伊藤真二 | 「アキバに来たのなんて、いつぶりだ?」 |
尾上世莉架 | 「私、もしかして初めてかも……」 |
伊藤真二 | 「マジ!? 尾上……お前、ずっと東京だよ な?」 |
尾上世莉架 | 「そうだけど?」 |
「だって、今まで特に用も無かったし」 | |
伊藤真二 | 「うわ、マジかよ……そんな天然記念物的な奴が いたんだな」 |
尾上世莉架 | 「うー、ごめん……」 |
伊藤真二 | 「いや、別に謝んなくてもいいけどさ。にして も……」 |
「なんでこの3人だけなんだ?」 | |
尾上世莉架 | 「それはほら、タクの招集が急だったからだよ。 ね、タク?」 |
宮代拓留 | 「…………」 |
尾上世莉架 | 「タク? どうしたの?」 |
宮代拓留 | 「ど、ど、どうもしないさ!」 |
伊藤真二 | 「はっはーん。さては、宮代。お前、久しぶりに 渋谷から出て、緊張してるな」 |
宮代拓留 | 「きき、緊張なんてしてるもんきゃっ!!」 |
伊藤真二 | 「噛んだぞ」 |
尾上世莉架 | 「噛んだねぇ」 |
宮代拓留 | 「と、とにかく、僕のつかんだ情報によると、今 日この秋葉原で何かスクープを掴めるという話 だ!」 |
「そのために、わざわざ来たんだ。ぼやぼやして る場合じゃないぞ!」 | |
伊藤真二 | 「スクープっつってもなぁ……」 |
尾上世莉架 | 「具体的なことは何ひとつわかってないんだよ ね?」 |
伊藤真二 | 「それって、ガセなんじゃねーの?」 |
宮代拓留 | 「ガセネタかどうかは調べてみればわかる。とに かく今は、何か手掛かりを掴むのが先決だ」 |
伊藤真二 | 「探す探す、つっても、そもそもそんな漠然と した情報だけじゃどうにもなんねーよ」 |
尾上世莉架 | 「のんちゃん達もいないしねぇ……」 |
宮代拓留 | 「いないもんはいないんだから、しょうがないだ ろ。とにかく僕たちはスクープを――」 |
尾上世莉架 | 「でも、いったいどんなスクープなんだろね ぇ?」 |
宮代拓留 | 「そ、それはだな……」 |
伊藤真二 | 「それは?」 |
宮代拓留 | 「たぶんだな……」 |
尾上世莉架 | 「たぶん?」 |
宮代拓留 | 「(どんなスクープだろう?)」 |
??? | 「はいっ。お兄さん、素敵だからサービスしちゃ いますよ♪」 |
宮代拓留 | 「(いや、それのどこがスクープなんだ よ……)」 |
尾上世莉架 | 「タク、タクってば……」 |
宮代拓留 | 「ん? あ、なんだ、尾上……」 |
尾上世莉架 | 「なんだ、じゃないよ〜。また妄想してたんでし ょ?」 |
宮代拓留 | 「し、してないよ!」 |
「(ていうか、さっきの妄想の中の子、誰だった んだろう? どこかで見た覚えがある気がする けど……)」 | |
伊藤真二 | 「それよりそろそろ行こうぜ、宮代。そのスクー プとやらを探しにさ」 |
宮代拓留 | 「あ、ああ、そうだな。行こうか」 |
尾上世莉架 | 「おっけい」 |
宮代拓留 | 「(と言ったはいいものの……僕自身、どこへ行 けばいいのかわかってないんだよな)」 |
伊藤真二 | 「そういやさ、その情報の出所ってどこなん だ?」 |
「わざわざアキバまで来たってことは、ある程度 信頼できるソースなんだよな?」 | |
宮代拓留 | 「それは……!」 |
「(知らないアドレスから来たメールだなんて言 えない雰囲気だな……)」 | |
「か、仮に徒労に終わったとしても、僅かな可能 性さえあれば足を運ぶのが、僕たち新聞部の仕 事だろ」 | |
伊藤真二 | 「そうか? つか、考えてみりゃ、秋葉原の事件 なんてうちの学校には関係ないんじゃね? な あ、尾上」 |
尾上世莉架 | 「まあ、言われてみればそうかも……」 |
宮代拓留 | 「(う……どうにも雲行きがよくないな……)」 |
伊藤真二 | 「せっかくアキバ来たんだし、メイド喫茶でも行 こうぜ」 |
宮代拓留 | 「ぼ、僕はそんなところには行かない!」 |
