆりからか。もしもし」 | |||
| まゆり | 「あ、オカリン。あのね、ちょっと今、困ったこと になってて。助けてくれないかな……?」 | ||
| 岡部 | 「何だと? まゆり、今どこにいるのだ?」 | ||
| まゆり | 「今はねぇ、ラジ館の前にいるよ」 | ||
| 岡部 | 「分かった、すぐに行こう」 | ||
| 「……というわけで、俺はまゆりのもとへ向かう。 おい俺、助手を任せたぞ」 | |||
| コピー岡部 | 「誰に向かって言ってるんだ、俺。助手の面倒を見 るのは当然だろう」 | ||
| 紅莉栖 | 「……まったく、面倒くささも倍増ね」 | ||
| 岡部 | 「エックス、お前は俺に付いてこい。新たなラボメ ンに、この秋葉原の地を案内してやろう」 | ||
| こうしてあなたとオリジナルの岡部は、まゆりのと ころへ行くためにラジ館へ向かうのだった。 | |||
| --14:15-- | まゆり | 「あ、オカリン! それにエックスさんも! わざ わざ来てもらってごめんね」 |
| 岡部 | 「まゆり、困っていると言っていたが一体どうした んだ」 | |
| まゆり | 「あのね、まゆしぃはどうしても、ゴールデンうー ぱが欲しいのです。だからイベントへ行く前にここ のガチャガチャを回しにきたんだけど……」 | |
| 岡部 | 「ゴールデン……? あぁ、さっきのキーホルダー か」 | |
| まゆり | 「それでね、何回か回したんだけど、全然出なくて ……。まゆしぃ、小銭を切らしちゃったのです」 | |
| 「これじゃコスイベントに行けないよ。電車賃、貸 してくれないかなぁ?」 | ||
| 岡部 | 「なるほどな。ガチャで有り金すべて使い果たすと はうーぱ好きにも程があるぞまゆり」 | |
| 「……ん、ちょっと待て、助手からだ。もしもし」 | ||
| 紅莉栖 | 「もしもし岡部? あんた、この電写レンジ、電話 レンジとコピー機を合わせて作ったって言ったわよ ね?」 | |
| 岡部 | 「ああ。それがどうかしたか?」 | |
| 紅莉栖 | 「どうやら、電話レンジの機能の一部を、電写レン ジ が引き継いでいるみたいなのよ」 | |
| 岡部 | 「……分かりにくいな。簡潔に言え」 | |
| 紅莉栖 | 「つまり、電写レンジから過去にメールが送れる」 | |
| 岡部 | 「何だって!? そうか、やはり俺は天才マッドサ イエンティスト……」 | |
| 紅莉栖 | 「でもこのメール、どんな内容でも送れるわけじゃ なさそうなのよね」 | |
| 送信メール | 時間:時刻 受信者:人物 件名: 本文: 作れ 作るな | |
| 紅莉栖 | 「送れる内容はこんな感じ。電写レンジに組み込ま れたことで、送れる文章が制限されてるみたい」 | |
| 「電写レンジは、コピーしたいものをカメラに映す 必要がある」 | ||
| 「だから『物』にはメールを送りたい時間にラボに あるもの、を入れないと複製はできない」 | ||
| 岡部 | 「ふむ、なるほど」 | |
| 紅莉栖 | 「このマシンの機能にはまだまだ謎が多いから、実 験が必要よ。何か過去に複製したいものはない?」 | |
| 岡部 | 「過去に複製したいもの、だと……? そういえば 、まゆりがゴールデンうーぱをなくしたのは……。 ああ、エックスも思いついたか」 | |
| 紅莉栖 | 「?」 | |
| 送信メール | 時間:12:00:00 受信者:岡部倫太郎 件名: 本文: 作れ 作るな | |
| --14:30-- | 岡部 | 「この内容で俺にDメールを送るよう、そっちの俺 に伝えてくれ」 |
| 紅莉栖 | 「了解」 | |
| 岡部 | 「……っ、くっ、世界線が変わったか……。まゆり の姿が消えている。俺の狙い通り……なのか?」 | |
| あなた | 「い……今のは?」 | |
| 岡部 | 「……!? お前、まさか、俺と同じリーディング シュタイナーを持つ者なのか!?」 | |
| あなた | 「リーディング……え?」 | |
