Ver.1.0.9 |
<ジェネシス(GENESIS)とは> 製薬企業連盟によって試験開発中の 高機能バイオスキャナーの愛称です。 特殊な波長の放射光を照射して、 物体からの反射を検知、 解析することができます。 |
<ウィルス解析> 微量のウィルスでも検知し、 その組成を解析することが可能です。 |
<ワクチン精製> Ver.1.0.4以降のモデルでは、 ウィルス解析データから 簡易的なワクチンを生成できます。 |
<物品の探知> 放射光を利用して、特定の物品を 探知することができます。 内蔵メモリ内には、試用版として、 銃弾や薬草などのデータが 登録されています。 探知可能な物が近くにあれば、 モニタ右下のインジケータが点灯します。 |
当作戦は"特殊体"初の実戦投入である。 作戦従事者は下記の点を留意せよ! 1:"特殊体"の管理に関しては、 責任者の指示による取扱手順を厳守せよ。 |
2:常に不測の事態に備え、緊急事態発生の 想定マニュアルに沿った対処を実行せよ。 3:能力発現後の管理は困難を極める。 輸送中は1時間ごとに麻酔薬を投与し、 昏睡状態を保つこと。 |
4:"特殊体"試作の制御は確立している。 しかし、実戦による運用時は未知数である。 制御不能となった場合は専用ネットワークを 使用し、作戦本部に直接通信せよ。 |
Flight Plan Type of Flight: IFR Aircraft Identification: EC6177 Type of Aircraft: C-1306 |
Departure Point: Redecilla del Monte Air Base Destination: Valkoinen Mokki Airport |
飛行計画 フライトの種類:計器飛行方式による飛行 航空機識別:EC6177 航空機の種類:C-1306 |
出発点: Redecillaデルモンテ空軍基地 目的地: ヴァルコイネン・モッキ空港 |
〜薬効を持つ植物について〜 第三版 |
人類は太古から様々な植物を用い 傷や病を癒してきた。 本書ではこの薬効を持つ植物の例として アークレイ山地周辺に自生するハーブを 取り上げ その概要を述べたいと思う。 |
鮮やかな緑色のこのハーブは 疲労を回復するだけでなく 自然治癒力を高め、 傷の治りを早くする効果もある。 また、免疫機能活性作用もあり、 ウィルスの感染を防ぐ意味でも 非常に有用である。 |
医療的な応用性も高く、 救急医療の場でも用いられ始めている。 近年多発しているバイオテロの脅威から あなたとあなたの家族を護るためにも、 この薬草の常備を検討されたい。 |
FBCは合衆国における生物防衛の実施機関 として、2001年制定の国家生物防衛法に よって設立された。 当文はFBCとその職員が職務執行に対して の権限を規定したものである。 |
FBCは国内もしくは合衆国権益に関した 地域での生物防衛を専管し、 他国の公衆衛生及び生物防衛機関との 調整を行う。 もって国民の生物学的な安全の確保に 尽力しなければならない。 |
FBCは職員の職務執行に伴う支援・訓練・ 生物防衛に関する研究開発及び、 その他活動に必要と思われる体制を構築し、 国家安全保障会議の承認の下で、 行動計画・予算を企画立案する権限を 有している。 |
FBC議長は国家安全保障会議によって選出 され、FBC職員を統括するだけではなく、 政府内生物防衛部門の調整と 戦略策定の一元化を担う、 国家生物防衛コミュニティー長官を 兼任する。 |
活動の実施に際しては、 国家生物防衛コミュニティーに参加する 国務長官、国防長官、国家情報長官、 統合参謀本部議長などに対して、 支援を要請する権利を有する。 ことに国家生物防衛に関する場合は、 優先的な協力支援が義務付けられている。 |
ロンドン・デイリークーリエ紙 ドナテッロ・ルッツァスキ著 ヨーロッパには一匹の怪物が出没している。 その名はFBCだ。 合衆国が対バイオテロのために設立した FBCこと連邦生物防衛委員。 元来、怪物と呼ばれるような組織ではない。 |