伊藤真二 | 「なんで?」 |
宮代拓留 | 「興味ないからだ」 |
伊藤真二 | 「ちぇー」 |
尾上世莉架 | 「あれ? ねえ、タク」 |
宮代拓留 | 「どうした、尾上!?」 |
尾上世莉架 | 「ほら、あそこにいるのてもしかして――」 |
宮代拓留 | 「なに!?」 |
尾上世莉架 | 「ほら、やっぱりそうだよ。間違いない」 |
伊藤真二 | 「……ほんとだ。なんでこんなところにあいつが いるんだ?」 |
宮代拓留 | 「そうだ! それこそがスクープだったんだ よ!」 |
伊藤真二 | 「スクープ? どんな?」 |
宮代拓留 | 「それは……」 |
来栖乃々 | 「…………」 |
宮代拓留 | 「(どうして乃々がここに……)」 |
「(そうだ。それはきっと……)」 | |
来栖乃々 | 「おかえりなさいませ、ご主人様ニャンニャン♪」 |
「それじゃあ、目を見てマゼマゼ、いきますニャ ♪」 | |
宮代拓留 | 「…………」 |
「(いや、まさか乃々に限ってそんなこ と……)」 | |
尾上世莉架 | 「おーい、のんちゃーん」 |
来栖乃々 | 「え?」 |
宮代拓留 | 「わ! バカ、尾上! お前なに声かけてん だ!」 |
尾上世莉架 | 「え、いけなかった?」 |
来栖乃々 | 「あら、拓留……あなたたち、こんなところで何 してるの?」 |
宮代拓留 | 「そ、それはこっちのセリフだ。来栖こそ何して るんだよ?」 |
伊藤真二 | 「……もしかして、副部長、メイド喫茶で働こう としてたとか!?」 |
来栖乃々 | 「私が? そんなわけないでしょ。私はちょっ と……」 |
メイドさん | 「ご主人様。いってらっしゃいませニャン」 |
??? | 「ああ、行ってくるよ」 |
宮代拓留 | 「(あ……誰か降りて来る……)」 |
川原雅司 | 「え?」 |
宮代拓留 | 「か、川原……くん!?」 |
川原雅司 | 「な! み、宮代……お前、なんで……!」 |
来栖乃々 | 「へぇ。川原くん、あなたもこういうお店に来る のね」 |
川原雅司 | 「く!? くくく、来栖!?」 |
「ち、違うんだ! 俺はその、こういう所が果た して学生が来るのにふさわしい場所なのかどう なのか、生徒会の副会長として――」 | |
来栖乃々 | 「あら、別にいいのに。人の好みはそれぞれでし ょう?」 |
川原雅司 | 「ち、違う……違うんだ……」 |
「違うんだああああああああああ!!!」 | |
尾上世莉架 | 「あららぁ。走って行っちゃったね」 |
伊藤真二 | 「生徒会副会長がメイド喫茶通い、か。確かに、 プチスクープではあるよな」 |
宮代拓留 | 「それはそうと来栖、ここで何してたんだよ?」 |
来栖乃々 | 「え? 私!? 私はちょっと……この近くでお 買い物を……」 |
伊藤真二 | 「あ、そういえば、この近くに最近評判のスイー ツのお店ができたって話だよな」 |
宮代拓留 | 「ふーん……」 |
来栖乃々 | 「ち、違うの! 別にこっそり食べに来たわけじ ゃなくて!」 |
「そんなに美味しいなら、こんど皆に作ってあげ ようと思って……」 | |
宮代拓留 | 「…………」 |
来栖乃々 | 「そ、そういう拓留こそ、ここで何してるの?」 |
「まさか、このお店に通ってるってわけじゃ あ……ないわよねぇ?」 | |
宮代拓留 | 「(う……怖い……)」 |
「な、なんだよ。人の好みはそれぞれって、さっ き言ってたじゃないか」 | |
来栖乃々 | 「それはそうだけど……」 |
尾上世莉架 | 「安心して、のんちゃん。タクはただスクープを 探しにきただけだから」 |
伊藤真二 | 「メイド喫茶行こうぜって言っても、興味ないっ てさ」 |
来栖乃々 | 「スクープ? あら、なんだ、そうなの。ふー ん、そっかそっか、ふふっ」 |
宮代拓留 | 「(あれ? 機嫌なおった……」 |
来栖乃々 | 「そういうことなら、行きましょうか」 |
宮代拓留 | 「行くって、どこへ?」 |