| 岡部 | 「世界線が変わっても記憶を引き継ぐこの特殊能力 だ…… まさか俺以外にも持っている者がいたとは な……」 | |
| あなた | (また何かの設定なのかな……?) 「あ、あの、岡部さん? まゆりさんに電話しない んですか?」 | |
| 岡部 | 「あ、ああ、そうだったな……」 | |
| まゆり | 「あ、オカリン! トゥットゥルー♪ どうしたの ?」 | |
| 岡部 | 「まゆり、イベント楽しんでいるか?」 | |
| まゆり | 「うん! とっても楽しいよ!」 | |
| 岡部 | 「そうか、良かった。ゴールデンうーぱはもってい るか?」 | |
| まゆり | 「もちろん持ってるよー。まゆしぃのはタンスの下 に落としちゃったけど、オカリンが作ってくれたこ の子は無事だったのです!」 | |
| 岡部 | 「ああ、そうだったな。それじゃあ、イベント楽し んでこいよ」 | |
| まゆり | 「はーい! じゃあね!」 | |
| --14:30-- | 岡部 | 「ふう、成功したな。助手にも報告しておくか…… もしもし」 |
| 紅莉栖 | 「もしもし、実験、したのね?」 | |
| 岡部 | 「そうだ、よく分かったな」 | |
| 紅莉栖 | 「こっちの岡部が、世界線が変わったって教えてく れた。いったい何したの?」 | |
| 岡部 | 「まゆりのゴールデンうーぱをコピーして、まゆり がうーぱをなくさないよう過去改変した」 | |
| 紅莉栖 | 「……なるほど、そういうことね。それにしても、 スペアを用意できるのは便利ね。食器とか複製した ら割れても安心じゃない」 | |
| 「まあ、またマシンの性質がわかったら、こっちか ら連絡するから」 | ||
| 岡部 | 「ん? ダルからメールだ。画像付きか」 | |
| 受信メール | 時間:14:30 送信者:ダル 件名:レア自販機発見! 本文:ずっとオカリンが探してた、ドクペ 売ってる自販機を発見! ノンカロリーコーラがあったら絶対 買わなかったけど、今日はこれで我 慢しといたお。 今日の神イベは15:00から!エネルギ ー摂取は完璧ナリ! | |
| --14:45-- | 岡部 | 「ドクペが売っている自販機だと……? よくやっ たダル! 最近ドクペがどこにも売っていなくて困 っていたんだ」 |
| あなた | 「え、岡部さんそんなにドクペ好きなんですか…… ?」 | |
| 岡部 | 「当たり前だ! 至高の科学実験にドクペは必需品!」 | |
| 「この写真を見る限り……この自販機はコインロッ カーが置いてあるあの場所にありそうだな。エック ス、早速コインロッカーへ行くぞ!」 |
| --15:00-- | 岡部 | 「ここだ……ん?」 |
| 岡部とあなたは、コインロッカーの1つに『故障中 』の張り紙がされていることに気付いた。 | ||
| 岡部 | 「何だ、ここのロッカーだけ故障しているのか。こ の張り紙、テープが剥がれかけているな」 | |
| 「貼り直す手段もないし……まあ、ここを管理する 人間がそのうち直すだろう。そんなことより今はド クペだ……」 | ||
| 「ぬあああああ! 何故だ……何故売り切れなのだ ……」 | ||
| 「助手か」 | ||
| 紅莉栖 | 「もしもし、電写レンジの新機能がわかった」 | |
| 岡部 | 「そんなことはどうでもいい……。俺は今、至高の 知的飲料が売り切れだったという事実に打ちひしが れているんだ……」 | |
| 紅莉栖 | 「それこそどうでもいい……。いいから聞いて。あ のね、この電写レンジ、コピーしたものを、好きな ところに出現させられるみたいなの」 | |
| 岡部 | 「何だって?」 | |
| 紅莉栖 | 「例えば私は今ラボにいるけど、ここからあんたが いる場所に何かを送ることもできるってこと。実験 してみるか……今欲しいものはある?」 | |
| 岡部 | 「ならばドクペだ! ドクペを送れ!」 | |
| 紅莉栖 | 「あー。今、切らしちゃってるのよね」 | |
