バイオハザード リベレーションズのファイル集


基本操作マニュアル


タッチ操作マニュアル


ジェネシスマニュアル



「ジェネシス」マニュアル
    Ver.1.0.9



<ジェネシス(GENESIS)とは>
製薬企業連盟によって試験開発中の
高機能バイオスキャナーの愛称です。

特殊な波長の放射光を照射して、
物体からの反射を検知、
解析することができます。

<ウィルス解析>
微量のウィルスでも検知し、
その組成を解析することが可能です。





<ワクチン精製>
Ver.1.0.4以降のモデルでは、
ウィルス解析データから
簡易的なワクチンを生成できます。




<物品の探知>
放射光を利用して、特定の物品を
探知することができます。
内蔵メモリ内には、試用版として、
銃弾や薬草などのデータが
登録されています。
探知可能な物が近くにあれば、
モニタ右下のインジケータが点灯します。


特殊体投入指示書
当作戦は"特殊体"初の実戦投入である。
作戦従事者は下記の点を留意せよ!

1:"特殊体"の管理に関しては、
責任者の指示による取扱手順を厳守せよ。



2:常に不測の事態に備え、緊急事態発生の
想定マニュアルに沿った対処を実行せよ。

3:能力発現後の管理は困難を極める。
輸送中は1時間ごとに麻酔薬を投与し、
昏睡状態を保つこと。


4:"特殊体"試作の制御は確立している。
しかし、実戦による運用時は未知数である。

制御不能となった場合は専用ネットワークを
使用し、作戦本部に直接通信せよ。





飛行計画書
Flight Plan

Type of Flight: IFR

Aircraft Identification: EC6177

Type of Aircraft: C-1306

Departure Point:
Redecilla del Monte Air Base

Destination:
Valkoinen Mokki Airport



※全ての「e」は、厳密にはθを小さく丸くしたような感じ
※M「o」kkiは上部に横並びで点が二つ追記されている
※意訳するならば、↓のようになる。
飛行計画

フライトの種類:計器飛行方式による飛行

航空機識別:EC6177

航空機の種類:C-1306

出発点:
Redecillaデルモンテ空軍基地

目的地:
ヴァルコイネン・モッキ空港





植物学



植物学
〜薬効を持つ植物について〜 第三版



人類は太古から様々な植物を用い
傷や病を癒してきた。

本書ではこの薬効を持つ植物の例として
アークレイ山地周辺に自生するハーブを
取り上げ その概要を述べたいと思う。


鮮やかな緑色のこのハーブは
疲労を回復するだけでなく
自然治癒力を高め、
傷の治りを早くする効果もある。

また、免疫機能活性作用もあり、
ウィルスの感染を防ぐ意味でも
非常に有用である。
医療的な応用性も高く、
救急医療の場でも用いられ始めている。

近年多発しているバイオテロの脅威から
あなたとあなたの家族を護るためにも、
この薬草の常備を検討されたい。




FBC服務規程序文
FBCは合衆国における生物防衛の実施機関
として、2001年制定の国家生物防衛法に
よって設立された。

当文はFBCとその職員が職務執行に対して
の権限を規定したものである。


FBCは国内もしくは合衆国権益に関した
地域での生物防衛を専管し、
他国の公衆衛生及び生物防衛機関との
調整を行う。
もって国民の生物学的な安全の確保に
尽力しなければならない。


FBCは職員の職務執行に伴う支援・訓練・
生物防衛に関する研究開発及び、
その他活動に必要と思われる体制を構築し、
国家安全保障会議の承認の下で、
行動計画・予算を企画立案する権限を
有している。


FBC議長は国家安全保障会議によって選出
され、FBC職員を統括するだけではなく、
政府内生物防衛部門の調整と
戦略策定の一元化を担う、
国家生物防衛コミュニティー長官を
兼任する。


活動の実施に際しては、
国家生物防衛コミュニティーに参加する
国務長官、国防長官、国家情報長官、
統合参謀本部議長などに対して、
支援を要請する権利を有する。
ことに国家生物防衛に関する場合は、
優先的な協力支援が義務付けられている。



デイリークーリエ通信の記事・1
ロンドン・デイリークーリエ紙
ドナテッロ・ルッツァスキ著

ヨーロッパには一匹の怪物が出没している。
その名はFBCだ。
合衆国が対バイオテロのために設立した
FBCこと連邦生物防衛委員。
元来、怪物と呼ばれるような組織ではない。
だが現在ヨーロッパでは非難の的だ。