だが現在ヨーロッパでは非難の的だ。 テラグリジアで発生したバイオテロに対し、 対策指揮をFBCが事実上独占して 他国の介入を拒んでいるからである。 |
テラグリジアは代替エネルギーの研究開発の ため、合衆国と欧州各国が共同で開発した 近未来型の海上都市である。 ヨーロッパ側は気候変動対策を目的に据え、 合衆国側はアフリカ大陸の電力供給戦略から 地中海に建設された経緯がある。 |
現在に至るまでは両陣営から派遣された 共同委員によってテラグリジアは大過なく 管理運営されてきたと言えよう。 ところが、 今回のバイオテロで事態は一変した… |
条約では、テロ対策は合衆国とヨーロッパが 同等の権限を有するとされていたが、 唯一バイオテロという特殊な状況に関しては "FBCが対処を主導する" とされていたためである。 |
FBCはバイオテロ対処を目的に創設され、 直属の緊急展開部隊を常時待機させるなど、 欧州陣営とは比較にならない 組織規模を持つ。 非常事態発生時には彼らが 事態収拾の主力になるという、 合衆国の意向も働いた結果だった。 |
テラグリジア対策本部の指揮を 執ることになった、 FBC長官モルガン・ランズディールは、 欧州陣営の介入を拒否し FBCのみで対策にあたることを宣言した。 これに対し欧州陣営は自らにも権限が あると主張。ランズディール氏と対立した。 |
未確認ながらFBCは甚大な人的被害を 蒙っているという情報もある。 ランズディール氏がその豪腕と知力による 決断によって、バイオテロを払いのけ、 自らの怪物のイメージを払拭できるかは 記者にも分からない… |
従業員各位 当クイーン・ゼノビアでは、快適なクルーズ さながら高級ホテルに宿泊したかのような 滞在期間を過ごしていただけるよう、 様々な施設を完備しています。 |
従業員の皆さんには、それらの施設を充分に 理解してもらい、お客様の対応に当たるよう お願いしています。 以下に、主な設備の説明がされています。 各自、必ず読んで確認しておいて下さい。 |
<船内ホール> 総面積1500uのホールは 吹き抜けの3階構造で、客船ホールとしては 世界でも類を見ない広さを誇る。 室内様式はゴシック調、天井シャンデリアは オペラハウスのような華美な雰囲気を演出。 |
<カジノスペース> ホールに隣接したカジノスペースには、 テーブルゲームの他、スロットマシンなど さまざまなカジノ設備を完備。 運行期間中は、毎日24時間体制で営業。 |
<レストラン・ショッピングモール> プロムナードのモールには、 世界各国のデザインとサービスにこだわりを 持った多種多様なレストラン及びバーが 出店。レストランと隣接したスペースには 様々な雑貨や日常品を揃えた店舗もある。 |
<非常用通信室> 緊急の場合に備え、ホールに隣接して 非常用通信室を配備。 有事の際はホールをお客様の一時待避所とし、 乗務員は非常用通信室から直ちに 外部への救難信号を発信すること。 |
<ソラリウム> 開閉式ガラス張り天井を配したソラリウムは 世界最大級の船内大型屋内プールを完備。 まさに海上の楽園と呼ぶべきこの場所は、 数多の船上のロマンスを生み育んだ。 なお深夜のカップルの侵入には用心のこと。 |
神よ、いるなら応えてくれ。 これは現実か。それとも地獄か。 逃げ場なんてない。 周りはクソったれの化け物だらけだ! 皆やられてしまった。 生きている人間なんてもう誰も… くそ。あんな奴らの餌食になるなんて! |
総トン数:148,000トン 全長: 335.8m 全幅: 52.3 m 全高: 93.97 m 出力:電動ディーゼル推進 乗客:2200名 乗務員:647名 排水量:90,000トン |
パラグアス・ライン社の客船、 "クイーン・ゼノビア"(フラッグシップ) は1978年建造。客船黄金時代である。 1930年代を思わせるその内装は、 建築家ジョージ・トレヴァー氏が失踪前に 残した設計デザイン案を基にしており、 建造当時には多くの人々が魅了された、 と新聞記事に記されております。 |
