我が友 ジョージ=トレヴァーへ 君が丹精を込めて作り上げた美しい館。 この館に移り、既に三ヶ月が過ぎようとし ている。 ここは素晴しい場所だ。狩人達の喧騒と共 に朝を迎え、狼の咆哮と共に夜を迎える。 ・・・だがここにはまだ足りぬものがある。 |
そこで君にお願いしたい。一度、館を訪ね てはくれないだろうか? もちろん君の家族も一緒にだ。 旧友に会うのだ。気軽に来てくれればいい。 趣向を凝らした宴を用意し君を待っている。 1967年10月9日 君に敬意を込めて オズウェル=E=スペンサー |
親愛なるオズウェル=E=スペンサー卿 新しい館への家族ともどものご招待、礼の 言葉もない。 私もあの館をもう一度見たいと考えていた。 ご招待お受けしたいと思う。 |
あの豊かな水溢れる、美しい庭園。そして 二つの名を持つ美しい噴水。 この噴水へ行く為に、君が絶対忘れるなと 念をおしていた、 あの『赤い本』と『青い本』を持参しよう。 ただ、私にはまだやり残した仕事が幾らか あるので、 |
家族を先にそちらへやりたいと考えている。 そのように、よろしくお願いしたい。 1967年11月3日 感謝を込めて ジョージ=トレヴァー |
1967年11月13日 仕事を片付け、本日夕方6時過ぎ、スペン サー卿の館に到着。 スペンサー卿と再会の祝杯をあげる。 吹き抜けのある大食堂。そしてそこに並べ られた素晴しい料理の数々。 女神像が羨ましげに我々を見下ろす。 |
しかし彼女をここへ引きずり降ろす訳にも いくまい・・・。そんな不憫な彼女に、私 はちょっとしたものを贈った。 それにしても・・・。 これだけ大きなテーブルには卿と私だけし かいないのだ。 柱時計の音だけが静かに鳴り響く。 いかにも寂しい。 |
先に来ていた家族は親戚の見舞いに行って いると妻の手紙で知った。手紙はここに挟 んでおく。 しかたがない。ここでしばらく家族の帰り を待つことにしよう。 なに、ここのすばらしい料理と酒、そして 数々の芸術品が、しばらくは私のさびしさ をまぎらわしてくれるだろう。 ジョージ=トレヴァー |
トレヴァーの妻の手紙 |
愛するあなたへ この楽しいはずの休暇中、悲しい知らせが 入りました。エマ叔母さんが急に倒れてし まわれたのです。 叔母さんはここからそう遠くない所に住ん でいらっしゃるので、リサと一緒に少し様 子を見てきます。 |
ひさしぶりに皆で一緒に過ごせると思った のに本当に残念。 でも2、3日したら、そちらに戻ります。 1967年11月12日 あなたの妻 ジェシカ=トレヴァー |
P.S. スペンサーさんのご厚意で、館のピアノを 弾かせてもらいました。リサったら、すご く巧くなったのよ。ベートーベンですって。 でもあの娘、大切な楽譜をどこかにやって しまって・・・。 いったいどこへやったのかしら・・・。 |
周知の通り、植物には薬効を持つものが多 くある。人類は太古から様々な植物を用い 傷や病を癒してきた。 本書では、この薬効を持つ植物の例として ラクーン山地周辺に自生する三つのハーブ を取り上げその概要を述べたいと思う。 この三つのハーブはそれぞれの色が異なる |
と同様に、それぞれの薬草としての効用も 異なる。 緑色のものは人の体力を回復させ、 青色のものは動物などからうけた毒を消す。 そして赤色のハーブ。 これは単独で用いただけでは何ら効果を生 み出さない。 |
赤色のハーブは、他のハーブと調合する事 によって、初めてその効果を発揮する。 例えば体力を回復するハーブとこのハーブ を調合するとその回復効果は倍になるのだ。 以上がアークレイに自生する三つのハーブ についての概要である。 さらにこの三つのハーブはそれぞれの量を |