来栖乃々 | 「スクープ、探すんでしょ?」 |
宮代拓留 | 「あ、ああ……」 |
「(てっきり怒られると思ったのにな……)」 | |
尾上世莉架 | 「のんちゃん、ご機嫌だねぇ」 |
宮代拓留 | 「(ほんと、よくわからないよ……)」 |
来栖乃々 | 「〜〜〜〜♪」 |
宮代拓留 | 「(どうして川原くんがここに……)」 |
「(そうだ。それはきっと……)」 | |
川原雅司 | 「おかえりなさいませ、お嬢様」 |
「なんでもこの私めにお申し付けください」 | |
宮代拓留 | 「(なんだろう、このイラっとする感じ は……)」 |
尾上世莉架 | 「あ、タク。いいの? ここにいて」 |
川原雅司 | 「ん? な! み、宮代! お前、なんでここ に……!」 |
宮代拓留 | 「(しまった。鉢合わせしてしまった!)」 |
「……ぼ、僕はその……川原くんこそ……」 | |
川原雅司 | 「あ、いや! これはその……違うんだ! 俺は 別に……」 |
尾上世莉架 | 「へぇ……このお店の、クッキーニャンニャンっ ていうメイドさんがお気に入りなんですね ぇ……」 |
川原雅司 | 「な、なんでそれを――は!!」 |
伊藤真二 | 「うわ……わかり易いバレ方……」 |
川原雅司 | 「み、宮代! くれぐれも来栖には言うな よ!? 言ったらどうなるかわかってるな?」 |
宮代拓留 | 「い、言いませんよ……」 |
伊藤真二 | 「で、そのクッキーニャンニャンっつーのは、そ んなにカワイイのか?」 |
川原雅司 | 「そりゃもう! 仕草から声から全てがキュート で、まさに天使のような……」 |
「…………」 | |
「と、とにかく、来栖には絶対言うなよ。絶対だ ぞ」 | |
尾上世莉架 | 「……言うだけ言って、行っちゃった」 |
宮代拓留 | 「(今のって『言え』っていうフリじゃないよ な?)」 |
伊藤真二 | 「……クッキーニャンニャンねぇ。そんなにカワ イイのか。ちょっと気になるな……」 |
??? | 「お疲れ様でしたー」 |
宮代拓留 | 「(ん? 誰か降りて来る。仕事終わりの店員さ んかな?)」 |
久野里澪 | 「……ん?」 |
宮代拓留 | 「く、久野里さん!?」 |
久野里澪 | 「み、宮代拓留!? お前、なぜここに!!!」 |
宮代拓留 | 「ぼ、僕はたまたま……く、久野里さんこそ、ど うして?」 |
久野里澪 | 「わ、私もたまたまだ」 |
尾上世莉架 | 「うー?」 |
伊藤真二 | 「どうした、尾上?」 |
尾上世莉架 | 「久野里……久野里……クッキーニャンニャ ン?」 |
久野里澪 | 「――!!!」 |
宮代拓留 | 「え? うそ……まさか……」 |
久野里澪 | 「ち、違うんだ! たまたま知り合いに会いに来 たら、その知り合いの知り合いに、この店の人 がいてだな」 |
「それで、お金に困ってるならとバイトを紹介さ れて……」 | |
「まさか、こんな店だとは思わなかったんだ!」 | |
宮代拓留 | 「クッキーニャンニャン……」 |
「クッキーニャンニャン……」 | |
久野里澪 | 「もう一度笑ってみろ。どうなるか、わかってい るな?」 |
宮代拓留 | 「……はい」 |
久野里澪 | 「それからこの店の周りに二度と近づくんじゃな いぞ。店になんか来てみろ……」 |
宮代拓留 | 「はい……」 |
久野里澪 | 「ふんっ……」 |
宮代拓留 | 「(……キュートで天使みたい? あの久野里さ んが……?)」 |
伊藤真二 | 「行った……か」 |
尾上世莉架 | 「はぁ……怖かったねぇ」 |
伊藤真二 | 「こいつはかなりのスクープだな……」 |
宮代拓留 | 「だけど……公表できないよな……」 |
「(でも、クッキーニャンニャン……)」 | |
「(気になるな)」 |
??? | 「この後、夕方からライブやりまぁす」 |
宮代拓留 | 「(ライブ? そういえば、このあたりはアイド ル系のライブがいっぱいなんだっけ?)」 |