船名である"ゼノビア"は、ローマと戦って 敗れた古代パルミラの美しき女王の 名前を冠し、20世紀の客船の中でも "大西洋の美女王"と 称されるほどの人気を博しました。 航空路線の発展により遠洋航海客船が低迷し 一時は廃船の危機も囁かれたのですが、 |
80年代後半に姉妹船と共に パラグアス・ライン社に買い取られ、 動力を蒸気タービンからディーゼル電気推進 に換装、船倉やキャビン増設工事も施工する 大改装工事が行われ、最新鋭の設備を有する クルーズ豪華船へと生まれ変わりました。 |
改装後は、世界一周航海、南米一周航海など を幾度となく行い、近年では地中海を拠点に アフリカ各国を周遊する航路に就航しており 毎年たくさんのお客様に海の美しさと幸せを 提供しております。 〜"クイーン・ゼノビア"とその歴史〜 1995年版 |
畜生 なんでこんなことになった!? 船内は化け物がウジャウジャ徘徊して、 一瞬で船は壊滅状態になっちまった。 見た事もない形の化け物だ… 動きはぎこちないようだが、 掴まれたらひとたまりもねぇ。 |
友人のハサンも化け物に喰われちまった オレは銃で敵を怯ませて なんとかそのスキに逃げ切れたが 運よく腕を射抜けなかったら危なかった どうやらあの化け物 腕の骨は脆いらしい |
だがもうこれ以上逃げるのは無理そうだ。 あのとき抉られた足が痛ぇ… クソ… 弾ももう残っちゃねぇし、 どうすりゃ生き残れんだよ… |
この先、非常用通信室。 関係者以外立ち入り禁止! 鍵が入用の方は プロムナードのいつもの店まで。 通信兵長 |
(その下に殴り書きで メッセージが記載されている__) 参ったぜ、大変な事態だ。 船内は化け物だらけ。何もかもおしまいだ。 俺はプロムナードに逃げるぜ。 あそこなら店も多いし、 食い物には困らない。 |
もし生きてる奴がこれを見たなら、 いつでも来てくれ。いつもの店だ。 俺は絶対生き残るぜ。 アンタも生き残りたいなら俺に 従うことだな。 通信兵長 |
1日目 プロムナードに立てこもったのは正解だ。 飯もあるし生きるには困らない。 時々、扉の向こうでやつらが動き回る音が 聞こえるが、ここには入り込めないようだ。 ざまあみろ。 他の連中が無事かどうかは分からない。 だが俺は、何としても生き延びてやる。 |
2日目 クソ! 化け物の侵入を許した。まさか ダクトを通ってくるとは思わなかった。 俺様の腕なら蜂の巣にしてやるくらい 楽勝だ。真面目に訓練した成果さ。 お疲れ、俺様。それにしても目が覚めてる ときでよかったぜ。 今後はおちおち眠り込んでもいられないな… |
3日目 昨日みたいなことがあってはのん気に 寝てもいられない…神経がたかぶる。 話し相手でも居れば気が紛れるんだろうが。 疲れた、具合悪い。 風邪ひくとまずいな。なるべく動かず 体力の消耗を防ごう。頑張れ、俺。 |
たぶん4日目 高熱でダウンしてた。 くたばってるとこ、化け物にみつからなくて よかったぜ。まだ頭がぼーっとする。 感染症か? バイキンはいったかも? 首に大きなしこりできた。いたい。 こういうとき独りはきつい。さびしい。 |
なんにちめ…? 話しあいてできたうれしい。 なかなかイけるやつ。ジョークのセンスも ある。おもろい。わらう笑う。 でも顔、ちかすぎ。ずっとそばいすぎ。 むこうもそういってる。 けどせまくて動けない。 |
けんかした。 あいつくいものひとりじめ。 よこで肉たべてる。おいしそう。 おれのかおのよこ。すぐすぐよこ。 でもおれにくれない。うまそうな肉。 あのコのあたまのおにくおいしそう。 |
たすてけ おれのからだ、よこどり された おれ おれじゃない? おれだれ? たたすけ よばなきや メーデーめーでー |
メヘエエエデエエエエ にくにく たべたべ たべたひいいよおお |