| 岡部 | 「なにいいいい!?ラボにはまだストックが1本あ ったはずだぞ!」 | |
| --15:15-- | 紅莉栖 | 「ついさっきこっちのあんたがコピーして、飲んじ ゃったの」 |
| 岡部 | 「おのれ俺め! ……だが待て、コピーしたならド クペは2本あるはず。残り1本はどうした!?」 | |
| 紅莉栖 | 「……」 | |
| 岡部 | 「さてはお前も一緒になって飲んだな! この裏切 り者め!」 | |
| 紅莉栖 | 「飲んだわよ、はいはい、失礼しました」 | |
| 「こっちにいる岡部は飲んだんだから、実質あんた も飲んだようなものでしょ」 | ||
| 岡部 | 「それはいったいどういう理屈だ……」 | |
| 紅莉栖 | 「それにしても食べ物をコピーできるなんて、何で も食べ放題にできて最高よね」 | |
| 「ラボには食材がないけど、手元にあったら食材を たくさん作っちゃうかも」 | ||
| 岡部 | 「そんなものいらん! 俺はドクペが飲みたいのだ !」 | |
| 紅莉栖 | 「橋田が置いていったノンカロリーコーラならある けど」 | |
| あなた | 「橋田?」 | |
| 岡部 | 「ダルのことだ。あいつはドクペの良さを分かって いないんだ……。ドクペこそが科学者にとって至高 の飲み物だというのに」 | |
| 岡部 | 「電写レンジを使って、なんとかドクペを手に入れ られないだろうか……」 | |
| 送信メール |
時間:14:30:00 受信者:岡部倫太郎 件名: 本文: at 作れ 作るな | |
| 岡部 | 「よし、このDメールを送るぞ」 | |
| 受信メール | 時間:14:30 送信者:ダル 件名:オカリンナイス! 本文:ちょうど自販機にノンカロリーコー ラがなかったところだお、オカリン 気が利くう!! 今日の神イべは15:00から!エネルギ ー摂取は完璧ナリ! | |
| 岡部 | 「ダルは無事コーラを手に入れたようだな」 | |
| 「よし、今度こそ……。これでドクペを……GETだ ! だがこのドクペは最後の1本…………エックス 、飲みたいか?」 | ||
| あなた | (とんでもなく険しい顔をしている……) 「いや、岡部さんどうぞ……」 | |
| 岡部 | 「そうか! ではさっそく……ぷはぁー! やはり ドクペは最高だ……!」 | |
| 「よし、無事ドクペも手に入ったことだし、実験の 続きを……ん? 今日はよく電話が鳴るな。もしも し?」 | ||
| るか | 「もしもし、岡部さん、突然すみません」 | |
| 岡部 | 「ルカ子か。俺のことは凶真と呼べといつも言って いるだろう」 | |
| るか | 「あ、そうでした、凶真さん。実はボク、今ちょっ と大変なことになってしまっていて…」 | |
| 「凶真さん、手が空いていたら今からうちの神社に 来てもらえませんか?」 | ||
| 岡部 | 「大変なこと? ……わかった、すぐに行こう」 | |
| --15:45-- | 岡部 | 「ルカ子、何があった……って、うおお!」 |
| あなた | (そこには、巫女服に身を包んだ可憐な美少女が立っ ていた。……その巫女服を、泥まみれにしながら) | |
| るか | 「神社の掃除をしていたのですが、ぬかるみに気付 かず足を滑らせて、服を汚してしまって。……あ、 の……こちらの方は……?」 | |
| 岡部 | 「ああ、こいつは新たなラボメンになったエックス だ」 | |
| るか | 「よろしくお願いします、エックスさん。漆原るか ですっ」 | |
| あなた | 「ど、どうも……」 | |
| るかと挨拶しているあなたを引き寄せ、岡部が耳打 ちする。 | ||
| 岡部 | 「おいエックス、ドキドキしているお前にひとつ、 重要なこと を教えてやろう。ルカ子は男だ」 | |
| あなた | 「……え、えぇ!? こんなに可愛いのに?」 | |
| 岡部 | 「だが男だ」 | |
| るか | 「? えっと……お二人とも、なにかありましたか ?」 | |