テラグリジアで発生したバイオテロに対し、
対策指揮をFBCが事実上独占して
他国の介入を拒んでいるからである。



テラグリジアは代替エネルギーの研究開発の
ため、合衆国と欧州各国が共同で開発した
近未来型の海上都市である。

ヨーロッパ側は気候変動対策を目的に据え、
合衆国側はアフリカ大陸の電力供給戦略から
地中海に建設された経緯がある。

現在に至るまでは両陣営から派遣された
共同委員によってテラグリジアは大過なく
管理運営されてきたと言えよう。

ところが、
今回のバイオテロで事態は一変した…


条約では、テロ対策は合衆国とヨーロッパが
同等の権限を有するとされていたが、
唯一バイオテロという特殊な状況に関しては
"FBCが対処を主導する"
とされていたためである。



FBCはバイオテロ対処を目的に創設され、
直属の緊急展開部隊を常時待機させるなど、
欧州陣営とは比較にならない
組織規模を持つ。

非常事態発生時には彼らが
事態収拾の主力になるという、
合衆国の意向も働いた結果だった。
テラグリジア対策本部の指揮を
執ることになった、
FBC長官モルガン・ランズディールは、
欧州陣営の介入を拒否し
FBCのみで対策にあたることを宣言した。

これに対し欧州陣営は自らにも権限が
あると主張。ランズディール氏と対立した。
未確認ながらFBCは甚大な人的被害を
蒙っているという情報もある。

ランズディール氏がその豪腕と知力による
決断によって、バイオテロを払いのけ、
自らの怪物のイメージを払拭できるかは
記者にも分からない…



船内設備に関する案内書
従業員各位

当クイーン・ゼノビアでは、快適なクルーズ
さながら高級ホテルに宿泊したかのような
滞在期間を過ごしていただけるよう、
様々な施設を完備しています。


従業員の皆さんには、それらの施設を充分に
理解してもらい、お客様の対応に当たるよう
お願いしています。

以下に、主な設備の説明がされています。
各自、必ず読んで確認しておいて下さい。


<船内ホール>

総面積1500uのホールは
吹き抜けの3階構造で、客船ホールとしては
世界でも類を見ない広さを誇る。
室内様式はゴシック調、天井シャンデリアは
オペラハウスのような華美な雰囲気を演出。

<カジノスペース>

ホールに隣接したカジノスペースには、
テーブルゲームの他、スロットマシンなど
さまざまなカジノ設備を完備。
運行期間中は、毎日24時間体制で営業。


<レストラン・ショッピングモール>

プロムナードのモールには、
世界各国のデザインとサービスにこだわりを
持った多種多様なレストラン及びバーが
出店。レストランと隣接したスペースには
様々な雑貨や日常品を揃えた店舗もある。

<非常用通信室>

緊急の場合に備え、ホールに隣接して
非常用通信室を配備。
有事の際はホールをお客様の一時待避所とし、
乗務員は非常用通信室から直ちに
外部への救難信号を発信すること。

<ソラリウム>

開閉式ガラス張り天井を配したソラリウムは
世界最大級の船内大型屋内プールを完備。
まさに海上の楽園と呼ぶべきこの場所は、
数多の船上のロマンスを生み育んだ。
なお深夜のカップルの侵入には用心のこと。



書き捨てられたメモ
神よ、いるなら応えてくれ。
これは現実か。それとも地獄か。
逃げ場なんてない。
周りはクソったれの化け物だらけだ!
皆やられてしまった。
生きている人間なんてもう誰も…
くそ。あんな奴らの餌食になるなんて!



"クイーン・ゼノビア"とその歴史
総トン数:148,000トン
全長: 335.8m
全幅: 52.3 m
全高: 93.97 m
出力:電動ディーゼル推進
乗客:2200名
乗務員:647名
排水量:90,000トン
パラグアス・ライン社の客船、
"クイーン・ゼノビア"(フラッグシップ)
は1978年建造。客船黄金時代である。
1930年代を思わせるその内装は、
建築家ジョージ・トレヴァー氏が失踪前に
残した設計デザイン案を基にしており、
建造当時には多くの人々が魅了された、
と新聞記事に記されております。
船名である"ゼノビア"は、ローマと戦って
敗れた古代パルミラの美しき女王の
名前を冠し、20世紀の客船の中でも
"大西洋の美女王"と
称されるほどの人気を博しました。