この船には過去の船舶事故の事例を考慮し、 海上人命安全条約で定められた以上の 高度で独自の船舶安全対策が施されている。 全ての船員は当マニュアルを熟読の上、 緊急時に備えなければならない。 |
1.クイーン・ゼノビアは、 船内動力供給ラインが二重構造化 されている。 船内のメイン動力供給ラインで障害が 発生した場合は、船底の動力室で メインからサブラインへ移行することで、 船全体への動力供給が可能となる。 |
2.クイーン・ゼノビアは独自の設計による 横隔壁と縦隔壁から成る、 自動防水隔壁システムが設置されている。 緊急時には船底に設置された管理室で 隔壁を操作でき、軽微の損傷レベルであれば 以降の浸水を食い止めることが可能である。 |
VIPルームのセキュリティを解く方法を ようやく聞きだすことが出来た。 あそこは金持ちの常連しか 入れない部屋だっていうから、 前から気にはなっていたんだ。 |
なんでもセキュリティを解くには、 扉の隣にいるカジノガールに コインを与えてやればいいらしい。 重さがたしか107g。 まあ部屋に入るには安い額だろう。 |
(何かのメモのようだ__) クイーン・ゼノビア乗船後、可及的速やかに 任務行動に移ること。 標的となる2名の到着までの時間は少ない。 本作戦をし損じることは許されない。 冷静な判断と行動を望む。 |
1.部屋の確保 先ずは船員居住区に移動し、 手近な部屋を確保すること。 船内は未知の化け物の巣窟であると 予想される。奴らに見つからぬよう 周囲には十二分に気を配れ。 |
2.偽装工作の準備 事前に受け渡したものは 標的攪乱のための偽装工作に使用する。 同入の手引書に従い、速やかに設置せよ。 なお設置後は、部屋から即時退避すること。 ※痕跡は絶対に残すな! |
本作戦は標的攪乱が主目的となる。 行動は迅速かつ秘密裏に行うこと。 標的に見つかるな。接近時も直接戦闘は 避け、身を隠すことを第一義とせよ。 その後はこちらで対応する。 |
(誰かが記したメモのようだ__) |
無理矢理連れて来られて 気の乗らない任務だったけれど、 まず一つ目は完了。 地下リフトの鍵も手に入ったし、 これで船底にも行けるわ。 |
この船…1年前にテラグリジア・パニックで テロリストの拠点だった船なのね。 その証拠に 船首でウィルス散布に 使われたUAVを見つけたわ。 おまけに船内に気持ち悪い化け物まで… いきなり襲うなんてありえないわ。 まったく 最低な任務よ。 |
頭が割れそうな痛さ… 片目も取れて見え辛いし とっても気分が悪いわ。 それに腕もおかしくなっちゃった。 右手が真っ二つに裂けてるわ。 |
血みどろで骨が見えてるし、 |
どこかで治さなきゃ |
(あとは血で汚れて読めない__) |
(教義文のような内容が刻まれている__) |
運命とは、皮肉ではない。 運命とは、あらかじめ決定づけられた 崇高なる意思である。 汚れた己を呪わぬ者は、 猟犬の牙に食い殺される運命にある。 |
犠牲者に同情する余地はない。 犠牲者が創りあげたこの世の穢れこそが 我らの牙を錆びつかせてきた。 息を殺し、牙を研ぎ澄ませよ。 息を殺し、爪を食い込ませよ。 全ての同志は、同じ大儀の下、 身を伏せ、時を待っている。 |
猟犬こそが純潔な存在であり、 猟犬こそがこの世の不浄を払う。 我らは、ひとりではない。 我らは、群れを成す猟犬、ヴェルトロなり。 Earl Brinvico |
整備担当各位 船底通路内の一部の場所で、 パイプ接合部の蓋が外れた事を原因に 蒸気漏れが発生中です。 蒸気付近は強い熱を発しているので 次の方法で蒸気を調整し、通行してください。 |
動力室には2本のレバーが 設置されています。 レバーを操作して 各アルファベットに メーターの針をあわせると、 該当の箇所の蒸気漏れを止められます。 |
アルファベットの対応箇所は以下 A:機械整備室 B:動力室上階 C:動力室下階 |
尚、1ヶ所蒸気を止めるとそれ以外の 箇所の蒸気は再度漏れた状態になります。 通行を行う際は、その点も留意して 整備を進めて下さい。 |