| あなた | 「い、いや、特に何も! えっと、結局何をすれば いいんでしたっけ」 | |
| るか | 「えと、服を汚してしまったので、着替えたくて。 だけどちょうど今替えの服が全部洗濯中で……」 | |
| 「この格好で新しい服を買いに行くのも恥ずかしい ですし……」 | ||
| あなた | 「あ、ああ、そうでしたね!」 | |
| るか | 「岡部さん、エックスさん。ボク、どうしたら…… ?」 | |
| 岡部 | 「ふむ……。分かった。俺が代わりの服を用意しよ う」 | |
| 誤答差分 | ||
|---|---|---|
| --16:00-- | 送信メール |
時間: 受信者:岡部倫太郎 件名: 本文: at 作れ 作るな |
| ルカ | 「きょ、凶真さんの白衣ですか……!? き、着て みたいですけど、ボク……凶真さんみたいになれる かな……」 | |
| 送信メール |
時間: 受信者:岡部倫太郎 件名: 本文: at 作れ 作るな | |
| ルカ | 「メ、メイド服ですか……!? でもボク……男で すし……。それに……メイド服を着るのは……恥ず かしいです……」 | |
| 正解 | ||
| 送信メール |
時間: 受信者:岡部倫太郎 件名: 本文: at 作れ 作るな | |
| 岡部 | 「……よし。これで送れば巫女服を用意できるだろ う」 | |
| 岡部がメールを送ってから、ほどなくして紅莉栖か ら電話がかかってきた。 | ||
| 紅莉栖 | 「岡部……。いったいどういうつもり?」 | |
| 岡部 | 「ち、違うぞ! 断じて俺がまゆりを邪な目で見て いるわけでも、俺が巫女の姿をしたいわけでもない からな!」 | |
| 紅莉栖 | 「ふーん……。それでもまゆりの衣装を複製するの は確かよね。その時点で犯罪臭がぷんぷんするのに 、そこから何か弁明できるとでも?」 | |
| 岡部 | 「だから、これには深いわけがあってだな……」 | |
| 紅莉栖 | 「このHENTAI!」 | |
| 岡部 | 「人聞きの悪いことを言うな!」 | |
| あなた | (どうやら、岡部さんは紅莉栖さんにあらぬ誤解を受 けている。数十分に渡る説明の末、納得してもらえ たようだ) | |
| --16:15-- | 岡部 | 「はぁ……なんだかどっと疲れが……ん? あれは 、ダルか? ふれあい橋のほうに向かったな……。 俺たちも行ってみるか」 |
| るか | 「岡部さん……じゃなくて凶真さん、エックスさん 、ありがとうございました!」 | |
| --16:15-- | 岡部 | 「ダル、コーラはうまかったか?」 |
| ダル | 「あ、オカリン! コーラ最高だったお! マジ助 かったわー」 | |
| 岡部 | 「俺もドクペが飲めたから良しとしよう。……ん? なんだその細長いの」 | |
| ダル | 「これ? これはフェイリスたん限定タペストリー だお! メイクイーンで手でハートを作るともらえ る、期間限定の逸品なんだお!」 | |
| 岡部 | 「ふむ、ラボで言ってたやつか」 | |
| ダル | 「ああ〜フェイリスたんのこの笑顔、見ているだけ で癒される……。……やっぱり、サイン入りチェキ も欲しかったなあ」 | |
| 岡部 | 「ラボで話してたもう一つのキャンペーンか」 | |
| ダル | 「そ、ゴールデンうーぱと交換でサイン入りチェキ が貰えるんだお! でもまゆ氏のうーぱはタンスの 下に入っちゃったしね……」 | |
| 岡部 | 「……いやまて。ダル、もしかしたら何とかなるか もしれん」 | |
| ダル | 「え、何? どういうこと?」 | |
| --16:30-- | 送信メール |
時間:12:00:00 受信者:岡部倫太郎 件名: 本文: at 作れ 作るな |
| 岡部 | 「……よし、これを俺に送信するぞ。 ……おかし い。リーディングシュタイナーが発動しない」 | |
| 「12:00に俺は、ゴールデンうーぱをコピーしてい る」 | ||