航空路線の発展により遠洋航海客船が低迷し
一時は廃船の危機も囁かれたのですが、
80年代後半に姉妹船と共に
パラグアス・ライン社に買い取られ、
動力を蒸気タービンからディーゼル電気推進
に換装、船倉やキャビン増設工事も施工する
大改装工事が行われ、最新鋭の設備を有する
クルーズ豪華船へと生まれ変わりました。


改装後は、世界一周航海、南米一周航海など
を幾度となく行い、近年では地中海を拠点に
アフリカ各国を周遊する航路に就航しており
毎年たくさんのお客様に海の美しさと幸せを
提供しております。

  〜"クイーン・ゼノビア"とその歴史〜
               1995年版
※「パラグアス」はスペイン語で「傘」を指す。アンブレラと関連する会社かは不明。


303号室の書き置き
畜生 なんでこんなことになった!?
船内は化け物がウジャウジャ徘徊して、
一瞬で船は壊滅状態になっちまった。

見た事もない形の化け物だ…
動きはぎこちないようだが、
掴まれたらひとたまりもねぇ。

友人のハサンも化け物に喰われちまった

オレは銃で敵を怯ませて
なんとかそのスキに逃げ切れたが
運よく腕を射抜けなかったら危なかった
どうやらあの化け物 腕の骨は脆いらしい


だがもうこれ以上逃げるのは無理そうだ。
あのとき抉られた足が痛ぇ…

クソ… 弾ももう残っちゃねぇし、
どうすりゃ生き残れんだよ…





非常用通信室前に残された張り紙
この先、非常用通信室。
関係者以外立ち入り禁止!
鍵が入用の方は
プロムナードのいつもの店まで。

                通信兵長


(その下に殴り書きで
メッセージが記載されている__)

参ったぜ、大変な事態だ。
船内は化け物だらけ。何もかもおしまいだ。
俺はプロムナードに逃げるぜ。
あそこなら店も多いし、
食い物には困らない。
もし生きてる奴がこれを見たなら、
いつでも来てくれ。いつもの店だ。
俺は絶対生き残るぜ。
アンタも生き残りたいなら俺に
従うことだな。
                通信兵長




通信兵長の日記
1日目
プロムナードに立てこもったのは正解だ。
飯もあるし生きるには困らない。
時々、扉の向こうでやつらが動き回る音が
聞こえるが、ここには入り込めないようだ。
ざまあみろ。
他の連中が無事かどうかは分からない。
だが俺は、何としても生き延びてやる。
2日目
クソ! 化け物の侵入を許した。まさか
ダクトを通ってくるとは思わなかった。
俺様の腕なら蜂の巣にしてやるくらい
楽勝だ。真面目に訓練した成果さ。
お疲れ、俺様。それにしても目が覚めてる
ときでよかったぜ。
今後はおちおち眠り込んでもいられないな…
3日目
昨日みたいなことがあってはのん気に
寝てもいられない…神経がたかぶる。
話し相手でも居れば気が紛れるんだろうが。

疲れた、具合悪い。
風邪ひくとまずいな。なるべく動かず
体力の消耗を防ごう。頑張れ、俺。
たぶん4日目
高熱でダウンしてた。
くたばってるとこ、化け物にみつからなくて
よかったぜ。まだ頭がぼーっとする。
感染症か? バイキンはいったかも?
首に大きなしこりできた。いたい。
こういうとき独りはきつい。さびしい。

なんにちめ…?
話しあいてできたうれしい。
なかなかイけるやつ。ジョークのセンスも
ある。おもろい。わらう笑う。
でも顔、ちかすぎ。ずっとそばいすぎ。
むこうもそういってる。
けどせまくて動けない。


けんかした。
あいつくいものひとりじめ。
よこで肉たべてる。おいしそう。
おれのかおのよこ。すぐすぐよこ。
でもおれにくれない。うまそうな肉。
あのコのあたまのおにくおいしそう。


たすてけ
おれのからだ、よこどり
された
おれ おれじゃない?
おれだれ?
たたすけ よばなきや
メーデーめーでー
メヘエエエデエエエエ
にくにく たべたべ たべたひいいよおお