動力再起動には、 息の合ったコンビネーションが要求される。 同時起動が必要だ。 二つのキーを同時に回さなくちゃいけない。 |
それと再起動キーの1本は厳重には厳重を 重ね、"例の場所"にしまっておいた。 どうだ、わかったか? 要するに動力室のキーワードは、 "噛み合う"ってことなのさ。 |
2004年某日 我らの悲願、最終作戦がついに動き出した。 我らが指導者ジャック・ノーマンより作戦の 概要を聞かされたときは誰もが耳を疑ったが 途方もない作戦は間もなく現実となる。 これも閣下の鉄の意志と 理想に応じた協力者たちのおかげだ。 |
作戦には今回の資金協力者が提供した 偽装された豪華客船が使用されるらしい。 堕落した人類文明の象徴たる豪華客船が ウィルス散布の母体とは皮肉がきいている。 私には客船の1隻"クイーン・ゼノビア"の 接収に立ち会う任務が与えられた。 ベルナール・コルティ記す |
2004年某日 作戦決行まであと12時間 身の内から震えがわきあがるのを 押さえられない。興奮と恐怖、その両方だ。 客船の船底奥に隠された研究施設には、 新たなウィルスと実験により産み出された 異形の生物兵器どもがひしめいていた… |
新型ウィルスは水に溶け 飲料水からも感染して人を怪物化する 別途に供与されたハンター型B.O.W.で 地上を制圧し、その混乱に乗じてウィルスを 散布する…この作戦により、あの醜く欲望に まみれた海上都市は確実に地獄と化す だろう。 |
地上に地獄を成さねば、人の目は塞がった ままだ。ノーマン閣下はそう言った。 あの銀髪の資金協力者も その信条に共感したのだろう。 我らも同じだ。 ベルナール・コルティ記す |
(筆跡は細く、震えている__) 我々の命運は尽きたようだ。 残弾はあと一発。最早戦う術はない。 最後の一発は 自分のために使わせてもらう。 さらば友よ。 |
モンペリエ海洋大学研究室が主導した、 無人深海探査機による 第4次ケルマデック海溝探査によって、 水深9000mの超深海層で 新種の狩猟採集型深海魚が発見された。 |
この深海魚は生物に大きな影響を与える 高水圧環境にありながら、 信じられないほどの高い遊泳能力と、 獰猛製を持つ特異な特徴を有していた。 |
研究解析の結果、この驚異的な生命力の 原因は深海魚固有のものではなく、 発見された新種の魚類病原ウィルスにあると いう結論に至る。 ウィルスは"深遠"の名を冠し、 秘匿名"ジ・アビス"と命名され、 極秘の研究を続けることが決定した。 |
"ジ・アビス"は高水圧・低酸素・低温の 環境下に適するために元来は、 脂肪や水分の多い深海魚の体を変容させ、 深海ではありえないレベルの 高密度の骨格と筋力を作り出している。 これが上手く働けば B.O.W.の 活動圏は飛躍的に広がるに違いない。 |
ジ・アビスの感染力についてだが、 血液感染ならば99.76%の確率で 感染可能な事が判明した。 ごく稀ではあるが、経口摂取では 人に感染しないケースも見受けられる。 |
我々はこの驚異的なウィルスを より強力なものにするべく、 更に研究を続けた。 (それ以上は擦れていて読めない__) |
今回発見された新たなウィルス、ジ・アビス その遺伝子解析が完了に近づいた頃、 某国組織のルートを通じて国際的製薬企業の 研究機関が協力を申し出てきた。 彼らから発案がなされたのはt-ウィルス と呼ばれる兵器ウィルスにジ・アビスを組み 入れる改良型ウィルスの開発実験である。 |
新型ウィルスが完成すれば、 海洋生物の遺伝子をベースにした、 B.O.W.を作り出すことが 容易になるだろう。 生物兵器開発の扉がまたひとつ 拓かれることになる。 |
だが新型ウィルス開発の研究は難航した。 t-ウィルス遺伝子は人型を含む、 あらゆる生物への異種間感染を可能にした。 だがジ・アビスに由来する強力な 変異スピードに耐えきれず、感染個体の 肉体組織が崩れ落ちてしまうのだ。 |