1967年11月14日 今日、スペンサー卿に館を案内してもらう。 彼の手によって開かれる扉、そして私の目 の前に広がる数々の部屋。 それは豪華かつ実に趣向が凝らされていた。 さすがは国内でも有数の企業家だけのこと はある。 |
ある部屋では剥製の獣達が、その瞳から怪 しく、そして不思議な光を放ち、 またある部屋では中世の騎士達が、足並み のそろわない指揮官のもと、まるで何かを 護るかのように整然と居並んでいる・・・。 「素晴しいだろう?」卿は得意そうに言葉 を続けた。 |
「数年先に、私はこの敷地内にもう一つの 建物、経営する会社の保養施設を建てる。 その時には、この館を保養施設の一部と して使用するつもりだ。 やがてこの館はわが社の社員だけでなく、 内外の客で賑やかになる事だろう」 私はこの館でくつろぐ人々の事を想像した。 |
彼らはこの館の中を歩き回り、私と同じよ うにこの館の華麗さに目を奪われるだろう。 それに少しでもかかわる事が出来た自分を 私は誇らしく思う。 ジョージ=トレヴァー |
1967年11月15日 家族が戻らない。 そろそろ戻ってきてもよさそうなものだが。 叔母の容態がよほど悪いのか? しかたがないので、一階入って右奥の部屋 でぼんやりと本を読み時間を潰していた。 |
そこにはこの館について何か謎めいたこと が書かれてあったが、意味はよく解らない。 ジョージ=トレヴァー |
1967年11月17日 深夜、スペンサー卿の書斎の前を通った時 に数人の男の話し声が聞こえた。 ドアが少しだけ開いている。そっと覗いて みると、そこにスペンサー卿と三人の白衣 の男がおり、ひそひそと話をしていた。 |
「・・・大きな市場・・・高い商品性・・ 基礎研究段階・・やはり単純な生・から ・長い年月が必・・・」 そんな言葉が聞き取れた。 私は好奇心から思わず前のめりになり、ド アを押してしまった。 小さな音が鳴る。一人の男がそれに反応し こちらを向いた。 |
その男、赤毛の男は私を見、一瞬驚いたよ うな表情をしたが、すぐに何事もなかった かのように、視線をもとに戻した。 ジョージ=トレヴァー |
1967年11月18日 ライターがない!妻が誕生日に贈ってくれ、 大切に使っていたものだ。 一度もなくした事などないのに・・・。 いやな感じがする・・・。 |
あのガラスケースの並んだL字型の廊下で 一服したときには確かにあったはずだ。 ライターの替えはあるにはあるが、 あれは特に思い出深いものだ。 明日、あそこを隈なく探してみよう。 ジョージ=トレヴァー |
1967年11月20日 一階にある肖像画の並ぶ大きな部屋。 そこで何気なく絵を眺めていると、不意に 白衣を着た赤毛の男が近づいてきた。 何だろう?この男からは消毒液の臭いが微 かに漂っている・・・。 |
「君に聞きたいことがある・・・」 男は私に訊ねてきた。 「君の家族、あれは知っての上なのか?」 「家族? 何か知っているのか?!」 男は私の表情を見、そして力なげにつぶや いた。 「君は何も知らないのか・・・。あんな小 さな子供が・・・」 |
私は男の体を揺さぶり、家族の行方を大声 で訊ねた。しかしその刹那、私の背後で、 何かがうごめく音がした。 「何かがいる・・・」 赤毛の男はそうつぶやいた後、こちらがい くら訊ねても口を開かなくなってしまった。 ジョージ=トレヴァー |
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May 16, 1998 昨日、この屋しきから逃げ出そうした研究 員が一人、射さつされたってはなしだ。 夜、からだ中燃えるよに熱いかゆい。 腕のはれ物 かきむしってたら肉がくさり 落ちやがた。 一たいおれ どうな ってん |