航海上の安全対策について
この船には過去の船舶事故の事例を考慮し、
海上人命安全条約で定められた以上の
高度で独自の船舶安全対策が施されている。

全ての船員は当マニュアルを熟読の上、
緊急時に備えなければならない。


1.クイーン・ゼノビアは、
船内動力供給ラインが二重構造化
されている。

船内のメイン動力供給ラインで障害が
発生した場合は、船底の動力室で
メインからサブラインへ移行することで、
船全体への動力供給が可能となる。
2.クイーン・ゼノビアは独自の設計による
横隔壁と縦隔壁から成る、
自動防水隔壁システムが設置されている。

緊急時には船底に設置された管理室で
隔壁を操作でき、軽微の損傷レベルであれば
以降の浸水を食い止めることが可能である。



カジノ従業員の日報
VIPルームのセキュリティを解く方法を
ようやく聞きだすことが出来た。

あそこは金持ちの常連しか
入れない部屋だっていうから、
前から気にはなっていたんだ。


なんでもセキュリティを解くには、
扉の隣にいるカジノガールに
コインを与えてやればいいらしい。

重さがたしか107g。
まあ部屋に入るには安い額だろう。




何者かによる指示書
(何かのメモのようだ__)

クイーン・ゼノビア乗船後、可及的速やかに
任務行動に移ること。

標的となる2名の到着までの時間は少ない。
本作戦をし損じることは許されない。
冷静な判断と行動を望む。
1.部屋の確保
先ずは船員居住区に移動し、
手近な部屋を確保すること。

船内は未知の化け物の巣窟であると
予想される。奴らに見つからぬよう
周囲には十二分に気を配れ。

2.偽装工作の準備
事前に受け渡したものは
標的攪乱のための偽装工作に使用する。
同入の手引書に従い、速やかに設置せよ。
なお設置後は、部屋から即時退避すること。

※痕跡は絶対に残すな!

本作戦は標的攪乱が主目的となる。
行動は迅速かつ秘密裏に行うこと。

標的に見つかるな。接近時も直接戦闘は
避け、身を隠すことを第一義とせよ。
その後はこちらで対応する。




誰かが残したメモ



(誰かが記したメモのようだ__)




無理矢理連れて来られて
気の乗らない任務だったけれど、
まず一つ目は完了。

地下リフトの鍵も手に入ったし、
これで船底にも行けるわ。


この船…1年前にテラグリジア・パニックで
テロリストの拠点だった船なのね。
その証拠に 船首でウィルス散布に
使われたUAVを見つけたわ。

おまけに船内に気持ち悪い化け物まで…
いきなり襲うなんてありえないわ。
まったく 最低な任務よ。
頭が割れそうな痛さ…
片目も取れて見え辛いし
とっても気分が悪いわ。

それに腕もおかしくなっちゃった。
右手が真っ二つに裂けてるわ。




血みどろで骨が見えてるし、









どこかで治さなきゃ






(あとは血で汚れて読めない__)






教義文のような内容が刻まれている



(教義文のような内容が刻まれている__)




運命とは、皮肉ではない。
運命とは、あらかじめ決定づけられた
崇高なる意思である。

汚れた己を呪わぬ者は、
猟犬の牙に食い殺される運命にある。


犠牲者に同情する余地はない。
犠牲者が創りあげたこの世の穢れこそが
我らの牙を錆びつかせてきた。

息を殺し、牙を研ぎ澄ませよ。
息を殺し、爪を食い込ませよ。
全ての同志は、同じ大儀の下、
身を伏せ、時を待っている。
猟犬こそが純潔な存在であり、
猟犬こそがこの世の不浄を払う。

我らは、ひとりではない。
我らは、群れを成す猟犬、ヴェルトロなり。

             Earl Brinvico

※「Earl Brinvico」はアナグラムすると「Clive R Obrian」、つまりオブライエンを指しており
アジトが偽装である伏線ではないか、という説がある。