この問題は感染初期のウィルスの活動を 敢えて抑え、時間をかけて定着を図ることで クリアすることができた。 さらに思わぬ副産物も生まれた。 崩壊こそ免れたものの、新ウィルスに 侵された個体の肉体は半ば液状化し、 骨組織までが変異する。 |
これにより感染体は軟体性を確保し、 わずかな隙間からでも神出鬼没に現れ、 標的を襲撃することが可能になったのだ。 さらには、溶けだした骨成分が 外皮に流れ込むことにより、手足部位が 硬化し、鋭利な凶器と化したタイプも 確認されている。 |
この性質から新型ウィルスに感染した人体は "滴るもの"を意味する"ウーズ"と 命名されることとなった。 その容姿はフォルムこそかろうじて人型を 保っているものの、生前の面影はなく、 異形の怪物と呼ぶのが相応しい。 |
実験体による感染実験で、ウィルスの完成は 日増しに近づいている。 だが生物兵器ビジネスにおいて、 ウィルスと対をなしたワクチンの開発が なくては商品として不完全である。 |
そのためには大量の臨床データが必要だ。 少数のサンプル実験から抗体を見出すのは 運任せであり、非常に時間がかかる。 上層部では人為的なパンデミックが必要だ。 という強硬論すら聞かれるらしい。 それは今日で言う生物テロに 他ならないのだが… |
我々の産み出した"t-アビス"。 ジ・アビスとt-ウィルスの 遺伝子を混合させたものである。 その脅威を考えれば誇ることは出来ないが、 海洋性ウィルス兵器という新たな分野を 開拓したこともまた事実だ。だが、これが 最高の兵器と後世に名を残したとして、 私は複雑な気持ちになる… |
濃縮されたウィルス溶液を一定量以上 海に解き放てば周辺に棲息するバクテリアを 含む、ありとあらゆる海洋生物が連鎖的な 感染を繰り返し、短時間の内に海洋全域が 汚染されると研究データは予測している。 |
t-アビスに汚染された海は その生態系を一変させることとなる。 この影響は地球環境全体に及び、人類が どれほどの被害を受けるかは想像も つかない。 果たして、これがバイオテロを防ぐための 研究の一環といえるのだろうか? |
2004年某日 作戦開始03日目 作戦は成功した。 テラグリジアに地獄が顕現したのだ。 散布したウィルスとそのバイオハザードに よって街は滅び去ろうとしている。 FBCの部隊が投入されたが、その戦果は 生物兵器の前では語るに及ばない。 |
我らヴェルトロの目的は、完遂された。 この世こそが地獄であると 今こそ人類が気づく時がきたのだ。 人々よ、目を開け! 世の真実に目を向けよ! ベルナール・コルティ記す |
2004年某日 作戦開始06日目 船内でバイオハザードが発生した… ウィルスにより、同志らは次々と化け物に なり、化け物が化け物を産み出す連鎖が 続いている。なぜだ! 地獄を見るべきは我々ではなかったはずだ! |
セミラミスの状況も同じだと連絡があった。 全ての船で同時にウィルスが漏出… よもや偶然を思うべくもない。 元より仕組まれた結果。 そう。我々は道化だったのだ。 |
では誰が? 我らヴェルトロに裏切りは存在しない。 であれば、あの協力者、銀髪の男だ。 ヤツだけがここにいない。 どうすればいいのです! ノーマン閣下! 我々を導いて… (紙は途中で破れている) |
コードネーム"マラコーダ"の開発は まったくの偶然から出発している。 海洋生物のB.O.W.研究の過程で、 我々は様々な魚類にt-アビスによる 感染実験を行ったがその中の一匹が、 ハダムシ病に感染していたのである。 |
ハダムシ病は魚類寄生虫病として有名であり 単生類カプサラ科ベネデニア亜科の ハダムシを原因体としている。 マラコーダは、このハダムシが 宿主と共にt-アビスに感染した ことで、特異に変化したものをベースに B.O.W.として開発改良したもの である。 |
マラコーダの幼生は小さく1cmほどだ。 その小さな体を生かし宿主に寄生すると、 幼生は先ず特殊な体液を分泌させて 宿主をもウィルスに感染させてしまう。 すると宿主もろとも自らも巨大化させながら 成体へと成長していくのだ。 |