| 「そのタイミングならまだタンスの下に落ちていな いからゴールデンうーぱが複製されるはずなのに。 ……どういうことだ?」 | ||
| 「もしもし。どうした、何かあったか」 | ||
| --16:45-- | 紅莉栖 | 「岡部から送られてきたメールを見て、同じように 実験してみたんだけど」 |
| 「バナナをもう一つ複製しようとしても、できなか った。どうやら、同じものを二つ以上コピーするこ とはできないみたい」 | ||
| 岡部 | 「なんだって? そうか……一旦切るぞ」 | |
| ダル | 「どしたんオカリン、やっぱりダメだった?」 | |
| 岡部 | 「いや待て、何か方法はあるはずだ。そうだ、細長 いものを手に入れれば……」 | |
| --17:00-- | 送信メール |
時間:12:00:00 受信者:牧瀬紅莉栖 件名: 本文: at 作れ 作るな |
| 岡部 | 「今度こそ……。これを送るぞ」 | |
| --17:00-- | 岡部 | 「よし、ダルに電話してみよう」 |
| ダル | 「もしもしオカリン? 急にどしたん」 | |
| 岡部 | 「ダルよ、今日のイベントはどうだったんだ?」 | |
| ダル | 「聞いてよオカリン、牧瀬氏のタペストリーで取り 出したゴールデンうーぱのおかげで、フェイリスた んの直筆サイン入りチェキが手に入ったお!」 | |
| 岡部 | 「そうか、良かったな。……よし。これでダルの悩 みは解決できたな……ん? またまゆりから電話だ 」 | |
| まゆり | 「オカリン、急にごめんね、助けてほしいのです… …」 | |
| 岡部 | 「どうした、まゆり」 | |
| まゆり | 「今日のコスイベントのオフ会があったから衣装を しまおうとコインロッカーを使ったんだけどね、そ のロッカーが開かなくなっちゃって……」 |
| --17:30-- | まゆり | 「ごめんねぇオカリン、このロッカーなんだけ ど……」 |
| 岡部 | 「ん? このロッカー、確か俺がドクペを買い に行ったときには『故障中』の張り紙がされて いたが……」 | |
| 「やはり剥がれてしまったのか。そしてまゆり は運悪く、その故障しているロッカーを使って しまったのだな」 | ||
| まゆり | 「まゆしぃの衣装無事かなあ……?」 | |
| 岡部 | 「安心しろまゆり、俺がなんとかしてやろう」 | |
| 送信メール |
時間:15:00:00 受信者:岡部倫太郎 件名: 本文: at 作れ 作るな | |
| 岡部 | 「これで解決するはずだ」 | |
| --17:45-- | 岡部 | 「まゆりはいなくなっている……が、取り出せたか 聞いておこう」 |
| まゆり | 「トゥットゥルー♪ どうしたの? オカリンから かけてくるなんて珍しいね」 | |
| 岡部 | 「いや、コス衣装は無事にコインロッカーから取り 出せたか気になってな」 | |
| まゆり | 「コス衣装? 故障中のロッカーはあったけど、そ れは使ってないから普通に取り出せたよー」 | |
| 岡部 | 「そうか。それなら良かった」 | |
| まゆり | 「何かあったのー?」 | |
| --18:00-- | 岡部 | 「いや、何でもない。……ん、悪い。紅莉栖から電 話がかかってきたから切るぞ」 |
| まゆり | 「うん、分かった! じゃあねー」 | |
| 岡部 | 「どうした助手よ」 | |
| 紅莉栖 | 「聞いて、オリジナルのバナナが消えた」 | |
| 岡部 | 「……何だって?」 | |
| 紅莉栖 | 「私がラボへ来る前、電写レンジを使ってバナナを 複製したのよね…? それが突然目の前で消えた」 | |
| 「バナナの消滅について、考えられる仮説は一つよ 。コピーを生成したら、オリジナルは6時間後に消 えてしまう」 | ||
| 岡部 | 「……」 | |
| 紅莉栖 | 「岡部、あんたが自分のコピーを作ったのは何時? 」 | |
| 岡部 | 「……13:00だ」 | |
| 紅莉栖 | 「もし仮説が正しいならあんたが消えるまであと1 時間ね。 時間がない。急いで行動に移さないと」 | |