蒸気パイプ故障に関する報告書
整備担当各位

船底通路内の一部の場所で、
パイプ接合部の蓋が外れた事を原因に
蒸気漏れが発生中です。

蒸気付近は強い熱を発しているので
次の方法で蒸気を調整し、通行してください。
動力室には2本のレバーが
設置されています。

レバーを操作して 各アルファベットに
メーターの針をあわせると、
該当の箇所の蒸気漏れを止められます。


アルファベットの対応箇所は以下


A:機械整備室
B:動力室上階
C:動力室下階


尚、1ヶ所蒸気を止めるとそれ以外の
箇所の蒸気は再度漏れた状態になります。

通行を行う際は、その点も留意して
整備を進めて下さい。





動力室に残されたメモ
動力再起動には、
息の合ったコンビネーションが要求される。
同時起動が必要だ。
二つのキーを同時に回さなくちゃいけない。




それと再起動キーの1本は厳重には厳重を
重ね、"例の場所"にしまっておいた。

どうだ、わかったか?
要するに動力室のキーワードは、
"噛み合う"ってことなのさ。




ヴェルトロ工作員の日記・1
2004年某日

我らの悲願、最終作戦がついに動き出した。
我らが指導者ジャック・ノーマンより作戦の
概要を聞かされたときは誰もが耳を疑ったが
途方もない作戦は間もなく現実となる。
これも閣下の鉄の意志と
理想に応じた協力者たちのおかげだ。
作戦には今回の資金協力者が提供した
偽装された豪華客船が使用されるらしい。
堕落した人類文明の象徴たる豪華客船が
ウィルス散布の母体とは皮肉がきいている。
私には客船の1隻"クイーン・ゼノビア"の
接収に立ち会う任務が与えられた。

ベルナール・コルティ記す
2004年某日 作戦決行まであと12時間

身の内から震えがわきあがるのを
押さえられない。興奮と恐怖、その両方だ。
客船の船底奥に隠された研究施設には、
新たなウィルスと実験により産み出された
異形の生物兵器どもがひしめいていた…

新型ウィルスは水に溶け
飲料水からも感染して人を怪物化する

別途に供与されたハンター型B.O.W.で
地上を制圧し、その混乱に乗じてウィルスを
散布する…この作戦により、あの醜く欲望に
まみれた海上都市は確実に地獄と化す
だろう。
地上に地獄を成さねば、人の目は塞がった
ままだ。ノーマン閣下はそう言った。
あの銀髪の資金協力者も
その信条に共感したのだろう。
我らも同じだ。


ベルナール・コルティ記す


ある自殺者の遺書
(筆跡は細く、震えている__)

我々の命運は尽きたようだ。
残弾はあと一発。最早戦う術はない。
最後の一発は
自分のために使わせてもらう。
さらば友よ。



深海層におけるウィルス発見とその研究
モンペリエ海洋大学研究室が主導した、
無人深海探査機による
第4次ケルマデック海溝探査によって、
水深9000mの超深海層で
新種の狩猟採集型深海魚が発見された。



この深海魚は生物に大きな影響を与える
高水圧環境にありながら、
信じられないほどの高い遊泳能力と、
獰猛製を持つ特異な特徴を有していた。




研究解析の結果、この驚異的な生命力の
原因は深海魚固有のものではなく、
発見された新種の魚類病原ウィルスにあると
いう結論に至る。

ウィルスは"深遠"の名を冠し、
秘匿名"ジ・アビス"と命名され、
極秘の研究を続けることが決定した。
"ジ・アビス"は高水圧・低酸素・低温の
環境下に適するために元来は、
脂肪や水分の多い深海魚の体を変容させ、
深海ではありえないレベルの
高密度の骨格と筋力を作り出している。

これが上手く働けば B.O.W.の
活動圏は飛躍的に広がるに違いない。
ジ・アビスの感染力についてだが、
血液感染ならば99.76%の確率で
感染可能な事が判明した。

ごく稀ではあるが、経口摂取では
人に感染しないケースも見受けられる。


我々はこの驚異的なウィルスを
より強力なものにするべく、
更に研究を続けた。

(それ以上は擦れていて読めない__)





新型ウィルス開発経過報告書
今回発見された新たなウィルス、ジ・アビス
その遺伝子解析が完了に近づいた頃、
某国組織のルートを通じて国際的製薬企業の
研究機関が協力を申し出てきた。

彼らから発案がなされたのはt-ウィルス
と呼ばれる兵器ウィルスにジ・アビスを組み
入れる改良型ウィルスの開発実験である。
新型ウィルスが完成すれば、
海洋生物の遺伝子をベースにした、
B.O.W.を作り出すことが
容易になるだろう。

生物兵器開発の扉がまたひとつ
拓かれることになる。

だが新型ウィルス開発の研究は難航した。

t-ウィルス遺伝子は人型を含む、
あらゆる生物への異種間感染を可能にした。

だがジ・アビスに由来する強力な
変異スピードに耐えきれず、感染個体の
肉体組織が崩れ落ちてしまうのだ。
この問題は感染初期のウィルスの活動を
敢えて抑え、時間をかけて定着を図ることで
クリアすることができた。