恐らくt-アビスと分泌物が相乗効果で 新陳代謝をブーストさせるのだと考えられる 成体のサイズは宿主の大きさに依存する。 危険なため実験ケースはないが、 もしクジラ目科のような巨大生物が宿主なら どれほどの大きさにまで成長するか、 想像もつかない。 |
ゼノビアにおける感染体経過観察記録 研究員ライアン ID:503321 |
2004年某日 テラグリジア・パニック終焉宣言と時を 同じくして我々は船を回収した。 任務は迅速かつ秘密裏に遂行された。 何者にも気付かれることなく… |
"レギア・ソリス"でかの地が消え去った。 今となっては、この船は"t-アビス"の 感染経過・変異、その他を観察できる 極めて貴重な実験場である。 決して手放すわけにはいかない。 |
だが、船はすでにt-アビス感染者の巣窟。 制圧は我々にとっても困難を極めた。 今も、この場所に一時の 研究拠点を設けられたに過ぎない。 直にここも化け物どもに侵食されるだろう。 残された時間は少ない… |
2005年某日 ウィルスの経過観察は順調に進み、 特効薬たるワクチンも完成した。 もうここに用はない。 施設を廃棄し撤退することを 今日付けで決議した。 |
我々研究員にも少なからず被害が出たが、 これも必要な犠牲だったとあきらめよう。 ワクチン完成の報告には、いつも冷酷な 銀髪の御仁、モルガン・ランズディール氏も お喜びになるはずだ。 |
(日誌が数ページ破かれた後に 殴り書かれた記載がある__) |
--研究データを送信するやいなや 施設の扉がすべて封鎖され、冷凍睡眠から B.O.W.どもが蘇生しはじめた。 捨て駒はヴェルトロだけではないと なぜ気付けなかったのか…逆に笑えてくる。 |
今になって思えば、事のすべては あの方の掌の上での出来事だった… テロリストにt-アビスを供与して テラグリジア・パニックを起こさせ、 人体感染の大量臨床データを確保。 遅滞したワクチン開発に光明をもたらした。 |
一方、事態収拾の陣頭指揮には自らが 立ち、遂にはレギア・ソリスを照射して ウィルスとヴェルトロはおろか街ごと 関与の痕跡のすべてを消滅せしめたのだ。 結果、彼はウィルスの脅威を知った 大衆の世論を勝ち得、 FBCの権力強化を得るまでに至った。 |
自作自演…これほどこの言葉が相応しい 事件は歴史上にも類をみないだろう。 ランズディール氏の手腕には舌を巻く。 そして我々の命が消えることで 真相は完全に闇に葬られるのだ… (文字がかすれて後は読めない__) |
とうとう奴が動き出した。 この日をどれだけ待ちわびたことか。 作戦は必ず成功に導かなければならない。 この時のため、俺はすべてを捨てて きたのだ。 |
モルガンを揺さぶり、真実の証拠を暴くため ヴェルトロを再びこの世に蘇らせる。 オブライエンから計画を聞いたときは 危険で無謀な賭けだと感じたが、 俺たちにはもう強硬策に打って出るしか 手がなかったのもまた事実だ。 |
北欧の山中にアジトを偽装し、 復活したヴェルトロが新たなテロ計画を 企てているとの噂を消息筋を通じて、 敢えてBSAAに流した。 果たしてBSAAによる調査活動が始まるの とほぼ同時にモルガン周辺の動きも 慌ただしくなった。 |
恐らく奴の犬が伝えてくれたのだろう。 猜疑心が強く慎重なモルガンのことだ。 仮にFBCに直接情報を流したとしても、 こうはうまくいかなかったはずだ。 東洋人がいうところの 策士策に溺れる、というやつだ。 |
俺はクイーン・ゼノビアの奪取に成功した。 奴らはヴェルトロに狙われることを恐れ、 爆破処理のため船を移送しようとしたのだ。 だがここに決定的な物証は 残されてはいなかった。 ここからは俺自身がこの壮大なオペラの 表舞台に立つ必要がある。 |
BSAAメンバーをクイーン・ゼノビアに 集め、その面前で俺自身がガスマスクを演じ ヴェルトロの実在を証明してみせるのだ。 ヴェルトロの実在を信じたスパイは必ず モルガンと連絡をとる。 そこには隙が生まれるはずだ。 |