| 「岡部のコピーを作るなと言ったところで、好奇心 旺盛なあんたはどうせコピーを作るだろうから…… 」 | ||
| 「さらに遡って、今から私が、電写レンジを作る前 のあんたに『電写レンジを作るな』とDメールを送 る」 | ||
| 岡部 | 「紅莉栖……お前に任せる!」 | |
| 紅莉栖 | 「まったく、しょうがないわね。貸しにしといてあ げ……」 | |
| 岡部 | 「……紅莉栖?」 | |
| 「世界線が変わった?紅莉栖はまだDメールを送っ ていないはず……。いったい誰が……いや、考える までもないな。おそらくは……“俺”の仕業だ」 | ||
| 「……ん?」 | ||
| 岡部 | 「ニュース速報なんて珍しいな。……っ!? 『ラ ジ館に食器と食材が出現』しただと!?」 | |
| 「食器と食材……? 一体何なんだ」 | ||
| 受信メール | 時間:14:30 送信者:まゆり 件名:食器がたくさんあったのです! 本文:トゥットゥルー♪ 帰ったら、ラボ に食器やご飯が増えてたのです! ダルくんは買わないだろうし、オカ リンが買ったの? | |
| 岡部 | 「見覚えのない食器に食材まで……。一体何が起き ているのだ……?」 | |
| 「明らかに電写レンジ(仮)が使われた痕跡はあるが 、俺はこんな皿買っていないし食材なんて用意して いない」 | ||
| 「エックス、ひとまずまゆりの元へ戻るぞ」 | ||
| --18:30-- | あなたと岡部はラボに戻り、まゆりに起きている現 象について詳しく話を聞いてみることにした。 | |
| まゆり | 「トゥットゥルー♪ オカリン、エックスさん、お かえりなさい! ……あれ、そんなに険しい顔して どうしたの?」 | |
| 岡部 | 「もう一人の俺も、紅莉栖も、電写レンジも何も無 くなっている……。まゆり、ラボに増えていたとい う食器はどこだ」 | |
| まゆり | 「これだよー! 急に食器がいっぱいになってたか ら、まゆしぃびっくりしちゃったよー」 | |
| 「もしかして、エックスさんの歓迎パーティーでも しようとしてたの?」 | ||
| 岡部 | 「いや、そういう訳じゃないんだ……」 | |
| まゆり | 「えー! でもでも、こんなに食材も揃っているの です!」 | |
| 岡部 | 「食材……ああ、食材も増えていたんだったな。鶏 肉に卵に……一通りみたが特別怪しい食材は無さそ うだな」 | |
| 「それにしても一体、俺は何をしたがっているんだ ?」 | ||
| まゆり | 「この食材でみんなとパーティーしたかったな…。 そういえば、クリスちゃんともう一人のオカリン、 どこ行ったのかなー?」 | |
| 岡部 | 「ん、またニュースか?」 | |
| 岡部 | 「ラジ館だけではなく秋葉原中に食器と食材が出現 している……? しかも紅莉栖にメッセージを送っ ても何も応答しない」 | |
| 「一体何が起きているんだ? ……エックス。こう なったら、もう直接電写レンジがある場所へ向かう しかなさそうだ」 | ||
| --18:58-- | 紅莉栖 | 「岡部!? どうしてここに?」 |
| 岡部 | 「説明している時間はない、電写レンジを貸せ!」 | |
| --18:59-- | 紅莉栖 | 「あ、ちょっと! ……というか、あなた何者? 何で岡部と一緒にいるの? 岡部の知り合い? 分 かるように説明して」 |
| あなた | 「どこかで聞いたことのある台詞……あ、そうか。 紅莉栖さんと私はこの世界線ではまだ会っていない のか」 | |
| 受信メール | 時間:12:30 送信者:岡部 件名: 本文:at:ラボ 電写レンジ作るな | |
| あなたが紅莉栖に2回目の自己紹介をしている間に 、岡部は「電写レンジ(仮)を作るな」と、12:00の自 分に送信していた。 | ||
| 岡部 | 「やったぞ! これで電写レンジ(仮)を作ることは なく、俺のコピーも作れない!」 | |
| 「つまり、俺は無事ってことだ!」 | ||