さらに思わぬ副産物も生まれた。
崩壊こそ免れたものの、新ウィルスに
侵された個体の肉体は半ば液状化し、
骨組織までが変異する。
これにより感染体は軟体性を確保し、
わずかな隙間からでも神出鬼没に現れ、
標的を襲撃することが可能になったのだ。

さらには、溶けだした骨成分が
外皮に流れ込むことにより、手足部位が
硬化し、鋭利な凶器と化したタイプも
確認されている。
この性質から新型ウィルスに感染した人体は
"滴るもの"を意味する"ウーズ"と
命名されることとなった。

その容姿はフォルムこそかろうじて人型を
保っているものの、生前の面影はなく、
異形の怪物と呼ぶのが相応しい。

実験体による感染実験で、ウィルスの完成は
日増しに近づいている。

だが生物兵器ビジネスにおいて、
ウィルスと対をなしたワクチンの開発が
なくては商品として不完全である。


そのためには大量の臨床データが必要だ。
少数のサンプル実験から抗体を見出すのは
運任せであり、非常に時間がかかる。

上層部では人為的なパンデミックが必要だ。
という強硬論すら聞かれるらしい。
それは今日で言う生物テロに
他ならないのだが…


新型ウィルスの完成について
我々の産み出した"t-アビス"。
ジ・アビスとt-ウィルスの
遺伝子を混合させたものである。
その脅威を考えれば誇ることは出来ないが、
海洋性ウィルス兵器という新たな分野を
開拓したこともまた事実だ。だが、これが
最高の兵器と後世に名を残したとして、
私は複雑な気持ちになる…
濃縮されたウィルス溶液を一定量以上
海に解き放てば周辺に棲息するバクテリアを
含む、ありとあらゆる海洋生物が連鎖的な
感染を繰り返し、短時間の内に海洋全域が
汚染されると研究データは予測している。



t-アビスに汚染された海は
その生態系を一変させることとなる。
この影響は地球環境全体に及び、人類が
どれほどの被害を受けるかは想像も
つかない。

果たして、これがバイオテロを防ぐための
研究の一環といえるのだろうか?


ヴェルトロ工作員の日記・2
2004年某日 作戦開始03日目

作戦は成功した。
テラグリジアに地獄が顕現したのだ。
散布したウィルスとそのバイオハザードに
よって街は滅び去ろうとしている。
FBCの部隊が投入されたが、その戦果は
生物兵器の前では語るに及ばない。
我らヴェルトロの目的は、完遂された。
この世こそが地獄であると
今こそ人類が気づく時がきたのだ。
人々よ、目を開け!
世の真実に目を向けよ!

ベルナール・コルティ記す

2004年某日 作戦開始06日目

船内でバイオハザードが発生した…
ウィルスにより、同志らは次々と化け物に
なり、化け物が化け物を産み出す連鎖が
続いている。なぜだ!
地獄を見るべきは我々ではなかったはずだ!

セミラミスの状況も同じだと連絡があった。
全ての船で同時にウィルスが漏出…
よもや偶然を思うべくもない。
元より仕組まれた結果。
そう。我々は道化だったのだ。



では誰が?
我らヴェルトロに裏切りは存在しない。
であれば、あの協力者、銀髪の男だ。
ヤツだけがここにいない。
どうすればいいのです! ノーマン閣下!
我々を導いて…

(紙は途中で破れている)


"マラコーダ"開発経過資料
コードネーム"マラコーダ"の開発は
まったくの偶然から出発している。

海洋生物のB.O.W.研究の過程で、
我々は様々な魚類にt-アビスによる
感染実験を行ったがその中の一匹が、
ハダムシ病に感染していたのである。

ハダムシ病は魚類寄生虫病として有名であり
単生類カプサラ科ベネデニア亜科の
ハダムシを原因体としている。
マラコーダは、このハダムシが
宿主と共にt-アビスに感染した
ことで、特異に変化したものをベースに
B.O.W.として開発改良したもの
である。
マラコーダの幼生は小さく1cmほどだ。