1967年11月23日 朝起き一階へ行くと、使用人達が床を丹念 に拭いていた。この館で唯一何も置いてい ない部屋を・・・。 最初は疑問に思わなかった。この部屋を通 りすぎ、次の部屋に行くまでは・・・。 |
無い。壁に飾ってあった猟銃が無いのだ! 「ここにあった猟銃は?」 「ああ、あれか。あれは壊れてしまってね。 象に踏まれたようなもんさ。一応原型は とどめてはいるがね、生き物とは違って。 なに、また替えをおいておくさ」 近くにいたスペンサー卿が私の問いにさり 気なく答えた。 |
急いで先の部屋に戻る。 床には何か黒いシミ。そして赤い髪の毛。 震えが止まらなかった・・・。 まさかあれを動か・・・。 ジョージ=トレヴァー |
1967年11月26日 私は閉じ込められた。既に三日、経とうと している。 あの何も無い部屋での出来事を見た日、私 はこの館から逃げ出そうとした。 家族は叔母のところにきっと無事でいる、 私はそう自分を信じこませ館をあとにした。 |
しかし遅かった。 館を出てすぐ、数人の白衣を着た男に取り 押さえられ、ひどく殴られた。 そしてしばらくの間、意識を失っていた。 「気の毒だが、機密保持の為だ」 「あの方も人が悪い。よりによって、この 館の設計者を使って試すとは・・・。 だが将来へのデータ収集には役に立つ」 |
機密保持?私がこの館を設計した事か? 気がつくと私は地下室に横たわっていた。 薄暗い部屋。体が妙に痒い。何人かの人の 手でくすぐられている、そんな感じだ。 上半身を起こす。すると私の体から何かが ポタポタと落ちた。 それは・・・動いている! |
クモだ!無数のクモが私の体を、そして床 中をうごめいているのだ。 この寒い部屋の中を、手のひら程の大きさ のクモが・・・。 私は飛び退いた。思わず数匹のクモを踏み 潰す。その途端、無数のクモが私に襲いか かって来た。 |
ドアへ駆け寄るが鍵が掛かっている。 クモはわらわらと私の方へと寄ってくる。 私はドアの構造を思いだし何とか外に出た。 それから今日まで私はこの館の地下を歩き 回っている。そこには異常な形をした昆虫、 動物が多数いた。しかしその動きは緩慢か つ単純で私は何とか生き延びる事が出来た。 ジョージ=トレヴァー |
ジェシカ、リサ・・・。 こんな、暗い惨めなところで・・・。 何故、何故だ!こんな死に方・・・。 奴の特殊な注文に応じ、この館を創り出し た私が悪いのか。 それとも彼女達が残っているかもしれぬの にこの館から逃げ出そうとした天罰なのか。 |
いや違う。 ここは普通ではない。 地下に充満する消毒液の臭い、そして搬入 されたばかりと思われる新しい機械・・・。 機密とはいったいなんなのか? これは本当に、保養施設として使われるの か?! ジョージ=トレヴァー |
1967年12月5日 ・・・そして私は思いがけず狭く暗い部屋 へ降り立った。 足元が危うい。ゆっくり、そして慎重に歩 き回る。すると部屋の中央辺りで、なにか 固いものにぶつかる。なんだろう? ライターで明かりを灯し、掲げるとそこに |
うっすらと文字が浮かび上がった。 それは・・・。 なんという事だ! 畜生! すべては奴の 思い通りなのか! しかし皮肉だ。私はまだ生きている。もし 今日何も起きなければ。 |
だが同じ事だ。もう上へ登り陽を見る事は 出来ない。 文字通り、ここが私の死場所となるのだ。 ・・・いや、違う。私は必ず生きる。今ま でだってうまく切り抜けてきた。 そう、生きる・・・わたしは生き残る。 ジョージ=トレヴァー |
私はしくじった。なぜ奴は、スペンサーは 知っていたのか? 迫り来る巨大なもの・・・。 私だけが知る秘密の仕掛けのはずだったの に・・・。 それどころか、自分自身が・・・。 意識が時々遠くなる。 忘れていた。あれは一つでは無いこと・・・。 |