オブライエンの報告では偽装アジトにも 奴らが攻撃を仕掛けた形跡がある とのことだ。 この作戦は流動的になる。状況によっては 過酷な判断を迫られることもあるだろう。 だが俺はやりきってみせる。 たとえこの命を落とすことになろうとも。 |
ロンドン・デイリークーリエ紙 ドナテッロ・ルッツァスキ著 彼は幻影に彩られた怪物なのだろうか? それともバイオテロを平定する現代の 英雄なのだろうか? |
FBC長官モルガン・ランズディール氏の 堂々たる宣言を聞いた者は、その知性溢れる 言葉と鋭利な眼差しに圧倒されるだろう。 長年にわたって対外諜報活動に従事し、 そのカリスマ性から裏社会でも怪物のような 存在として語られてきたランズディール氏。 |
彼はバイオテロの危険性とその対処を行う 専門機関の権限拡大を議会で訴えてきた。 これにより、氏は今日に至るまで FBCこと連邦生物防衛委員会の長官の座を 揺るぎないものとし、日の当たる権力の 表舞台に颯爽と姿を現したのだ。 |
彼によって生み出されたFBCは、 バイオテロ対処に大きな権限を持つ 組織として国際的な公衆衛生・生物防衛の 重要なプレイヤーとなるかもしれない。 もちろん、それはランズディール氏の手腕に 掛かっているだろう。 怪物か?英雄か?氏の今後に期待したい。 |
(開いた本の一部に線が引かれている__) |
雨に打たれて亡者どもは 犬のように喚き叫び 背を向けて腹をかばい 腹を向けて背をかばう このみじめな冒涜者たちは ぐるぐるとのたうちまわる ダンテ《神曲・地獄篇》第六歌 |
|
(ページの端に崩れた筆跡で 文字が書かれている__) |
教義にささげた命は、常に偉大なる ジャック・ノーマンと共にある。 |
(備考欄に手書きの文字がつづられている) 3月25日 プールの底に、フジツボみたいなものが こびりついていた。 どこから入ったのか判らないが ほっておくわけにもいかない。 処理を頼む。 |
3月30日 駆除したはずのフジツボがまた発見された。 何やら寄り集まって群体を形成している。 新種か? 飼ってみたら面白いかもな。 |
4月10日 水を配分するパイプに欠損があったらしい。 修理はされたが、ここしばらくこっちに 異物が混ざった可能性があるそうだ。 セキュリティ区画の偉いさんが やけに慌てていたが… あの新種と何か関係してるのか? |
4月12日 ヤバい あれは新種なんかじゃない (連絡書はここで終わっている) |
親愛なる友よ。 もう限界だ、悪いが先に行く。 奴らは、眠っているだけだ。 いずれまた目覚める。 だが今ならば…。 |
思い出しただけでも身の毛がよだつ…。 この世のものとは思えぬ醜悪な姿態。 腐った内臓のような耐えがたい臭い。 地獄の底から響くようなあの叫び声。 恐ろしい…何が恐ろしいって 今も体の震えが止まらないんだ。 |
心して読んでくれ。 壁にできたクソッタレたあの水ぶくれ。 あれは…再生の卵なんだ。 どうか見捨てたとは思わないでくれ。 こうするしかないんだ。 俺は、生きて家族に会いたい…。 友よ、お前の無事を祈る。 |
スカルミリオーネは開発当初から 有望視されていたサメのDNAを使用した B.O.W.である。 そもそもサメは数億年前から形態変化がない ほどに海の捕食動物として完成されている。 そのDNAを組み込んだことだけでも 兵器としての獰猛さと攻撃性は 約束されたに等しい。 |
スカルミリオーネの形状は、 先祖たるサメのフォルムを色濃く残しつつも まるで槍のような突起型の 両腕と両足が存在している。 |
これは軟骨魚類特有の棘状である。 楯鱗の一部が変化し、強固な筋肉繊維と 結びついたものである。 これによって突き刺し攻撃と地上動物 さながらの俊敏な移動を行うことが 可能となっている。 |
楯鱗の変化はそれだけに留まらない。 硬度においては装甲車の前面装甲に迫るほど であり、サメのそれとは比較にならない。 これにより正面からの攻撃に対しては、 無敵ともいえる高い防御力を 獲得することに成功したのである。 |