その小さな体を生かし宿主に寄生すると、
幼生は先ず特殊な体液を分泌させて
宿主をもウィルスに感染させてしまう。

すると宿主もろとも自らも巨大化させながら
成体へと成長していくのだ。
恐らくt-アビスと分泌物が相乗効果で
新陳代謝をブーストさせるのだと考えられる

成体のサイズは宿主の大きさに依存する。
危険なため実験ケースはないが、
もしクジラ目科のような巨大生物が宿主なら
どれほどの大きさにまで成長するか、
想像もつかない。
※「〜考えられる」の末尾に「。」が無いが、原文ママ。

ゼノビアにおける感染体経過観察記録



  ゼノビアにおける感染体経過観察記録

研究員ライアン
ID:503321

2004年某日

テラグリジア・パニック終焉宣言と時を
同じくして我々は船を回収した。
任務は迅速かつ秘密裏に遂行された。
何者にも気付かれることなく…


"レギア・ソリス"でかの地が消え去った。
今となっては、この船は"t-アビス"の
感染経過・変異、その他を観察できる
極めて貴重な実験場である。
決して手放すわけにはいかない。



だが、船はすでにt-アビス感染者の巣窟。
制圧は我々にとっても困難を極めた。
今も、この場所に一時の
研究拠点を設けられたに過ぎない。
直にここも化け物どもに侵食されるだろう。
残された時間は少ない…


2005年某日

ウィルスの経過観察は順調に進み、
特効薬たるワクチンも完成した。
もうここに用はない。
施設を廃棄し撤退することを
今日付けで決議した。

我々研究員にも少なからず被害が出たが、
これも必要な犠牲だったとあきらめよう。

ワクチン完成の報告には、いつも冷酷な
銀髪の御仁、モルガン・ランズディール氏も
お喜びになるはずだ。


(日誌が数ページ破かれた後に
殴り書かれた記載がある__)






--研究データを送信するやいなや
施設の扉がすべて封鎖され、冷凍睡眠から
B.O.W.どもが蘇生しはじめた。

捨て駒はヴェルトロだけではないと
なぜ気付けなかったのか…逆に笑えてくる。


今になって思えば、事のすべては
あの方の掌の上での出来事だった…

テロリストにt-アビスを供与して
テラグリジア・パニックを起こさせ、
人体感染の大量臨床データを確保。
遅滞したワクチン開発に光明をもたらした。

一方、事態収拾の陣頭指揮には自らが
立ち、遂にはレギア・ソリスを照射して
ウィルスとヴェルトロはおろか街ごと
関与の痕跡のすべてを消滅せしめたのだ。

結果、彼はウィルスの脅威を知った
大衆の世論を勝ち得、
FBCの権力強化を得るまでに至った。
自作自演…これほどこの言葉が相応しい
事件は歴史上にも類をみないだろう。
ランズディール氏の手腕には舌を巻く。

そして我々の命が消えることで
真相は完全に闇に葬られるのだ…

(文字がかすれて後は読めない__)


謎の日記
とうとう奴が動き出した。
この日をどれだけ待ちわびたことか。

作戦は必ず成功に導かなければならない。
この時のため、俺はすべてを捨てて
きたのだ。


モルガンを揺さぶり、真実の証拠を暴くため
ヴェルトロを再びこの世に蘇らせる。

オブライエンから計画を聞いたときは
危険で無謀な賭けだと感じたが、
俺たちにはもう強硬策に打って出るしか
手がなかったのもまた事実だ。

北欧の山中にアジトを偽装し、
復活したヴェルトロが新たなテロ計画を
企てているとの噂を消息筋を通じて、
敢えてBSAAに流した。

果たしてBSAAによる調査活動が始まるの
とほぼ同時にモルガン周辺の動きも
慌ただしくなった。
恐らく奴の犬が伝えてくれたのだろう。

猜疑心が強く慎重なモルガンのことだ。
仮にFBCに直接情報を流したとしても、
こうはうまくいかなかったはずだ。

東洋人がいうところの
策士策に溺れる、というやつだ。
俺はクイーン・ゼノビアの奪取に成功した。
奴らはヴェルトロに狙われることを恐れ、
爆破処理のため船を移送しようとしたのだ。

だがここに決定的な物証は
残されてはいなかった。
ここからは俺自身がこの壮大なオペラの
表舞台に立つ必要がある。
BSAAメンバーをクイーン・ゼノビアに
集め、その面前で俺自身がガスマスクを演じ
ヴェルトロの実在を証明してみせるのだ。

ヴェルトロの実在を信じたスパイは必ず
モルガンと連絡をとる。
そこには隙が生まれるはずだ。

オブライエンの報告では偽装アジトにも
奴らが攻撃を仕掛けた形跡がある
とのことだ。
この作戦は流動的になる。状況によっては
過酷な判断を迫られることもあるだろう。

だが俺はやりきってみせる。
たとえこの命を落とすことになろうとも。


デイリークーリエ通信の記事・2
ロンドン・デイリークーリエ紙
ドナテッロ・ルッツァスキ著

彼は幻影に彩られた怪物なのだろうか?
それともバイオテロを平定する現代の
英雄なのだろうか?