| 「コピー風情が、この狂気のマッドサイエンティス ト、鳳凰院凶真に歯向かうなどあってはならないの だ! フゥーハハハ!」 | ||
| --19:00-- | さて、それではラボに戻 | |
| あなた | 「岡部さん?」 | |
| ??? | 「おーい、エックス!」 | |
| 岡部? | 「なにをボケっとしている? 早くラボに戻るぞ」 | |
| あなた | 「は、はい! ……あれ?」 | |
| なんだかすっきりとしない気持ちを胸に、あなたと 岡部はラボに戻るのだった……。 | ||
| (着信音) | ||
| 紅莉栖 | 「ねぇ、そこに岡部いる? あいつの電話繋がらな いのよね」 | |
| あなた | 「岡部さん? 今ここにいますけど……。代わりま すね」 | |
| 岡部? | 「助手よ、何の用だ?」 | |
| あなた | (勝手にスピーカーにされた……) | |
| 紅莉栖 | 「電写レンジのことでいろいろ聞きたいことがある んだけど……」 | |
| 岡部? | 「電写レンジ(仮)はそこにあるんだな」 | |
| 紅莉栖 | 「勿論あるけど……? どうしたの?」 | |
| あなた | (え? 岡部さんはさっき、電写レンジを作らない ように過去改変していたはず……) | |
| 紅莉栖 | 「エックス? どうしたの?」 | |
| あなた | (もしかして……さっき目の前で岡部さんが消えたの は、世界線移動ではなく電写レンジ(仮)によるオリ ジナルの消失……!) | |
| (今いる岡部さんはコピーの方ってことか……!) 「……まずいことが起こりました」 | ||
| 紅莉栖 | 「な、何よ……?」 | |
| あなた | 「……あなた、岡部さんのコピーの方ですね」 | |
| 紅莉栖 | 「……!?」 | |
| あなた | 「さっき岡部さんが目の前で消えたとき、すぐにあ なたが来たからうやむやにされたけど、あれはオリ ジナルの消失の瞬間だったんだ……」 | |
| 紅莉栖 | 「どういうこと!? 何であなたがそれを……?」 | |
| あなた | 「紅莉栖さんの手にある電写レンジ(仮)は、恐ら くコピーの方。オリジナルは既に消失してしまって います」 | |
| 「そして岡部さんも……。今いる岡部さんはコピー の岡部さんなんです......!」 | ||
| 紅莉栖 | 「そんな……!?」 | |
| コピー岡部 | 「フフフ……ようやく気付いたのか。まあ、コピー だろうとオリジナルだろうと、俺に変わりはないだ ろう。なんの問題もない」 | |
| あなた | 「……っ!私はオリジナルの岡部さんがいいんです 」 | |
| コピー岡部 | 「……ほう。まあ、そんなことを言ったところでも う遅い」 | |
| 「オリジナルが消失した今、俺が「岡部倫太郎」と いう事実に変わりはないのだからな。フフフ……ハ ハハ……フゥーハハハ!」 | ||
| そう言い残すと、コピーの岡部はラボの外へ出てい ってしまった。 | ||
| 紅莉栖 | 「そんな……。もう本物の岡部は戻ってこないの… …?」 | |
| あなた | 「……いや、まだ手はあるかもしれない。紅莉栖さ ん、協力してもらえますよね?」 | |
| 紅莉栖 | 「もちろんよ!!」 | |
| 「電写レンジ(仮)を作ったとき、岡部は空腹だった 」 | ||
| 「もしかすると、あいつのお腹を満たしてあげるこ とで、電写レンジ(仮)を作らないようになるかもし れない」 | ||
| 「岡部が空腹ではないと仮定して、もう一度実験を 思い出してみて!」 | ||
| 送信メール | 時間:時刻 受信者:人物 件名: 本文: つくれ つくるな | |
| 作り直した電写レンジを見ると、Dメールの文面が わずかに変化していた。 | ||
| 紅莉栖 | 「どう!? うまくいった......? ……うそ、何も 変わってないなんて……。 それだけじゃダメなの ね……」 | |
| あなた | 「そうですね、電写レンジの見た目はなにも……あ れ、Dメールの文面が「つくれ」「つくるな」とひ らがなになっていますね……」 | |