??? | 「あ、そこのお兄さん。この後ライブあるんで す。もし良かったら、きてくださいね」 |
宮代拓留 | 「え? 僕?」 |
??? | 「はいっ。お兄さん、素敵だからサービスしちゃ いますよ♪」 |
宮代拓留 | 「うわあああああああ!」 |
有村雛絵 | 「どうしたんすか、先輩!?」 |
宮代拓留 | 「いや……なんでもない……」 |
「(っ……だいたい、それのどこがスクープなん だよ……)」 | |
有村雛絵 | 「あれぇ? なんかうっさい人たちがいるなと思 ったら、先輩たちじゃないっすか」 |
尾上世莉架 | 「あ、ひなちゃんだ」 |
有村雛絵 | 「チャオっす」 |
宮代拓留 | 「げ、有村」 |
有村雛絵 | 「げ? なんすか、げ、って」 |
宮代拓留 | 「知らないのか? 会いたくない人に会った時に 出る言葉だよ」 |
有村雛絵 | 「まったまたご冗談を。こんな美少女と会えたっ てのに。素直に喜んでいいんすよ」 |
宮代拓留 | 「わあいうれしいなあ」 |
有村雛絵 | 「それ嘘ですね」 |
宮代拓留 | 「だから、最初から会いたいなんて言ってないだ ろ」 |
有村雛絵 | 「そこは無理矢理にでも思い込むとこでしょ、ふ つー」 |
宮代拓留 | 「(無理言うな)」 |
伊藤真二 | 「つか、お前こんなとこで何してんだよ、有村」 |
有村雛絵 | 「私? 私はほら、ちょっとばかり薄い本を」 |
宮代拓留 | 「(なにが『ほら』なんだよ)」 |
伊藤真二 | 「お前、そういう趣味あったんだな……」 |
有村雛絵 | 「やだなあ。たしなむ程度ですよー」 |
宮代拓留 | 「(なにが『やだなあ』なんだ?)」 |
尾上世莉架 | 「それで、なにか面白いものは見つけたの?」 |
有村雛絵 | 「それがさー、さっきそこで面白い人に会って、 オススメしてもらったのが、これまた大当たり で!」 |
宮代拓留 | 「面白い人?」 |
有村雛絵 | 「なんかー、@ちゃん用語バリバリの金髪ツイン テの女の子でー」 |
宮代拓留 | 「(お前だって金髪ツインテじゃないか)」 |
有村雛絵 | 「そうそう、そういえば先輩、彼女、見かけませ んでした?」 |
宮代拓留 | 「彼女?」 |
有村雛絵 | 「はい。さっき一瞬、姿を見たような気がしたん ですけど……やっぱ気のせいだったかなぁ……」 |
山添うき | 「あの……マッチを……」 |
「マッチを買ってくれませんか……?」 | |
「さ、寒い……」 | |
「そうだ、マッチを……」 | |
「ああ……おいしそうなご馳走が……見え る……」 | |
宮代拓留 | 「…………」 |
「(つい、うきの薄幸そうなイメージから妙な想 像をしてしまった……)」 | |
「(だいたい、今は夏だぞ?)」 | |
「(それにうきが、こんなところにいるわけがな いじゃないか)」 | |
有村雛絵 | 「あ、やっぱりいた! うきだ!」 |
宮代拓留 | 「え?」 |
尾上世莉架 | 「ほんとだ。ほら、タク。あそこ……」 |
宮代拓留 | 「ほんとだ……」 |
「(うきのヤツ、こんなところで、なにやってん だ?)」 | |
有村雛絵 | 「!! もしかして、うき……」 |
山添うき | 「あの……おじさん。私の下着……買ってくれま せんか?」 |
有村雛絵 | 「なんてことを……」 |
宮代拓留 | 「うきに限ってそんなことするわけないだろ。有 村じゃあるまいし」 |
有村雛絵 | 「おう、兄ちゃん。今、聞き捨てならんことを言 ったのう。このワシがそんなことするわけなか ろーが」 |
伊藤真二 | 「そうだぞ宮代。だいたい有村の下着なんて買う 奴いるわけないだろ」 |
有村雛絵 | 「ふたりとも死にたいらしいっすねー」 |
尾上世莉架 | 「あ! ほらほら、3人ともそんなこと言ってる うちに、うきちゃんが……」 |
宮代拓留 | 「え?」 |
山添うき | 「あ……拓留、さん?」 |
宮代拓留 | 「欲しいもの?」 |
山添うき | 「はい……」 |
