「おじゃりもうせー! 中央種子島高校ロボット研究部部長、 瀬乃宮あき穂です!」 |
「今日は、科学アドベンチャーライブ2012 ドラマステージ『時空交錯のトリプレット』へようこそ!」 |
「ねぇねぇ 見て見て! これすごいでしょ!」 |
「なんだと思う? へへ、これはね、うちらが9年がかりで 作ってる実物大の巨大ロボットなんだ!」 |
「名付けてがんつく1! あ、正式名称は 『実物大ガンヴァレルをつくろうプロジェクト試作1号機』 なんだけど、長いから、略してガンつく1なの」 |
「まだ、作ってる途中なんだけどね」 |
「どう? おっきいでしょ? かっこいいでしょ? ガンつく1が大地に立つ姿をその目で見たいって思わない?」 |
「疾風怒涛の! 元気一発! ガンヴァレル! ジャキーン!」 |
「もしもうちのこの熱い気持ちに共感してくれたなら、 あなたも種子島で一緒に巨大ロボットをつくろう! うちらはいつでも待ってるよ!」 |
「……あ、でも今日は、ロボ部の勧誘はひとまずお休みなん だった」 |
「はー」 |
「都会のイベントって、すごいんだねー。 こんなにたくさんの人が集まってくるなんてこと、うちらの 住んでる種子島じゃ、ロケット打ち上げのときぐらいだよ」 |
「なんだか、うちまでたぎってきた!」 |
「みんな、思いっきり楽しんでね! それじゃ、のっちよー」 |
「デュフフ、こ、これはけしからん…。萌えすぎて鼻血出る…」 |
「お、おまいら、乙」 |
「グッズ買いにきたん? だ、だとしたら、来るの遅すぎな件について。 こういうイベントのグッズ販売を、な、なんだと思ってるん」 |
「せ、戦争だろ! 常識的に考えて」 |
「1分1秒の遅れで、買えるはずだったグッズが、 売り切れになることだって、あるのだぜ」 |
「は? わ、私はもちろん、1週間も前から外で全裸待機して ましたがな。開場すると同時に一番乗りして、必要なグッズは とっくに全部ゲットしましたしおすし」 |
「あー、グッズ買い漁りするのって、幸せすぎて吐血するお。 デュフフ」 |
「ちょっ、そこの貴様、なに人のこと、エロい目でじっと見や がってますか……。全裸待機してる私を妄想して、ハァハァし てるんですね。分かります」 |
「しょうがないにゃあ。お、おまいらは、オタ仲間だし、 特別に、わ、私の体臭を、ハスハスさせてやろう」 |
「ちょ、ちょっとこっち寄ればいいじゃない。ほら」 |
「……どう? ハスハスした? かわいい女オタのフローラルなシャンプーの匂いでも かげると思った?」 |
「ざ、残念! 一週間風呂入ってない神代フラウたんでした! ざまぁ!」 |
「つ、つーわけで、グッズも買わずに、私のくせえ体臭なんぞ 嗅ぎたいとハァハァしてるおまいらは、 オタの、か、風上にもおけんわけで」 |
「さっさと、グッズを買いにいくべき。 早くしろ、売り切れても知らんぞー!」 |
「ち、ちなみに、私が期待した、拓巳×将軍カプのホモォ Tシャツが、どこにも売ってない件について。ぐぬぬ。 こ、ここのスタッフ、全然分かってないし! オタなめんな!」 |
「え、な、なに? 今、おまいら、なんて言った? 拓巳×将軍じゃなくて、将軍×拓巳が正しい、ですと?」 |
「あー、な、なるほど。逆ね。デュフフ」 |
「確かに普通はそっちの方が、メジャーなカプであることは、 か、確定的に明らか。シブで検索しても0件だし。 そんなの、わ、私だって分かりきってるお」 |
「だが私の中で将軍は受け! 異論は認めない! キリッ」 |
「ハッ、おぅふ、つ、つーか、こんな公共の場で腐った話題を 延々と垂れ流しちまった。デュフフ、さーせん」 |
「どう見てもマナー違反です。 本当にありがとうございました。 イベントで、テンション上がりすぎた……」 |
「お、おまいらも、変態妄想は、ほどほどにした方がいい。 常識的に考えて。そ、それじゃ……」 |