FBC長官モルガン・ランズディール氏の
堂々たる宣言を聞いた者は、その知性溢れる
言葉と鋭利な眼差しに圧倒されるだろう。

長年にわたって対外諜報活動に従事し、
そのカリスマ性から裏社会でも怪物のような
存在として語られてきたランズディール氏。

彼はバイオテロの危険性とその対処を行う
専門機関の権限拡大を議会で訴えてきた。

これにより、氏は今日に至るまで
FBCこと連邦生物防衛委員会の長官の座を
揺るぎないものとし、日の当たる権力の
表舞台に颯爽と姿を現したのだ。

彼によって生み出されたFBCは、
バイオテロ対処に大きな権限を持つ
組織として国際的な公衆衛生・生物防衛の
重要なプレイヤーとなるかもしれない。
もちろん、それはランズディール氏の手腕に
掛かっているだろう。

怪物か?英雄か?氏の今後に期待したい。


ダンテの神曲



(開いた本の一部に線が引かれている__)




雨に打たれて亡者どもは
犬のように喚き叫び
背を向けて腹をかばい
腹を向けて背をかばう
このみじめな冒涜者たちは
ぐるぐるとのたうちまわる

  ダンテ《神曲・地獄篇》第六歌











(ページの端に崩れた筆跡で
文字が書かれている__)






教義にささげた命は、常に偉大なる
ジャック・ノーマンと共にある。







RV UE


清掃作業引継連絡書
(備考欄に手書きの文字がつづられている)

3月25日
プールの底に、フジツボみたいなものが
こびりついていた。
どこから入ったのか判らないが
ほっておくわけにもいかない。
処理を頼む。
3月30日

駆除したはずのフジツボがまた発見された。
何やら寄り集まって群体を形成している。
新種か?
飼ってみたら面白いかもな。


4月10日

水を配分するパイプに欠損があったらしい。
修理はされたが、ここしばらくこっちに
異物が混ざった可能性があるそうだ。
セキュリティ区画の偉いさんが
やけに慌てていたが…
あの新種と何か関係してるのか?
4月12日

ヤバい
あれは新種なんかじゃない



(連絡書はここで終わっている)


殴り書きされたメモ
親愛なる友よ。

もう限界だ、悪いが先に行く。
奴らは、眠っているだけだ。
いずれまた目覚める。
だが今ならば…。


思い出しただけでも身の毛がよだつ…。

この世のものとは思えぬ醜悪な姿態。
腐った内臓のような耐えがたい臭い。
地獄の底から響くようなあの叫び声。

恐ろしい…何が恐ろしいって
今も体の震えが止まらないんだ。
心して読んでくれ。
壁にできたクソッタレたあの水ぶくれ。
あれは…再生の卵なんだ。

どうか見捨てたとは思わないでくれ。
こうするしかないんだ。
俺は、生きて家族に会いたい…。
友よ、お前の無事を祈る。


"スカルミリオーネ"開発資料
スカルミリオーネは開発当初から
有望視されていたサメのDNAを使用した
B.O.W.である。
そもそもサメは数億年前から形態変化がない
ほどに海の捕食動物として完成されている。
そのDNAを組み込んだことだけでも
兵器としての獰猛さと攻撃性は
約束されたに等しい。
スカルミリオーネの形状は、
先祖たるサメのフォルムを色濃く残しつつも
まるで槍のような突起型の
両腕と両足が存在している。




これは軟骨魚類特有の棘状である。
楯鱗の一部が変化し、強固な筋肉繊維と
結びついたものである。

これによって突き刺し攻撃と地上動物
さながらの俊敏な移動を行うことが
可能となっている。

楯鱗の変化はそれだけに留まらない。
硬度においては装甲車の前面装甲に迫るほど
であり、サメのそれとは比較にならない。

これにより正面からの攻撃に対しては、
無敵ともいえる高い防御力を
獲得することに成功したのである。