宮代拓留 | 「(へぇ、珍しいな。わがままなんて絶対に言わ ないうきが、欲しいものだなんて……)」 |
伊藤真二 | 「でも、このアキバで欲しいものってなんだ?」 |
有村雛絵 | 「まさか……薄い本とか?」 |
山添うき | 「???」 |
有村雛絵 | 「じゃないみたいね」 |
山添うき | 「あ、あれ……」 |
山添うき | 「いただき……ます」 |
有村雛絵 | 「おでん缶……」 |
尾上世莉架 | 「ずっと昔にテレビで見て、食べてみたかったん だって……」 |
宮代拓留 | 「(初めて欲しがったものがおでん缶……まぁ、 うきらしいって言ったららしいけど)」 |
「(それに今、夏だぞ……)」 | |
山添うき | 「はふっ……はふっ……」 |
宮代拓留 | 「美味しいか?」 |
山添うき | 「はいっ」 |
宮代拓留 | 「(ま、いいか)」 |
山添うき | 「はふはふ」 |
杯田理子 | 「…………」 |
「みぃつけた……」 | |
宮代拓留 | 「うわあああああ!!!」 |
「(なんだろう……すごく嫌な妄想をしてしまっ た……)」 | |
尾上世莉架 | 「ねえ、タク。さっき大きな音、しなかった?」 |
宮代拓留 | 「音?」 |
「(有村も? それじゃあ、今のは妄想じゃなか ったのか?)」 | |
伊藤真二 | 「確か、あっちのほうから聞こえたぞ」 |
宮代拓留 | 「行ってみよう」 |
伊藤真二 | 「この辺りからだと思うんだが……」 |
神成岳志 | 「あれ? 君たちは……」 |
宮代拓留 | 「あ、神成さん」 |
神成岳志 | 「やっぱり、宮代くんたちか。こんなところで何 してるんだ?」 |
宮代拓留 | 「ちょっと、スクープを探しに」 |
神成岳志 | 「……また、そんなこと言って。遊びもたいがい にしておかないと、そのうち大変な目に遭うぞ」 |
宮代拓留 | 「危険を顧みず取材を行ってこそ、新聞部という ものですよ」 |
尾上世莉架 | 「タク。かっこいい〜」 |
有村雛絵 | 「口だけじゃなければカッコいいっすけどねぇ」 |
宮代拓留 | 「ところで神成さんは、ここでなにを?」 |
神成岳志 | 「ああ、そうそう、そうだった。こんなことして る場合じゃなかったんだ」 |
宮代拓留 | 「何かあったんですか?」 |
神成岳志 | 「それがね……さっき、ここの屋上に突如、妙な ものが出現したという通報があってね」 |
宮代拓留 | 「妙なもの?」 |
神成岳志 | 「それじゃあ、僕はこれで失礼するよ」 |
伊藤真二 | 「おい、宮代。これって……」 |
宮代拓留 | 「ああ! スクープの匂いがする! 僕たちも行 こう!!」 |
尾上世莉架 | 「あ、タク。待ってよ〜」 |
宮代拓留 | 「(この向こうだ。この向こうに、いったい何 が……)」 |
「(もしかして……人工衛星、とか?)」 | |
「(それによって、世界を揺るがす事件に巻き込 まれたり!!?)」 | |
「(これは……もしかしたら僕の運命を左右する 事件かもしれない!)」 | |
香月華 | 「…………」 |
宮代拓留 | 「え?」 |
有村雛絵 | 「あれ? 華。なにしてんの?」 |
香月華 | 「…………」 |
伊藤真二 | 「なんだ……あれ?」 |
宮代拓留 | 「(綺麗なオブジェのようなものが浮いて る……)」 |
神成岳志 | 「どうやらこれが、屋上に表れたものらし い……」 |
香月華 | 「ポータル……装置……」 |
有村雛絵 | 「ポータル装置? なにそれ?」 |
宮代拓留 | 「わからない……でも、綺麗だ……」 |
伊藤真二 | 「おい、宮代!?」 |
香月華 | 「あ……先輩……触っちゃ……!」 |
宮代拓留 | 「え?」 |
「…………」 | |
「(なんだ? どう……なったんだ……?)」 | |
「(あれ? 意識が……)」 | |
「(そういえば……あのスクープ情報は結局誰 が……)」 | |
尾上世莉架 | 「ふふふ……タク……楽しかった?」 |