| 「もしかしてこれにも何か関係が……?」 | ||
| 「そういえば…。あの時、私は岡部さんの行き詰っ ていた実験のお手伝いをしていたんです......。もし かすると、私のせいで......」 | ||
| 紅莉栖 | 「エックス……?」 | |
| あなた | 「私が岡部さんと出会わなければ、電写レンジ(仮) はそもそも発明されなかったんじゃ……?」 | |
| 紅莉栖 | 「……っ! そんなことない! きっとなにかある はずよ、別の手を考えましょう!」 | |
| あなた | 「いえ、もう私が岡部さんと出会わないようにする 、それしか道は残されていないんです……」 | |
| 送信メール | 時間:12:00:00 受信者:エックス(あなた) 件名: 本文: つくれ つくるな | |
| あなた | 「そうか、そもそも自分がなかまつに行かなければ 岡部さんに会うことも無かった」 | |
| 「だから『なかまつに来るな』とメールを送りさえ すれば……!」 | ||
| 紅莉栖 | 「なんだかその文面、エックスに『仲間を作るな』 って言ってるみたい……」 | |
| あなた | 「ふふ、紅莉栖さん、私のこと仲間だって思ってく れてたんですか?」 | |
| 紅莉栖 | 「あ、当たり前じゃない……! エックスは、大切 なラボメンよ」 | |
| あなた | (ちょっと照れくさそうにしている……。でも指摘し たら怒りそうだし、黙っていよう) 「そう思ってくれて、嬉しいです」 | |
| 「まだ出会って間もないですが、紅莉栖さんはもち ろん、未来ガジェット研究所の皆さんのことは大切 な仲間だと思っています」 | ||
| 「でも、だからこそ、大切な岡部さんを取り返さな いといけない。私が消えれば、全てが丸く収まるん です」 | ||
| 紅莉栖 | 「そんな......。 エックスが消えなきゃいけないな んて......。 そんなのあんまりよ......」 | |
| あなた | 「消えないといけないといっても皆さんと出会わな ければいいだけ。そうすれば、皆元に戻るんです」 | |
| 紅莉栖 | 「でも! あなたが......! あなたが犠牲になるな んて......!」 | |
| あなた | 「いいんです、皆さんと過ごした時間はとても短か ったけど、楽しかったです。皆さんと出会ってない 世界、今まで通りの私に戻るだけです……」 | |
| 「ちょっと寂しいけど、リーディングシュタイナー ? でしたっけ」 | ||
| 「記憶を受け継ぐ特別な能力を持っている私にはこ の記憶が無くなることはない。だから私は平気です 」 | ||
| 「……さあ、早く。Dメールを送ってください」 | ||
| 紅莉栖 | 「エックスッ......!!」 | |
| あなた | 「紅莉栖さん、岡部さんにもっと優しくしてあげて くださいね。では、またどこかで……」 | |
| 世界線が変わる直前に見えたのは、紅莉栖さんの泣 き顔だった……。 | ||
| こうして電写レンジ(仮)を巡る一連の騒動は終息し 、あなたは今まで通りの生活に戻るのであった。 | ||
| いつもと変わらず、秋葉原の街を歩くあなた。 | ||
| 遠くから、どこかで聞いたような、笑い声が聞こえ る。 「......フゥーハハハ!......」 | ||
| 岡部 | フゥーハハハハハハハハ! |
| エル・プサイ・ァコングルゥゥ… | |
| この狂気のマ〜ッドサイエンティスト、ふぉうおういん凶真 の助手として働けること、誇りに思うが良い! | |
| まゆり | トゥットゥルー♪ |
| えっへへー。オカリンの役に立ててね、まゆしぃは嬉しいよー。 | |
| でもね。ラボは変わらないと思うよ。何年 経っても、ずっと。 | |
| 紅莉栖 | 誰がクリスティーナだ。 |
| 岡部、もしかしてあの痛々しい名前しか名乗って ないの? あなたもそれでよく付いてきたわね…… | |
| このHENTAI! |