もう一つのよく似た道具が必要だという事。 ああ、もう少し、もう少しで 二つの名を持つ噴水に行けたのに・・・。 ジョージ=トレヴァー |
TOP SECRET July 22, 1998 2:13 保安部長へ Xデイが近づいている。 一週間以内に、以下の作戦を順に速やかに 実行せよ。 |
1.S.T.A.R.S.を研究所に誘い込んで、 BHWと戦わせ、実戦データを得よ。 2.変異体を含むBHWの胚を、一種につ き2個ずつ回収せよ。 ただし、タイラントは廃棄処分とせよ。 3.人員・実験動物を含むアークレイ研究 所の全てを事故に見せかけて処分せよ。 |
既に数人の職員が彼の犠牲となった。 May 21, 1998 ヘンリー=サートン |
これらの事態をかんがみるに、中途半端な 「t-ウイルス」の隠蔽は全く不可能と言わ ざるを得ない。望むべきは根本的で早急な 解決策であると我々は考える。 特にラクーンにおける、 州警察やS.T.R.A.S.の介入は迅速なも のと思われる。この方面においても何らか の手を打つべきだろう。 |
また、封鎖と同時に、ラクーン警察局では S.T.A.R.S.も使って遭難者の捜索に本格的 に乗り出す構えであるが、広大な山地のか なりの部分を原生林が占めるアークレイに おける捜索の難航は必至である。 アークレイ山地で恐ろしい怪物を見た、と いう目撃報告もあり、遭難者の安否が気づ かわれる。 |
うと、気が狂いそうになる。 エイダ、君は今のところ感染していない。 こんなことはないかもしれないが、もし君 が最後の一人だったら、資料室に置いてあ る資料を持ち、動力室に行って起爆装置を 作動させた後、ここから脱出して欲しい。 そしてマスコミを使って、ことの全てを公 にしてくれ。 |
正常に機能していれば、ここのロックは全 てセキュリティーシステムで解除できる。 セキュリティーシステムには小実験室にあ る端末から、私の名前でパスワードを入力 すればアクセスできるようにしておいた。 パスワードは「ADA」、君の名前だ。 資料室のあるB2のロックを解くにはさら にパスワードがいる。 |
下に念のため暗号でしるしておいたが、君 ならすぐにわかるはずだ。 これが私の最後の頼みだ、もし変わり果て た姿の私を見かけたらエイダ、君の手で楽 にしてくれ。 PASSWORD= ![]() John.Clemens |
タイラントウイルスに感染し、異常成長し た植物の細胞には、いくつかの共通の性質 が見られるのは前回のレポートで述べたと おりである。 しかしいくつかの実験で、興味深い事実が 明らかになった。 それは、私たちがあの実験で使用した、 「UNB」系の薬品の一つである「UNB |
No.16 」に、これら植物の細胞を、急速 に死滅させる成分が含まれているという事 である。 私たちはこの「UNB No.16 」を、 「V−JOLT」と名付けた。 計算では、プラント42の場合、根に直接 「V−JOLT」をかければ、全体が死滅 するのに5秒もかからない。 |
「V- JOLT」は保存性が悪いために使 用の直前に生成しなければならない。 生成はUNB系の薬品をいくつかの手順で 混合すれば良いのだが、UNB系の特徴と して人体に有害なガスを発生する恐れがあ るので取扱いには注意が必要である。 |
まずUNB系薬品の種類と特徴を簡単に示 す。 UNB No.2 赤 NP-003 紫 UNB No.4 緑 Yellow-6 黄 UNB No.7 白 UNB No.13 青 V− JOLT(UNB No.16)茶褐色 |